2011年6月24日
西崎 光子
まず始めに、3月11日に発生した東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災した皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
1,都政運営について
今回の震災は、多くのひとの価値観を変えるほどの大きな衝撃を与え、明治維新、戦後についで、第3の変革期が来たと言われており、政治だけではなく、産業構造、エネルギー政策、社会保障、さらに私たちの生活や生き方までも見直していかなければならない時期になりました。
石原知事4期目のスタートにあたり「都政運営の新たな戦略」も示されましたが、日本の自治体のトップに立つ知事として、どのような決意で臨まれるのか。知事の見解を求めます。・・・・・・・Q1
A1:(知事)
かつての明治維新であれ、敗戦の地位の日本の復興であれ、国家の存亡を掛け、また自らの人生を掛けて先人達がその度、苦労を重ねた結果、我が国は雄々しく立ちあがってできた。今回の大震災も、沈みゆく日本にとって致命的な打撃で終わるのか、あるいは、再起の起点となるかは、ひとえに我々の決意と歓呼によると思う。
物質文明の繁栄を謳歌し、過度の便利さや資源の浪費を当たり前と思う生活を見直して、21世紀に相応しい環境と調和した社会の造成に努めなければならない。
また、防災となり組のような身近な隣人との共助の仕組みを縁として、外交さえ、責任への自覚を取り戻し、人間の絆を再び結びなおしていく必要がある。
大震災を機に、都民、国民の間には、自ら生きる国家社会のためにそれぞれが何をなすべきかと考える風潮が、ようやく再生しつつある。その中で、大きな現場を抱える東京から具体的な手立てを通じて、社会の根源的な部分の修復を果たしながら、この国を真の復活へと導いていきたい。
5月に出された「都政運営の新たな戦略」には、「10年後の東京」計画を改定して「2020年の東京(仮称)」を策定し、都がめざす将来の東京の姿とそこに向けた政策展開を明らかにすると述べられています。将来の東京を描きこれからの方向性を考えていくためには、大きく時代が転換するときだからこそ、多くの都民が参加し、知恵を出し合い議論を進めていくことが重要です。都内には、民間企業だけでなく多くの市民活動の実践があり、経験もスキルも蓄積されています。
「10年後の東京」計画の改定にあたって、都民が参加する機会をどのようにつくるのか。お訊ねします。・・・・・・・・・・・・・・Q2
A2:(知事本局長)
東京が今回の大震災を乗り越え、21世紀に真に相応しい都市へと進化するためには、都民、区市町村、民間事業者、NPOなど、東京を支える多様な主体との協働が欠かせない。
これまでも、「10年後の東京」計画を着実に推進するためのアクションプランである「実行プログラム」の策定過程において、区市町村はもとより、世論調査やインターネット都政モニターアンケート等を活用して、都民の意見・要望を計画に反映してきた。
「10年後の東京」の改定にあたっても、引き続き、多様な機会、手法を用いながら、都民意見の集約に努めていく。
2,災害・復興の対策について
東日本大震災から3カ月が過ぎても、高齢者や子どもを抱えた母親、病人、障害者など困難な状況に置かれやすい人々が、避難所などの生活で、依然として不自由を強いられており、きめ細かい支援が求められています。
避難所運営や仮設住宅の運営に当たっては、地域で生活をしている女性の視点を活かし、被災者に寄り添った支援を行うために、避難所運営に女性のリーダーを配置することや、防災会議などに女性の参画を進め、男女が共に協働で災害復興対策を進めていく必要があります。
このことは、阪神淡路大震災・中越地震を経験した女性たちから指摘され、2005年に防災基本計画の中に「女性の参画・男女双方の視点」が明記されました。
今回の災害・復興にあたっても女性の視点を入れる必要があると考えますが、都の見解を求めます。・・・・・・・・・・・・・・・・・Q3
A3:(総務局長)
今回の震災では、長引く避難生活の中、プライバシーの確保が十分でない等により、女性が様々な不安や悩みを抱える事例が見受けられた。
地域防災計画では、男女双方の視点に配慮した防災を進めるため、防災に関する政策・方針決定過程や防災の現場における女性の参加の拡大を掲げている。
地域防災計画の趣旨を踏まえて、東京の防災力向上に取り組んでいく。
都が被災した場合に、ボランティアの受け入れについて、どういう体制をとるかは重要です。災害が起こった時に、被災した初期から地域のボランティアがすぐに活動に入れること、また、被災者のニーズを把握してボランティアを受け入れることが必要であり、ボランティアを受け入れるためのコーディネーターの役割がとても重要になります。
ボランティアの受け入れに向けて、災害ボランティア・コーディネーターをどのように育成していくのか、都の見解を伺います。・・・・Q4
A4:(生活文化局長)
都は、東京都社会福祉協議会と協定を結び、災害ボランティア・コーディネーターを育成することとした。
これに基づき、東京ボランティア・市民活動センターにおいて、コーディネーター経験者が被災地での活動を報告するプログラムや、ニーズの収集の仕方、被災状況を設定した図上訓練など、実践的な内容の研修を実施。
引き続き、東日本大震災における経験も踏まえ、災害ボランティア・コーディネーターの育成に努めていく。
3,放射能の汚染対策について
原発事故収束のめどが立たない中で、放射能汚染への不安は、広がるばかりです。
チェルノブイリ事故の際、日本では輸入食品の放射能汚染に対し、放射性セシウムについて370ベクレルの暫定限度を設け、それを超えた香辛料や干し肉などが輸出国に送り返されました。
