2012年都議会第3回定例会一般質問

2012年都議会第3回定例会一般質問

2012年9月26日

西崎光子

オリンピック・パラリンピック招致について

 ロンドンオリンピックとパラリンピックが終わり、知事は銀座のパレードが実現し、メダリストへの表彰も相次いで、オリンピック招致への支持率も上がったと大変満足しておられるようです。

 ところで、オリンピック憲章では「スポーツによる一切の差別の解消」「相互理解」「平和共存」をうたっており、ロンドンでは、参加したすべての国と地域から女性選手が出場し、女性の活躍が目立ちました。また、義足の陸上選手の活躍も注目を集めました。その反面、政治的アピールをした選手がメダル授与の場から外されたり、人種差別的な発言をした選手が追放されたりしたことで、改めてオリンピックの意義を再認識しました。

 そこで、2020年オリンピック大会の東京招致に向けて、オリンピックの持つ基本理念に

ついて知事のお考えを改めて伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q1

A1:知事答弁

 オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であり、世界200以上の国と地域の人々が一堂に集まる平和の祭典でもある。

 肉体の限界に挑戦し、競い合うアスリートの姿は、観客にも感動を与え、一人の人間としての輝きを見せる。

 こうした熱き戦いの姿を目の当たりにすることで、国民、とりわけ次代を担う若者が、自信と誇りを取り戻し、自らの可能性に挑戦する精神を呼び覚ます。

 加えて、世界中から集まった人々と交流することで、何物にも代えがたい心の財産を売ることになる。

 この国の未来を切り開くため、オリンピックを東京で開催することが不可欠である。国、経済界、スポーツ界が一体となり,総力を挙げて招致を獲得する。

  申請ファイルでは、オリンピックは2020年7月24日~8月9日、パラリンピック8月

25日~9月6日となっていますが、今年、皆が実感した高温多湿の日本の夏は、出場選手

や観客には酷な時期であり、ただでさえ電力不足が懸念される時期でもあります。

前回東京オリンピックは、10月開催で秋晴れのいかにも日本らしさを満喫できる時期だ

ったことが強く印象に残っています。

 この時期の開催でなくてはならない理由と対策について伺います。・・・・・・・Q2

A2:スポーツ振興局長

 2020年夏季オリンピック競技大会の開催期間は、国際オリンピック委員会の定めにより、7月15日から8月31日までのいずれかと定められている。

 電力供給については、大会開催時に競技会場等で必要となる電気量は、供給力に対してきわめて小さいと考えているが、さらに省エネルギー型施設としての整備などにより、影響を少なくするよう努めていく。

 過去に国内ではこの時期に、1991年に東京、2007年に大阪で、世界陸上選手権を開催するなど、国際競技大会の開催経験を有しており、気候についても問題はないものと考えている。

 いじめ問題への取り組みについて

 東京都教育委員会では、大津市の事件を受け、突然、夏休み直前の都内の公立学校を対象にいじめの緊急調査を行いました。自治体との調整もないままの唐突な調査でしたが、いじめやいじめの疑いのある事例が11507件も報告されました。東京都教育相談センターが行っているいじめ相談も、7月・8月の相談件数は、昨年と比べ2倍以上あったということです。定期的に実態調査を継続している自治体もある中で、改めて都が子どもたちの実態を適切に把握し、迅速に対応することが重要と考えますが、見解を伺います。・・・Q3 

A3:教育長答弁

 都教育委員会は、本年7月、学校がいじめと認知したものに加え、いじめの疑いがある事例までも含めて把握する独自の緊急調査を実施。現在、各学校は、把握した約1万1千件すべてに全力を挙げて対応。

 この調査は、いじめの関わる情報を多面的・多角的に収集するともに、1件1件に確実に対応することの重要性をすべての教員に徹底することを狙い。

 今後とも、児童・生徒のわずかな変化も見逃さないよう、いじめの実態把握に努め、把握したすべての案件に適切に対応するよう徹底。

  学校側は、これまでは「自分のクラス、自分の学校にはいじめはない」と、いじめの存在そのものを認めませんでした。しかし、「いじめはどこにでもある」という観点に立ち、「あなたの命は絶対守る、見放さない」という真剣な態度で、学校全体が取り組んでいくことが重要です。

 先生が子どもと向き合う時間を確保し、養護教諭、スクールカウンセラー等と日常的に連携しながら、いじめられる子どもはもちろん、いじめる側の子どもにも寄り添った対策を、緊急かつ丁寧に行わなくてはなりません。 

