2012年都議会第4回定例会討論

2012年都議会第4回定例会討論

                  2012年12月6日

都議会生活者ネットワーク・みらい

山内玲子 

 都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、中央卸売市場会計決算と水道事業会計決算の認定に反対し、その他の議案に賛成の立場から、討論を行います。

 今議会は、都知事不在で選挙真っ最中という、異例の議会となりました。そのため、政策的な議案はなく、法改正など今回対応しなければならないものだけの提案となりました。

 ●「東京都中央卸売市場会計決算」について

 経済が低迷する中での消費の落ち込み、市場外流通の増加や魚離れなど、生鮮食料品の流通環境は大きく変化しています。加えて、少子高齢化や人口減少によって、卸売市場の役割の変化にも目を向ける必要があります。豊洲新市場の整備にあたっては、新しい計画も示され移転に向けて動き出していますが、事業者の合意はいまだ十分ではありません。都議会生活者ネットワーク・みらいは、これまでも市場移転については、都民や市場関係者等の理解と納得を得ることが不可欠であることを主張してきました。特に、土壌汚染対策については、調査のたびに汚染が見つかっています。現在、不透水層のベンゼン汚染の対策工事がされていますが、どこまで対策工事の規模と費用が膨らむのか、全体像を示すことさえできていません。市場には、「食の安全・安心」が強く求められるのは当然ですが、市場の適正規模や、文化・観光資源という観点からも、銀座まで10分という立地も考えると、歴史ある築地市場の再整備を強く望むものです。

 ●「東京都水道事業会計決算」について

 今年3月、水道局は水需要予測を見直し、「平成30年代に1日最大配水量が約600万㎥」になると想定しています。1日最大配水量は、この20年減少の一途をたどっています。今年は昨年よりさらに減って、469万㎥になりました。1人1日あたりの生活用水もこの10年で18ℓも減っていますが、予測に使った数値は10年前に近いものです。さらに負荷率は過去35年間で最小の79.6%を採用しており、そのため、計算結果が現在の実績とかけ離れた予測となっています。まさに、八ッ場ダムに参画する理由として、何がなんでも600万㎥の需要を出さなければならないとしてつくり出した予測です。残念ながらこの決算に賛成することはできません。

 行政が為すべき仕事をきちんと行っていくという観点で申し上げます。

 まず、文書管理の問題については、これまでも公文書の紛失がたびたび問題となってきました。情報公開が当然となっている今の時代に、公文書をきちんと管理し、粛々と請求に応じることは行政の務めです。また、保存期間については、一体として保存したほうがいい場合など、分類のしかたを含めて文書管理のしくみそのものを考えていく必要があります。文書管理と情報公開は、民主主義の根幹をなす車の両輪です。文書管理規則だけでは不十分であり、公文書管理法の趣旨にのっとって、公文書が市民の共有財産であること、説明責任を全うするという理念を明確にした公文書管理条例が必要です。

 また、大規模地震の被害想定の誤りについては、当該自治体への影響が非常に大きいことから、修正を行うときには、議会や自治体への説明責任をしっかり果たすべきであり、事後の対応をきちんとやっていただくよう、強く要望します。

 昨年の東日本大震災と原発事故によって、これまでの生活スタイルや価値観の転換が迫られていることは、今回の国政選挙で政党のあり方や政策にも表れています。有権者が求めているのは、これまでの20世紀型経済社会から脱却し、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会であり、これは、当然今回の都知事選挙でも求められています。

 とりわけ、若者の雇用やいじめの問題など、次代をつくる世代が生きにくい社会であることに対して、なんとしても解決策を見出していかなければなりません。また、これまでなかなか進まなかった福祉や区市町村への分権など、都政の課題は山積しています。真に都民のための都政運営を行う新しい知事の誕生を、都民とともに期待し、都議会生活者ネットワーク・みらいの討論といたします。

以上