2024年第4回定例会を終えて(談話)

2024年12月18日

                                                 都議会生活者ネットワーク  岩永やす代

 本日第4回定例会が閉会しました。

  • 都市のダウンサイジングを

 東京は、今でも人口が増えています。他道府県等からの転入超過による社会増が主な原因です。いっぽうで、高齢化が進み少子多死時代を反映して、死亡数が出生数を上回る自然減が続いています。昨年、都内日本人の自然減は51,231人で5万人の大台に乗り、最多になりました。都内では大規模な再開発が目白押しで、床面積は拡大を続けています。住宅総数は、すでに世帯数を大きく上回り、もはや過剰になっています。そして、今後の人口減少は確実で、そのための準備を始める必要があります。現状、都市計画の制度は規制緩和による床面積の拡大に資するものですが、これからは、減築などが成り立つダウンサイジングに資する制度を設けるべきです。また、再開発や公共事業について、市民合意のためのプロセスが足りず、制度づくりを求めました。

  • 年収の壁はジェンダーの視点から

 国会で見直すことになった103万円の壁。物価高騰対策という緊急性はありますが、問題は自治体財政だけではありません。かねて課題になっている配偶者控除や社会保障、そのおおもとにある男女の賃金格差や女性が多い非正規雇用の問題などがなおざりにされたままです。社会保障を含めてジェンダーの視点で抜本的な見直し議論が必要です。

  • 多様な家族形態が尊重される社会に

 結婚は、個人の選択です。都は婚活事業をエスカレートさせていますが、少子化対策の文脈で公共機関である東京都が実施する婚活には、危うさを拭い得ません。結婚圧力を助長し生き方の選択を狭めることにつながるのではないかと懸念します。少子化対策ではむしろ、子どもたちが生きやすい社会にすること、多様な家族の形態を認め、どんな状況で生まれた子どもでも等しく育つ権利があり、それが実現されることこそが必要であると考えます。

  • 子どもの権利と子ども・若者の居場所について

 不登校の子どもがこの10年間で3倍以上にも増えました。子どもたちがありのままでいられる学校へと、学校が大きく変わる必要があります。教職員が子どもの権利を学ぶとともに、学校で子どもたちに教え広めていくことが重要です。生きづらさを抱えた子どもや若者も増えており、子どもの命をまもるためにも、いつでもSOSを出せることを子どもたちに繰り返し伝えていくよう要望するとともに、安心して過ごせる若者の居場所の拡充を求めました。

 東京都こども基本条例ができて、まもなく4年。子どもの権利条約を日本が批准して30年となります。都内自治体でも子どもの権利条例の制定が進み、子どもオンブズなどの権利救済のしくみづくりも広がっています。東京都にも、広域自治体として子どもに寄り添い子どもをエンパワーする公的な第三者機関、子どもオンブズやコミッショナーを設置すべきと求めました。

  • プラスチック削減に向けて

 韓国で開かれたプラスチック条約策定の政府間交渉では、生産規制が合意に至りませんでした。世界中で汚染が広がっていることを解決するためには、プラスチックの総量削減に取り組む必要があります。リユース容器の使用は、都が率先して弁当やボトル洗剤などの取り組み支援を始めましたが、コロナ禍でプラ容器が増え、広がっているとは言えません。せめて都庁の売店ではリユース容器で弁当販売を実施すべきです。また、プラスチックには、難燃剤や可塑剤、PFASや環境ホルモン物質など多くの化学物質が添加されており、リサイクルでも問題になっています。都民広場に設置された人工芝にも化学物質が使われており、人体への影響や、摩擦や劣化により細かくなって下水道へ流れ出すことが指摘されています。学校をはじめ、都有施設への人工芝設置を中止するよう求めます。

  • マイナ免許証に関する条例改正について

 今議会には、マイナ免許証導入に伴う手数料に関する条例改正がありました。多くの国民の反対をよそに、国は、マイナ保険証に続けてマイナ免許証導入を強引に進めており、現場では煩雑で不便になることや個人情報アクセスへの懸念が広がっています。マイナンバーカードもそれに保険証や運転免許証を付加することも任意です。保険証は資格証明書が届くこと、運転免許証は従来のものが使えることをきちんと周知すべきです。

 

 今年は、日本だけでなく世界中で多くの選挙が実施され、民主主義のゆくえを心配する声が大きくなりました。ネット空間に吹き荒れるフェイクと過激な言動には「良識」が通用せず、その対応としてじわじわと広がる言論統制への動きに目を凝らさなければなりません。どちらも民主主義を脅かすものです。グローバル経済のなかで、終わりの見えない戦禍と世界的な物価高騰が生み出す格差や分断は、他人ごとではありません。

 日本では、政治とカネの問題も旧統一教会の問題も置き去りにしたまま総選挙が実施され、有権者は与党を少数に追い込みました。しかし、投票率は低く、政治不信の根深さは、生活不安や社会課題の発露が投票につながらない事態となっています。ウラ金問題は都議会でも発覚しており、まずは真相究明が求められます。

 困難な時代にあっても、多様な人々が暮らす東京を、安心して生活できるまちにするため、都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。