 いじめの早期発見、早期対応に取り組むことこそ評価されるべきであり、学年会議等で問題を取り上げ、話し合い、解決に積極的に取り組むしくみを構築する必要があると考えますが、都の見解をうかがいます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q4

A4:教育長

 いじめ問題に迅速に対応するためには、個々の教員が問題を抱え込むことなく、学校全体で情報を共有し、組織的に対応することが重要。

 都教育委員会は、これまで、各学校が、学年会や生活指導深い等の行内組織を活用し、いじめなど、児童・生徒の問題行動に関する情報を教員間で共有し、一体となって対応するよう指導。

 すべての教員が、「どの学校でも、どの学級でもいじめは起こる」という危機意識を常に持ち、それぞれが把握したいじめに関する情報を学校全体で共有し、早期発見・早期対応に取り組むよう徹底。

都立公園の災害時の役割について

 生活者ネットワークは、都立公園の災害時の役割については、多数の避難者が集まることを想定して整備を進めていくべきと考え、防災公園の見学や防災機能の実態調査を行なっています。15区市ののべ31都立公園の聞き取り調査では、10自治体では現状把握がされていません。災害時の応急給水体制などについて、多摩地域では関係自治体と都の協議会を持ち、連絡体制をとっています。都立公園でも日常の管理は指定管理者が行う中で、いざという時のために、日頃から情報の共有や連絡体制づくりが必要であると考えます。

 そこで、都や指定管理者と各区市町村、さらにはNPO団体との連携や、都立公園が複数

の自治体にまたがる場合の情報共有など、どのように考えているのか、伺います。・・Q5

A5:建設局長

 避難場所である都立公園において、日頃から、地元区市との情報共有や連携を図ることは、発災時に迅速な対応をするうえで、極めて重要なことと認識している。

 都は、防災関連施設の整備にあたり、地元区市や地域住民の方々に、整備内容について情報提供を行うとともに、地域と連携して防災訓練を実施している。

 例えば、舎人公園では、区や地元町会、警察、消防などと合同で大規模な防災訓練を行い、葛西臨海公園では、水上バスによる帰宅困難者の輸送訓練を、小金井公園においては、地元4市と合同で総合防災訓練などを実施している。

 災害時の避難場所の運営は、基礎的自治体の責任において行うこととなっているが、公園管理者としては、地元区市等と連携して、ハード、ソフト両面から都立公園における防災機能の強化に努めてきており、今後とも引き続き高度防災都市の構築に取り組んでいく。

 障害者の就労について

 東京都は、障がい者雇用について、民間企業への就労や都庁でのチャレンジ雇用などを進めていますが、厳しい経済状況の中で、民間企業全体では法定雇用率の1,8%を未だ達成していません。来年4月に法定雇用率が引き上げられることから、障がい者が地域でごく普通に暮らす共生社会に向けた取組を進めていく必要があります。都内企業のうち法定雇用率を達成している企業の割合は3割程度に止まっています。

 都内企業の障がい者雇用を進めるために、都としてどのように取り組んでいるのか伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q6

A6:産業労働局長

 都はこれまでも、民間企業に対して、普及啓発を図るため、ハンドブックの作成・配布やセミナー等を開催。

 また、職場体験や合同説明会の開催等を通じて、障がい者と企業とのマッチングに向けた支援を実施。

 加えて、昨年度からは、障がい者を雇用した経験のない中小企業を対象として、採用前の環境整備から採用後の定着まで一貫して支援するモデル事業を開始。

 こうした様々な施策を通じて、障がい者雇用をさらに推進。

 この夏、視察をした滋賀県の社会的事業所では、障がいのある人もない人も対等で一緒に働く形態の職場に対して、行政が運営経費の一部を補助するほかに、職員の名刺などの印刷物や公園の清掃など、仕事の提供も行っています。障がい者の労働権という観点から最低賃金を保障し、賃金も10万~15万円を得ることができ、障がい者の就労の促進及び社会的、経済的自立支援をしています。一般就労と福祉的就労の中間的な場と言えます。

 一方、現在、東京における福祉的就労で障害者が受け取る工賃は低く、経済的に自立できるような状況にはなっていません。そこで、今後どのように障害者の工賃アップにむけて取り組んでいくのか伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q7

A7:福祉保健局長

 平成21年度に「東京都工賃アッププロジェクト」を策定、生産性の向上に取り組む福祉施設の施設整備への補助を行うとともに、販路拡大のための共同受注等を進めの区市町村の取り組みを包括補助を通じて支援してきた。

