2014年第4回定例会 一般質問
2014年12月18日
西崎 光子
まずはじめに、省エネルギー、再生可能エネルギーについて伺います。
3.11原発事故以降、エネルギーについて人々の意識は大きく変わりました。家庭や事業所で省エネ・節電の取り組みが進み、再生可能エネルギー設備の設置が都内でも着実に増加しています。
今定例会の所信表明で知事は、2030年までに2000年対比30%削減という、非常に意欲的な目標値を打ち出しました。都は、これまでも省エネ目標を掲げて取り組んできましたが、異常気象が頻発し地球温暖化対策は緊迫度を増しており、温暖化対策にも資する高い省エネ目標を都が率先して掲げることを評価するものです。
この新たな省エネ目標を、現在策定中の長期ビジョンにも掲げて、たゆむことなく省エネの取り組みを進めていくことが重要と考えます。
そこで、まず、この目標の達成に向けた知事の決意を伺います。・・・・Q1
A1(環境局長)
東京は、エネルギーの大消費地として、使用するエネルギーの総量を減らし、可能な限り、環境への負荷を減少させながら、持続的な発展を成し遂げていく必要がある。
そこで、今般、これまでの取り組みを継承しながら、さらなる省エネルギー化を進めていくため、長期ビジョンにおいて、2030年までに、30%削減という、新たな省エネルギー目標を設定することとした。
この達成に向け、家庭、業務など、それぞれの部門で「無理なく賢い」省エネ・節電をさらに前進させていく。
あわせて、燃料電池車など水素エネルギーの活用、再生可能エネルギーの導入拡大を進め、世界一のスマートエネルギー都市の実現に取り組んでいく。
この省エネ目標を達成するためには、事業者だけでなく、都内エネルギー消費量の約3割を占めている家庭部門の対策が重要です。都は、省エネ・節電の具体的な方法も含めて普及啓発やアドバイスに取り組んでいますが、身近な地域でNPOが地元自治体と連携して省エネ相談を実施している例もあります。
震災後、都内では多くの家庭が省エネに取り組み、震災前と比べてエネルギー消費量が4%減少しました。
今後さらに賢い省エネ・節電を進めていくことが大切です。都の取り組みについて伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q2
A2(環境局長)
東京のエネルギー消費を削減していく上では、消費量の約3割を占める家庭での取り組みも重要と認識している。
都はこれまで、省エネアドバイザー制度や、マンションの環境性能を示すラベリング制度、簡単に実践できる省エネのポイントを盛り込んだパンフレットの配布などを通じて、家庭における無理のない賢い省エネ・節電を促す取り組みを進めてきた。
さらに、現在、家庭の省エネの目安となるベンチマークを策定中であり、この成果を用い、きめ細やかな省エネ・節電アドバイスを実施していく。加えて、既存住宅の省エネルギー性能の向上等に取り組み、家庭におけるエネルギー利用の一層の効率化に向けた取り組みを促進していく。
会派で視察した大分県は、日本一の発電規模を誇る地熱や県内数多く存在する農業用水路を活用した小水力、豊富な森林資源から生み出されるバイオマスをはじめ太陽光や風力など多種多様な再生可能エネルギーが広く活用されています。そのため、再生可能エネルギーの占める割合は、日本一です。ここでは、新たな産業を興す観点から、エネルギー関連の新成長産業育成事業に力を入れており、企業と連携するとともに、市民への普及啓発にも積極的に取り組んでいました。
今回知事は、省エネ目標とあわせて、再生可能エネルギーの電力利用割合を、2024年までに20%程度に高める目標を示しました。
再生可能エネルギーを拡大していくためには、こうした将来に向けた明確な方針を示すことで、都民・事業者等による行動を促し、大分県のように官民一体となって取り組む必要があると考えます。
また、都民・事業者等の先頭に立って、都自らが目標の実現に向けて率先して都有施設への導入拡大を図っていくことも重要です。例えば、再エネ導入に特化した基金を設けるとか、地域の市民事業や中小企業に屋根貸しするなど、積極的な取り組みが必要です。
今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q3
A3(環境局長)
再生可能エネルギーの拡大に向けては、都民・事業者の需給両面での幅広い取り組みを促していくことが必要である。このため、長期ビジョンで導入目標を明確に示し、省エネ・節電とともに、住宅等への太陽光発電の導入、都市型バイオマス発電や小水力発電の推進など、区市町村とも連携して多面的な施策展開に努めていく。
また、都施設については、率先行動として、これまでに太陽光発電1万kwを含め、約6万kwの設備を導入してきた。