都の健康安全研究センターはその後も輸入食品の放射能測定を継続しており、平成21年度も基準を超えたブルーベリー加工品などがあったと報告されています。事故発生から25年近くになってもいまだ放射能の影響があることから、こうした検査を継続していることは心強いものです。
今回は国内で発生した放射能汚染であり、輸入時の基準では済まないことは明らかです。国は3月17日急遽食品に関する暫定規制値を発表、3月21日には飲用水の摂取制限に関する指標が乳児についても設定され、子どもへの影響を懸念する声が高まりました。
都は都内産の農産物についても検査を行っていますが、消費者のみならず生産者からも検査品目を増やしてほしいという声が聞かれます。特に子どもに提供する給食食材等の安全確保も大きな課題です。これからの食の安全について都の見解をうかがいます。・・・・・・・・Q5
A5:(福祉保健局長)
食品の放射性汚染のへの対応としては、生産状況が把握できる生産地において検査を実施し、安全確認を行うことが最も確実。
国は生産地で検査を実施し、暫定規制値を超える農産物等が流通しないよう、出荷制限等を実施する仕組みを構築。
都内産の農産物等については、都が計画的に検査するとともに、必要に応じて対象を追加しているところ。
今後とも、都内における食品の放射能測定体制を充実し、食の安全を確保。
今回の放射能汚染については、都は当初から連日健康安全研究センターや産業技術研究センターでの放射線量や放射能測定を行い、さらに地上1メートルでの測定や、都内100カ所での測定及び測定器の貸し出しなどにも対応してきたことは評価するものですが、放射能汚染の測定や、暫定規制値が順守されても、数値の持つ意味などが正しく理解されない限り、都民の不安はなかなか解消されません。残念ながら、放射能汚染は一朝一夕に解決することができないことから、その時々に応じて学習会やシンポジウムを、回数や場所を増やして開催し、都民が正しく対応できるようにすべきではないかと思います。都の情報提供の在り方についてうかがいます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q6
A6:(福祉保健局長)
都は都民の不安を解消するために、ホームページにおいて大気中の放射線量などの最新データを公表するとともに、電話相談窓口を設置し、これまでに4千件を超える都民からの問い合わせに対応。
また、今月11日には、「放射性物質と食品の安全性」をテーマに食の安全都民フォーラムを開催し、専門家による講演や、パネルディスカッションを行った。
今後は、さらに都民向けのシンポジウムや学校関係者等への講習会を開催するとともに、ホームページを再構築し、その時々に都民の関心が高い事項についてデータ等を用いて解説するなど内容の充実を図る。
こうした取組により、都民に対して、放射線のリスクの程度や必要な対応に関する情報を提供。
4,エネルギー政策について
生活者ネットワークは、これまでも原発に依存しない再生エネルギーや自然エネルギーにシフトしていくエネルギー政策を求めてきました。
今回の緊急プログラムは、これまでの温暖化対策の取り組みを踏まえて、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入をさらに進めようとするものです。今年の夏については緊急的な措置となりますが、今後の方向性を「低炭素・高度防災都市を目指して」と将来像を示しています。これは、CO2削減とエネルギーの確保をあわせて実現しようという意欲的な取り組みと認識していますが、見解をお訊ねします。・・・・・・Q7
A7:(環境局長)
都は、大規模事業所へのキャップ・アンド・トレード制度や中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度等、国に先駆けた施策を積極的に展開。
今夏は、電力危機の克服に向けた緊急避難的な措置として、老朽化した火力発電所の再稼働等によるCO2排出量の増加が懸念される状況。
都は、自立・分散型でより低炭素なエネルギー源の確保、過度に電力に依存した生活様式やビジネススタイルの見直し等の視点を持って、災害時のリスクにも強く、同時にCO2排出量が少ないエネルギー利用のあり方等について、検討。
今年夏の取り組みは、自家発電を活用することも入っています。緊急対策という観点からやむを得ないところではありますが、CO2削減との両立というところからは課題もあります。一方、一般家庭においては太陽光発電が促進されていますが、市民が出資して再生可能エネルギーの発電所をつくる動きも全国に広がっています。東京でも市民の活動により、お寺や幼稚園の屋根を使って太陽光パネルを設置した事例がありますが、自宅に太陽光パネルを設置できない人も参加できるしくみとして注目されています。今後、支援策を充実するよう求めるものです。また、エネルギーは電気だけでなく、太陽熱や地中熱利用、ガスなどで電気と熱を生み出すコージェネレーションも実用化されています。
今回の補正予算には、家庭における分散型電源の導入補助として、ガス・コジェネ機器も対象としていますが、家庭における分散型電源確保の意義について伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・Q8
A8:(環境局長)
各家庭においても、可能な限り自前の電源を保有し、自立的に電力を賄う取組を進めることは、電力不足が生活に支障を来たすリスクを減少させる意味でも、また、社会全体における電力のピークカットに資する意味でも、非常に重要。
今回の緊急対策では、これまでの太陽エネ機器に加え、ガス発電機器や燃料電池という家庭向けガス・コジェネ機器も導入補助の対象とすることで、家庭における多様な電源確保を支援。
以上。