12.17 第4回定例会へのコメント

 12月17日、2025年都議会第四回定例会が閉会しました。物価高騰が家計や事業所経営を圧迫する中、「都民の暮らしに直接届く支援が打ち出されるのか?」が、最大の注目ポイントでした。

補正予算について

 今議会に上程された一般会計補正予算は1,722億円。台風22・23号による被害からの復旧、夏の豪雨対策、そして物価高騰対策と、理由はもっともな事業ですが、気が付けばあちこちに巨額の税金が投じられています。その効果はしっかりと検証しなければなりません。

 〇東京アプリを使った生活支援。あまねく都民に行きわたるか? 

 東京都は、公式アプリ「東京アプリ」を活用した生活支援として、これまで1人当たり7,000ポイントとしていた付与額に4,000ポイントを上乗せし、補正予算として450億円を計上しました。しかし、アプリ登録にマイナンバーカードとの連携が必要な点や、高齢者などスマートフォンの利用が困難な人への対応など、生活支援の手法として課題があります。さらに、本人確認機能などの技術面・運用面の検証は先月末に始まったばかりで、確実な実装が求められます。あわせて、物価高対策としての緊急性を踏まえ、真に必要とする人に確実に届く支援とするよう強く求めました。

 〇福祉・医療・保育関連事業への支援は評価

 補正予算では児童養護施設、特別養護老人ホーム、介護サービス事業所(通所・訪問系)、障がい者支援施設、保育所、医療機関等への物価高騰緊急対策事業の補正予算が組まれました。燃料費や食材・光熱費の支援は、評価します。ただし、人手不足にあえぐ業界であり、申請手続きが煩雑になることで本来の事業からの手が奪われることのないよう、厚生委員会審査で手続きの簡素化や先払い・概算払いの検討を要望しました。

 〇災害とゼロエミ推進に605億円増額補正。目標達成の検証も忘れずに!

  豪雨対策(8億円)のほか、断熱・太陽光住宅普及拡大(310億円)、東京ゼロエミ住宅拡大(176億円)、省エネ家電買替え推進事業(111億円)が補正予算提案されました。こうした省エネ・再エネ施策は、家計に資することに加え緊急課題である気候危機対策としても有効です。いっぽうで、都内に建設される巨大データセンターや開発による緑地消失など、ゼロエミッションの目標達成にむけたトータルな検証の姿勢が欠けています。

 

女性活躍は、雇用だけでなく生活支援や人権の視点でもしっかりと

 今議会には、東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例が知事提案されました。経済・港湾委員会での報告質疑やパブリックコメントを経て上程されたものです。労働力としてでなく、一人ひとりの女性が大事にされる実効性のある条例とするためには、条例策定後につくられる指針で賃金格差やハラスメント対策、ライフ・ワーク・バランスについて、東京都が事業者に是正を求められるような仕組みが必要です。

 雇用施策だけでなく、生活困窮やDV、性暴力に対する女性施策も併せて積極的に展開されこそ、真の「女性活躍」が達成されるはずです。

 

最後に

 一昨日、上野動物園のパンダが1月下旬に中国に返還されることが発表されました。全国から別れを惜しむ人たちが観覧に集まり、4時間待ちの長蛇の列ができたと報道されています。都として新たなパンダの希望は出しているものの、中国野生保護動物協会からは応答がないと説明されています。背景には高市首相の台湾有事を巡る国会答弁があるとされていますが、東京都には国政に振り回されず冷静に、対話による文化交流の姿勢を示し続けることを望みます。

 

これからも、生活者ネットワーク岩永やす代は、派手でインパクトのある施策の推進に偏ることなく、都民一人ひとりの暮らしや人権、環境保全を進める生活者の目線で引き続き小池都政をチェックしていきます。