今後も、本年5月に設置した全庁推進組織であるスマートエネルギー都庁推進会議における取り組みとして、省エネ・再エネ東京仕様等に基づく太陽光発電や太陽熱・地中熱などの積極的導入に努め、省エネと併せ、都施設へのさらなる再生可能エネルギーの導入拡大を進めていく。
認知症対策について
認知症は、誰にでも起こり得る身近な病気として対応が求められています。都内では、すでに38万人を超え、軽度の人を含めると65歳以上人口の4人に一人ともいわれています。認知症の方が安心して生活できるよう、地域全体で見守りをすすめている自治体も多く、認知症の正しい知識や付き合い方を理解し認知症の人を応援する「認知症サポーター」が誕生しています。今後、交通事業者や宅配業者などの協力も必要となってきます。
そこで、都として、高齢者が日常的に利用する機会が多いコンビニなどの事業者に見守りに協力してもらうために、認知症サポーター養成講座の受講を促進すべきと考えますが、見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・Q4
A4(福祉保健局長)
都は、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助により支援するとともに、受講者が都内広域にわたる養成講座を開催する企業や団体等の取り組みを支援しており、これまで、都内では32万人のサポーターが養成。
また、より多くの都民に認知症を理解し、サポーターについて知ってもらうため、今年5月に発表したパンフレット「知って安心認知症」を都内のコンビニ約4千店舗に配布予定。
今後とも、こうした取り組みにより、認知症サポーターの養成を支援していく。
こうした認知症サポーターのなかには、実際に役に立ちたいと考える人も少なくありません。特別養護老人ホームなど施設が、認知症サポーターを受け入れることは、まさに現場での研修、実践となり、サポーターのスキルアップだけでなく、施設が地域に開かれた場になるため、サポーター・施設どちらの側にも有効だと思います。都としても、認知症サポーターのステップアップに積極的に取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。・・・・・・・・・Q5
A5(福祉保健局長)
現在、区市町村においては、養成した認知症サポーターが、認知症の家族会の運営支援や、高齢者に対する声かけ、見守りなどのボランティア活動に従事できるよう、フォローアップ講座を開催。
また、講座の中に特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの見学会や体験学習を取り入れ、サポーターが認知症高齢者との接し方などを現場で学ぶ機会を提供している区市町村もある。
都は、こうした取り組みを行う区市町村を包括補助により支援していく。
認知症が疑われる段階から医療・介護専門職らが当事者や家族を訪問して支援する「初期集中支援チーム」が、国の事業として2018年度までに全市区町村に設置することになっています。しかし、都内では、世田谷区と町田市で実施されているだけで、進んでいません。都は初期集中支援チームの設置に向けて、区市町村への支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。・・Q6
A6(福祉保健局長)
都は現在、区市町村に配置した認知症コーディネーターと認知症疾患医療センターに配置したアウトリーチチームが連携して自宅を訪問し、早期発見・早期診断につなげる取り組みを進めており、現在27の区市が実施。
こうした取り組みが認知症初期集中支援チームの設置につながるよう、認知症コーディネーター等が培った訪問支援のノウハウを提供するなど、区市町村を支援。
子どもの安全対策について伺います。
今年9月、世田谷区代沢で下校中の小学生が軽自動車にひかれ死亡するという痛ましい事故がありました。事故が発生した場所は、小学校の通学路となっており、このような事故を二度と起こさないためにも、地域全体で安全対策に取り組んでいく必要があります。事故の発生後は路側帯のカラー化や地域住民と協力して「通学路安全運転呼び掛け隊」を結成し、通行車両に対して、ハンドプレート等による安全運転の呼びかけを実施しています。
このように、個々の地域での個別の取り組みも進められているようですが、併せて、広い視点での普及啓発など、子どもに対する交通安全の取り組みが必要だと考えます。都の見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・Q7
A7(青少年・治安対策本部長)
