2024年12月23日
都議会生活者ネットワーク 岩永やす代
2024年は、世界中で多くの選挙が実施され、民主主義のゆくえを心配する声が大きくなりました。日本でも、ネット空間に吹き荒れるフェイク情報と過激な言動には「良識」が通用せず、その対応として、じわじわと広がる言論統制への動きに目を凝らさなければなりません。どちらも民主主義を脅かすものです。浸透したグローバル経済のひずみが露わになるなかで、終わりの見えない戦禍と世界的な物価高騰が格差や分断を加速させ、どこの国も余裕をなくしています。人々の不満がマグマのように渦巻き、その発露が偏狭なナショナリズムに向かう危険性は、他人ごとではありません。
全国で人口減少が進むなかでも東京は、他道府県等からの転入超過による社会増によって、今も人口が増えています。いっぽうで、高齢化が進み少子多死時代を反映して、死亡数が出生数を上回る自然減が続いています。昨年、都内日本人の自然減は51,231人で5万人の大台に乗り、最多になりました。
都内では大規模な再開発が目白押しで、床面積は拡大を続けています。住宅総数は、すでに世帯数を大きく上回り、もはや過剰になっています。そして、今後の人口減少は確実で、そのための準備を始める必要があります。現状、都市計画の制度は規制緩和による床面積の拡大に資するものですが、これからは、減築などが成り立つダウンサイジングに資する制度を今のうちから設けるべきです。環境配慮と市民合意に基づくまちづくりが求められています。
猛暑や記録的な豪雨の頻発など、気候危機はもはや現実です。失われていく自然を回復し、原発に頼らない「エネルギー自立都市」をめざしてゼロエミッションを達成することが重要です。また、子育て家庭や子ども、若者、高齢者、障がいのある人など、だれもが自分らしく安心して暮らせるまち、ジェンダー、民族、障がい者などへの差別のないインクルーシブな社会づくりが求められます。
10月の総選挙では、裏金問題が争点となり、有権者は与党を少数に追い込みました。しかし、投票率は低く、政治不信の根深さは、生活不安や社会課題の解決を政治に期待できない表れです。
市民活動をベースに、参加と自治の政治をつなげてきた生活者ネットワークは、政治を市民の手に取り戻そうと活動してきました。当事者に寄り添い信頼を得ながら、ひとを大切にし、多様な個性が息づく地域をつくることに力を注いでいます。都議会生活者ネットワークは、持続可能な生活のまち東京の実現にむけた提案をまとめました。
予算編成に会派の提案が反映されるよう、個々に要望します。