平成20年度各会計決算特別委員会 意見開陳
2009年11月18日
西崎光子
私は都議会生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された平成20年度の一般会計並びに特別会計決算について意見を申し上げます。
平成20年度の年次財務報告書によると、平成20年度普通会計決算では、実質収支はかろうじて8億円の黒字となりました。都税収入は総額で前年に比べ、2040億円の減となり、その分、前年の倍近い都債の発行がされました。経常収支比率は、昨年の80.2%から3.9ポイント上昇して84.1%となり、東京一人勝ちといわれた都財政も、19年度をピークに下方に転じたことは明白です。景気に左右されやすい法人税の割合が大きい都税収入は21年度、22年度はさらに厳しいものになっていくことが想定されます。
国では、この夏の選挙で長く続いた政権が交代し、これまでの事業の見直しに、大なたが振るわれようとしています。分権の視点からも、地域でできることは地域に任せることで無駄を省いていくことが期待されます。しかし一方、その動向如何によっては都も影響を受けることは必死です。
都においては、これまでも事務事業評価や行政評価を行ってきてはいますが、惰性で継続している事業はないか、特定の人にだけ利益が集中していることはないのか、国のいうがままに受け入れている事業はないのか、改めてすべての事務事業を、費用対効果を含めて見直す必要があると思います。特に新銀行東京、築地移転、オリンピック招致など巨費を必要とする事業についての、情報公開と責任の所在を明らかにしていくことは十分とはいえません。20年度は、新銀行東京への400億円の追加出資や、オリンピック招致活動での湯水のごときばらまきなど、多くの問題を残しましたが、その検証も済まないうちに、次の開催に立候補を表明するなど、都民無視と言わざるを得ません。
都は長期的な視野に立って、限りある財源を多様な生き方を保障する福祉や環境、そして次世代への投資としての教育へ、優先的に振り向け、格差の拡大・定着化を是正していくべきであると考えます。
以下、各局について申し上げます。
オリンピック招致本部について
一 2016年オリンピック招致活動に関する総括を速やかに行い、都民への説明責任を果たすこと。
一 オリンピックムーブメント推進事業についてはその内容や経費についてしっかりと検証し、公表すること。
総務局関係について
一 各局が実施している防災対策事業や区市町村の防災計画を十分に把握して、連携のとれた対策を講じること。
一 都庁内の障がい者雇用を推進すること。
選挙管理委員会について
一 高齢者や障害者など投票に行きにくい人の投票権を保障するための仕組みを作ること。
財務局関係について
一 都の入札参加業者の格付けにあたっては、CO2削減努力や、障がい者雇用率、男女平等推進状況、そしてNPO支援などの社会性を考慮すること。
一 都有地はまちづくりの観点から、当該自治体が使いやすいよう対等な協議を行って有効活用すること。
主税局関係について
一 地方自主財源の拡充を国にもとめ、課税自主権の行使として環境税導入を検討すること。
生活文化局関係について
一 ワークライフバランスや女性のチャレンジ支援に積極的に取り組むこと。
一 高齢者や子どもの消費者被害を未然に防止するため、商品事故情報の提供や消費者相談をさらに拡充するとともに、多重債務などに対応するセーフティネット構築のため、区市町村との相互連携を進めること。
一 私学助成を充実し、私立学校の耐震化を促進すること。
一 私学に通う生徒の権利擁護の仕組みをつくること。
都市整備局関係について
一 DV被害者、ひとり親家庭、外国人等社会的弱者が住居を借りる時の保証人制度を構築すること。
一 都営住宅の改修にあたっては、居住者や地域のニーズを収集して、デイサービスや保育などの施設を併設すること。
一 低額所得の高齢者の住まいの確保を促進すること。
環境局関係について
一 資源循環社会にむけてリターナブルビンの認証制度を設けるなど具体的な誘導策を打ち出すこと。
一 地下水、湧水を保全し、総合的な水循環を回復するため、水循環の推進に関する条例制定を検討すること。
一 雨水浸透ますの設置補助を復活すること。
福祉保健局関係について
一 総合的な人権施策を積極的に推進し、「子どもの権利条例」を策定し、とりわけ子どもの権利保障の確立に向けた取り組みを進めること。
一 児童相談所の体制強化を図るとともに、専門的機能を拡充し、一時保護施設を拡充すること。虐待の防止や虐待を受けた子ども達への支援に取り組んでいるNPOや民間団体との連携・強化を図ること。
一 DV被害者をサポートする民間シェルターやステップハウスが継続できるよう支援を拡充すること。
一 介護人材の確保と質の向上に努めること。
一 訪問診療や訪問看護など在宅医療サービスと生活支援サービスの充実をはかり、在宅ターミナルケアが可能になるよう支援すること。
一 小児医療・周産期医療の充実するため、医師の確保・定着を図るとともに、地域の医療機関のネットワークを構築すること。
一 食品安全条例の理念に基づき、遺伝子組み換え食品及び有害化学物質、BSEなど新しい状況に対応したリスクの未然防止の観点から、関連施策を展開すること。
産業労働局関係について
一 新銀行東京の情報公開に向けて積極的に働きかけるとともに、中小企業支援は各種融資制度を活用すること。
一 障害者の自立を進めるため、一般就労および定着に向けた実地訓練やジョブコーチなどの人的サポートを充実させること。
一 都市農業を推進し、東京の特別栽培農産物の普及・生産拡大を進め、GMOフリーゾーンなどの設置に向けた自主的活動を支援すること。
建設局関係について
一 市区町村と連携して、自転車道及び自転車歩行者道の整備をすすめネットワーク化をはかること。
一 都市計画道路の整備にあたっては、東京圏の人口動向を踏まえた需要予測を立て、コストを公表し、つくらないことも含め関係住民と協議すること。
一 墓地については合葬式墓地を拡充するとともに、自然葬など新たな埋葬方法を早急に実施すること。
港湾局関係について
一 臨海開発は、都の財政状況や他の都内道路整備との均衡を考え、将来世代への負担を残さないようにリスクを最小限に抑えること。
最後に、教育庁関係についてです。
一 子どもの権利を尊重した学校運営を行い、教育の分権をすすめること。
一 一連の教育改革については、事業継続中であっても、適宜検証を行い、見直しや改善をしていくこと。
一 団塊世代の大量退職に伴い、教員の数と質の確保および定着に全力で取り組むこと。
一 特別支援教育においては、保護者や当事者の意見・要望に十分配慮するとともに、教員の特別支援教育への理解を深める研修の充実と人員増などの環境整備を行うこと。
一 都立高校の外国人枠を増やすとともに、外国人児童・生徒の人権とアイデンティティーに配慮し、国際化をすすめること。
以上で、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表しての意見開陳を終わります。