子どもは危険を予測し回避する能力が十分に備わっておらず、子どもを事故から守る交通安全対策は重要。
都は、教育委員会や警視庁と連携し、子どもの参加・体験を重視しつつ、交通安全教育や普及啓発に取り組んできた。
具体的には、道路横断時の危険性を疑似体験できる「歩行者教育システム」や、「自転車シミュレータ」を活用した交通安全教室を開催。また、スタントマンの実演による事故の再現を行うなどの啓発活動に取り組んでいる。
今後も引き続き、子どもが悲惨な交通事故に遭わないよう、教育や普及啓発に取り組む。
近年、商品やサービス等の利用に伴う子どもの不慮の事故が後を絶たない状況が続いています。都は、これまで東京都商品等安全対策協議会において、使い捨てライターや子ども服のデザイン、ブラインドのひもなどによる危害・危険防止に取り組み、具体的な安全対策につなげてきました。厚生労働省の調査によると、子どもの死亡原因で「不慮の事故」が上位にありますが、この中には交通事故などのほかにも、商品等の使用に伴う事故も含まれており、こうした子どもの事故を減らしていくことが大変重要だと考えます。
商品等の使用に伴う事故の未然防止につなげていくためには、まず、詳細な事故情報を収集することが重要になりますが、都はどのように情報収集を行っているのか、伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q8
A8(生活文化局長)
やけどや転倒転落などの子どもの事故は、自分の不注意と考える保護者が多いため、表面化しにくく、情報収集が難しい傾向。
このため、都は、消費生活センターの相談情報だけでなく、日本小児科学会の傷害速報、東京消防庁の救急搬送事例や病院の受信事例など、関係機関から事故情報を積極的に収集。
加えて、日常生活に潜む危害危険情報を掘り起こすため、乳幼児等の保護者を対象とするヒヤリ・ハット調査も実施。
今年度の東京都商品等安全対策協議会では、最近、抱っこひもから乳幼児が転落する事故が相次いで発生していることから「抱っこひも等の安全対策」について検討されていると聞いています。そこで、協議会における検討状況と今後都がどのように、抱っこひも等の安全対策に取り組んでいくのか、伺います。・・・・・・・・・・Q9
A9(生活文化局長)
都が、国立成育医療研究センターや東京消防庁等の協力を得て実施した実態調査によると、平成21年以降、抱っこひも等からの子どもの転落事故が多数あり、頭がい骨骨折等の重傷事例もあることが明らかになった。
このため、今年度の東京都商品等安全対策協議会において、アンケート調査を実施したほか、事故状況の再現実験を通して明らかとなった問題点を取りまとめ、10月に公表。
今後、年内に具体的な安全対策を盛り込んだ提言の取りまとめをする予定であり、都は、事業者団体等に対して、商品改善等を要望するとともに、妊産婦への注意喚起など、情報発信を行う。
最後に、人と動物との共生社会にむけた取組みについて伺います。
今年10月、元ペットショップの従業員が多数の犬を遺棄するという残酷な事件が起こりました。この事件は、動物取り扱い業者が、手にあまる動物を無責任に放棄したことが発端となったものであり、海外からも非難の声が届きました。しかし、事業者のみならず、一般の飼い主においても経済的理由や高齢者による飼育困難となる事例が、多く見受けられるようになりました。
飼育困難となり、行き場のない動物を出さないためには、住民、動物愛護推進員、ボランティア団体、区市町村等が連携した地域の取組みが重要です。その中でも、都が委嘱する動物愛護推進員は、都民の身近な相談窓口の一つとして、地域における動物の適正飼育の普及啓発や動物の愛護活動の中心的な役割を果たすことを期待されており、本年3月に改定した東京都動物愛護管理推進計画においてもその役割が明記されています。
そこで、今後、都は、動物愛護推進員の活動をどのように支援していくのか、伺い質問を終わります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q10
A10(福祉保健局長)
動物愛護推進員は、地域における動物愛護及び適正飼養を推進するため、飼い主への助言、飼育が困難となった高齢者への支援、小中学校における動物教室などでの活動を行っており、現在、都内全域で約300名に委嘱。
都は、推進員の地域での活動に資するよう、動物愛護の啓発活動に用いる資材を提供するとともに、知識やスキルのさらなる向上を目的とする研修会を実施。
また、様々な職業や活動実績を持つ推進員同士が、顔の見える関係を作り、相互に協力して活動の場を広げていけるよう、情報連絡会を開催。
今後とも、動物愛護推進員の活動を支援し、地域における動物愛護の取り組みを一層進めていく。