2012年都議会第4回定例会一般質問
2012年11月30日
星 裕子
●「首都直下地震等による東京の被害想定」について
4月に発表された被害想定では、区市町村ごとの自力脱出困難者の予測数が出された。自力脱出困難者とは建物倒壊によって下敷き、生き埋めになった場合、家族、消防団や警察、消防により救助される人、文字どおり自力では脱出できない人のことだ。阪神淡路大震災時の実態に基づく推計で算出されているが、建物全壊棟数及びその率、発生時間別、建物内滞留人口などの数値が絡み合い、大変複雑で分かりにくいものである。しかし、この想定が発表されてから自治体ではその問い合わせ、対応に追われてきた。昭島市においては、立川断層帯地震で冬の朝五時の時間帯で4648人という近隣市と比べ格段に多い数が算出されたため、耐震性の弱い施設、老朽家屋が他市よりも多いのではないかという不安が広がり、高齢者・障害者の独り暮らしなどへの対策強化が市議会でも大きな問題になった。
ところが今年11月、「東京都地域防災計画(平成24年修正)」ができ、それと同時に、4月に発表した被害想定の一部に誤りがあったと報告があり、「自力脱出困難者」の数が大幅に修正された。例えば、冬の朝5時で、多摩直下地震の場合、昭島市は2163人を578人に、さらに大きな数値で不安が広がった立川断層帯地震の場合の昭島市の4648人は1242人に修正された。昭島市は下方修正だったが、数が増えた市もある。自治体は都の防災会議の被害想定を基に地域防災計画策定を準備してきた。このような数字の誤りはあってはならない。各地域での対策の検討に与える影響が大きいことから、以後、こうした数値は十分に精査するとともに、関係市町村への丁寧な説明を求める。
こうした自力脱出困難者を減少させる取り組みとして、区市町村と連携し実効性ある対策を講じるべきと考えるが、所見を伺う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q1
A1: (総務局長)
被害想定でお示しした数値について、一部計算上の誤りがあり関係自治体には多大なご迷惑をおかけした。今回、修正を行い、その内容について十分説明させていただき、ご理解をいただいたところ。
大規模地震による自力脱出困難者や死傷者を減少させる取り組みとしては、都はこれまでも、地域防災計画に基づき、建築物の耐震化の促進、家具類の転倒・落下・移動防止対策の推進、東京防災隣組の普及など、区市町村と連携した様々な対策を講じている。
今後とも、こうした取り組みを着実に推進し、被害の軽減を図っていく。
●オリンピック・パラリンピック招致に係る文書管理について
2016年オリンピック・パラリンピック招致活動に関する支出文書の情報公開請求に対して、報道によると、一部の文書が欠落、一時「紛失した」という問題が起こった。報道後に見つかったと発表があったが、文書管理が適正に行われていなかったことは、紛れもない事実である。文書は「文書管理規則」にのっとり管理されている。文書総合管理システムによる文書一覧の管理と、文書そのものの管理が一体となっているべきものと考える。
この問題が起こった原因は何か、また、その後の対策について伺う。・・・・・・・Q2
A2:(スポーツ振興局長)
約700件、5000枚の開示請求に対して、期限内に開示できなかった文書が8件。前回の招致活動終了後、数度にわたる所管部署の変更により保存文書の移動を行った際、書類の引き継ぎや整理が不徹底であったため、一時的な所在不明が発生。
2020年大会については適切に文書管理を行うことはもとより、前回の招致活動に係る全ての保存文書についても、再度、整理。
今後とも、適切な文書管理を徹底。
東京都の文書管理規則では、「請負又は委託による事業に関するもの」は、6000万円以上は5年間、300万円以上については3年間を文書保存期間としている。後に見つかった8事業のうち4事業は6000万円以上の事業だった。現在もオリンピック招致活動が続けられており、費用対効果を検証するものとして、招致活動をやめるまでは、保存期間が切れたものについても延長して保存すべきだと考える。
こうした一体の文書については、保存期間をどのように運用しているのか。・・・Q3
A3:(スポーツ振興局長)
保存期間の運用は、規則に基づき局で定める文書保存期間表に従い行っている。
前回の招致活動については、活動全体を詳細に記録し、総括して得た教訓を将来にわたって引き継ぐ目的で、4年間の活動内容を記載した「2016年オリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書」を取りまとめた。
前回招致で培った財産を最大限活用し、引き続き2020年招致活動に全力で取り組む。
以上