2024年第2回定例会を終えて(談話)
2024年6月12日
都議会生活者ネットワーク 岩永 やす代
本日第2回定例会が閉会しました。都知事選挙前の最後の議会でした。
- 新型コロナウイルス感染症対策
小池知事2期目の4年間は、新型コロナウイルス感染症への対応とオリンピックが大きな取り組みでした。コロナ対策では、知事の発信力の強さが大きく功を奏したところがあるいっぽう、混乱と業界の風評被害を招いたことも否めません。例えば、ロックダウンという強すぎるメッセージは、多くの人々に自粛を促した一方で、国の緊急事態宣言発出時期に影響を与えました。まさに知事のねらいどおり、政府の無能さをあぶり出すインパクトのあるしかけで、「国に先駆けて」をアピールしたことは、政治的パフォーマンスとして全国的にも大きく取り上げられました。この間の医療体制や数々の給付金など、コロナ対策で実施されたさまざまな事業について、次に備えて課題を整理しきちんとした総括が必要です。
- オリンピックとまちづくり
コロナ真っ最中に無理やり開催したオリンピック・パラリンピックについても、負のレガシーを残しました。赤字を生み続ける競技場の問題だけでなく、談合や汚職事件など金まみれの問題が続出し、IOCがオリンピックマネーのための組織である実態も露呈しました。オリンピック招致から始まった神宮外苑の再開発は、樹木の伐採だけでなく東京のまちづくりのあり方を多くの人が考える機会となりました。選手村跡地の晴海フラッグについても、都有地のマンションが投機目的で多数購入され高値で転売される事態で、空室が多いにもかかわらず値上がりにより入居希望者が購入できず問題になっています。東京全体の住宅価格の高騰に加えて、本来ファミリー世帯が居住するためのマンションがマネーゲームに使われ、都がそれに加担しているというのは、とうてい都民のための再開発とは言えません。
- GLP昭島プロジェクトについて
昭島市で、GLP昭島プロジェクトが計画されています。民間会社が60ヘクタールもの緑豊かなゴルフ場を開発して物流センターを建設することに、市民は激しく憤り落胆しています。大規模物流センターにはアクセス道路が重要ですが、近隣に幹線道路がなく、交通量の増加を市民は心配しています。さらにデータセンターも建設するとしており、電力需要が増加するため、CO2年間排出量が昭島市全体の排出量を大きく上回る計画になっており、東京都全体から見ても無視できる量ではありません。このような大規模な開発計画をコントロールする手立てが必要です。
- 気候危機に本気で取り組め
「地球沸騰化」と言われる昨今の異常な暑さや大規模台風、豪雨など、気候危機を実感することが増えています。CO2排出量削減は喫緊の課題であり、ゼロエミッションを着実に進める必要があります。地震や豪雨への対策「強靭化プロジェクト」を名目に進められる道路や河川などのハード整備にもゼロエミッションの考え方が必要です。緑保全や廃棄物対策も含めて、目先の経済優先ではない都市づくりの根本に省エネと再エネ、情報公開と住民合意を位置づけることが重要です。
- 東京を生活優先の都市へ
東京都の合計特殊出生率が0.99と衝撃的な発表がされました。知事は少子化対策を掲げ、アピールしやすい政策を単発的に次々と打ち出してきましたが、必要なのは、ジェンダー平等と生活が立ちゆく経済や住居などの環境整備です。「選択的夫婦別姓」導入を経団連も求める事態であり、時代遅れの日本政府に多くの人がしびれを切らしています。また、どんな状況下で生まれた子どもも社会が育むためのサポート体制づくりも重要です。東京を「生活のまち」という視点へ転換すべきです。
ウクライナの戦争もパレスチナ・ガザ地区への攻撃も終わりが見えず、戦禍の拡大が懸念され、世界情勢の不安定化は増すばかりです。こうしたなかで、日本では、またもや政治とカネの問題に与党が役に立たない法案しか出さず改善する気が見えないいっぽうで、地方自治法改正によって、国の自治体への指示権を拡大しようとしています。これまで進められてきた地方自治・分権改革に逆行するものにほかならず、中央集権化で何を目論んでいるのか不透明で不十分な説明しかありません。
本日、小池知事が都知事選への出馬を表明しました。集権化を進める国政府に対峙する地方自治の現場である東京都で、政治の果たす役割は重要です。人権感覚のある新たな知事の誕生を期待しています。 困難な時代にあっても、多様な人々が安心して生活できるまちにするため、都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいきます。
みなさまからのご提案をお待ちしております。