 本年6月には「東京都工賃向上計画」を改めて策定、自主製品販売や軽作業等、業務の特性に応じたきめ細かな取り組み手法に関する業態別研修を実施するなど、福祉施設の経営努力や創意工夫を促す事業を展開。

 今後とも、区市町村と連携しながらこうした取り組みを進め、福祉施設の工賃アップを支援していく。

  障がい者雇用の場の確保に向けては、都庁自らが取り組む必要があります。例えばグリーン購入法にもとづく調達方針には、環境配慮の物品等の使用を優先させる方向が示されています。都では、昨年6月改正した「技術力評価型総合評価方式試行要綱」に障がい者雇用の実績点を入れましたが、雇用状況が厳しい時代だからこそ、「政策入札」のひとつとして、契約における障がい者雇用の取り組みを重視していくことが、社会的な要請としてますます求められています。都としての見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・Q8

A8:財務局長

 現在、都においては、障がい者雇用に積極的な企業について、工事契約においては「東京都技術力評価型総合評価方式」や「東京都技術実績評価型総合評価方式」での実績点として評価するとともに、物品買入れ等契約においては優先指名のための選定要素の一つとして評価しているところである。

 今後とも契約の原則である公正性、競争性の確保を基本にしつつ、適切に対応していく。

 現在、都庁の清掃事業の一部をビルメンテナンス協会が行っており、知的障がい者が働いています。調査委託とはいえ、知的障がい者が働く場を都がつくるのは、大切なことです。今年6月ハート購入法が制定され、来年4月施行されます。今後、東京都も調達方針の策定にむけて、関係局と連携し、障害者の自立支援に取り組む事を要望します。

再生可能エネルギーの普及について

 今年7月に始まった固定価格買い取り制度によって、再生可能エネルギーの拡大が期待されています。実際、メガソーラーが全国的な広がりを見せていますが、同時に、市民がお金を出し合って太陽光発電を導入する市民共同発電所など、市民が電気を消費するだけでなく自ら電気をつくり出す活動も活発になってきています。集合住宅の屋根を使う市民共同発電所の動きもあるところです。東京都はこれまでも積極的に太陽エネルギーの活用に取り組んできました。固定価格買取制度を活用した建物の屋根貸し事業など、新たなビジネスモデルが今後のさらなる普及につながると考えますが、見解を伺います。・・Q9

A9:環境局長

 都は、固定価格買取制度の導入により再生可能エネルギーの分野へ新規参入が期待される事業者を後押しするため、太陽光発電の「屋根貸し」ビジネスについて、発電事業者と建物所有者のマッチングの場を提供するなど、独自の取り組みを展開していく。

 小田急線地下化後のまちづくりについて

 梅ヶ丘駅から代々木上原駅間では、現在、連続立体交差事業が、進められています。鉄道地下化に伴い生じる線路跡地の利用について検討が進められてきましたが、東日本大震災の経験を踏まえ、世田谷区では、地域防災などの視点から追加、修正を行ない公表しました。しかし先月の新聞報道によれば、震災前に3者で合意した内容を、区が一方的に見直し、公表したことに、東京都が抗議したと書かれていました。震災以降、市民の防災に対する関心は高く、防災のまちづくりの観点で小田急線の上部利用について見直してみるのは当然と考えます。小田急線の地下化に伴う地上部利用の取り組みについて、都の見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q10

A10:建設局長

 平成17年度に、都、世田谷区、渋谷区並びに小田急電鉄で検討会を設置して協議を重ね、防災性にも配慮した地上部利用計画案のたたき台を示して住民意見を聴き、関係者の合意の上、昨年3月に世田谷区が計画案を公表。

 しかし、本年7月に、財源の裏付けがなく、費用負担について関係者の合意のない修正案を、世田谷区が単独で作成、公表する意向を示した。

 このため、都は、土地所有者である小田急電鉄など関係者の合意を得ずに公表することは、相互の信頼関係を損なうのみならず、地元にも混乱を招くことから、公表を見合わせるよう要請したが、区は公表に踏み切った。

 これを受け、都は検討会を直ちに再開し、在来線の地下化など工事工程に影響を与えないこと、費用負担を含めた実現可能な計画を立案すること、適切な手続きに従って協議を進めることを、世田谷区など関係者と調整し、改めて認識の共有化を図った。

 今後とも、昨年3月の関係者の合意を踏まえ、必要な検討を加えた上、小田急線の地下化に伴う地上部が有効に利用されるよう、積極的に取り組んでいく。

以上