第2回定例会代表質問
山口文江
都政改革について
Q1.生活者ネットワークは、政治の主役はまさに市民であり、都知事でもなく、議員や職員でもないことを常に表明し、政策決定過程を明らかにして、市民参加で政策や制度を決定する道筋をつけてきました。しかし現在の石原都政はその逆です。浜渦副知事は不正をねつ造しただけでなく、その後の百条委員会で、法律を犯す偽証をするなど、都民を無視したやりたい放題の都政運営はまさに告発に値するものです。また、副知事や出納長による偏った情報をうのみにして、判断を誤った知事の責任は重大です。
4年前の本会議で、知事は今後の都政運営について「都政はチームプレーで知事ひとりが獅子奮迅してもどうなるものではなく、多くの職員のアイデアを十分出し合っていく都政を心がける」と述べています。しかし、石原知事が容認してきた側近政治は、内部人事や利権の争いなどが垣間見られる恐怖政治となり、都政運営を大きな混乱に陥れました。これはまぎれもなく知事の責任です。
昨日の所信表明では、社会福祉総合学院をめぐり都政を混乱させ、都民に不安を与えたことに対する何らの謝罪もありませんでした。また、副知事をはじめとする特別職の人事案も出されておりません。この都政運営を早急に立て直すためには、今回の混乱の責任を明らかにして、速やかに人事の刷新をすべきです。副知事の選任にあたっては、密室・根回し政治を変えるためにも、今までとは違う視点を持つ女性副知事の登用を強く求めます。
また、百条委員会で告発を決定した浜渦氏に対し、問責決議で終わらせるようであるならば、議会自らの自殺行為であり、議会の一部と手打ちをするような密室政治こそが浜渦・石原体制の都政を生み出したに他なりません。内田議長が常々いわれる議会の権能を念頭に置きながら、十分な議論をし、根回しや口利きの政治、権力闘争は今こそ排除しなければなりません。
都政運営を大きな混乱に陥れた知事自身の責任はどのように果たされるのか伺います。
A1.(知事答弁)
今会期中に人事の一新を含めて適切に対応し、私としての責任を果たしてまいります。
Q2.東京都発注工事の橋梁談合に、天下りした都職員OBが係わっているとされる「口利き疑惑」が出ています。事実であれば、毎年多額の公共事業を発注し、さまざまな補助金支給、許認可の決定を行う権限を有する局長級以上の幹部の再就職に関して、都の公共事業の公正さへの影響が懸念されます。
生活者ネットワークは、昨年、再就職先の公表を提案し、9月に初めて公表を実現しました。
第三セクターへの天下りは、都職時代に発注元であった元局長が、破綻した受注者の長になるなど、今後の組織の立て直しに危惧があります。民間と同様2年間の禁止措置をすべきです。
A2.(総務局長答弁)
・監理団体は都の行政を補完代行するなど重要な役割を担っている。
・都の退職者が在職中に得た知識や経験を団体の経営に還元することは、都政にとっても必要であると認識。
・なお、監理団体への再就職後は、団体の経営を担うものとして、都民から批判を招かぬよう行動することは、当然と考えている。
地域福祉の推進について
Q3.都は「福祉改革推進プラン」と「TOKYO福祉改革 STEP2」の二つの計画に基づき、NPO支援策の充実や,都独自の包括補助制度など、ユニークなとり組みを積極的にすすめ、地域福祉の拡充に取り組んできました。
現在介護保険に次いで障がい者の自立に向けた法律が審議されており、福祉分野ではこれまで以上に区市町村主体の施策展開が必要です。区市町村をしっかりと支え、NPOやボランティア活動など市民参画を進め、市民同士の相互連携を深めることが、東京の福祉の最重要課題です。
先の2つの計画は残念ながら、2004年度末で計画期間が終了しています。今後「地域」をコンセプトとした取組をさらに発展させるために、今年度以降の東京都の福祉施策の基本的な方向性をどのように示していくのか、所見を伺います。
A3.(福祉保健局長答弁)
・ 都は、これまで、誰もが地域で自立した生活を送ることができる「利用者本位の新しい福祉」の実現をめざし、福祉改革に全力で取り組んできた。
・ その結果、2004度末には、2000年度と比べ、認知症高齢者グループホームの定員は約50倍、知的障害者グループホームの定員は、約2.2倍になり、高齢者や障害者の生活を支える地域の基盤整備は着実に進んでいる。
・ また、包括補助制度である「福祉改革推進事業」や昨年度から開始した「ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり推進モデル事業」などにより、地域の特性を生かした区市町村の主体的な取組を積極的に支援している。
・ こうした改革をさらに進め、東京の福祉水準全体の向上を図っていくために、福祉施策の新たな方向性を示していきたい。
Q4.外出の自由を阻害されることはだれにも起こりうることです。生活者ネットワークは「移動困難者の移動の確保」のため、移送サービスに取り組むNPO等への支援を提案してきました。2004年3月には国土交通省から「福祉有償運送」に関する道路運送法80条許可に関するガイドラインが出されました。各自治体区は、移動困難者の実態把握と、移動サービスを担うNPO等を支援し、自治体の交通政策等へ反映するため、2006年春までに運営協議会を設置しなくてはなりません。しかし、区市町村における運営協議会の設置はまだ7区に留まり、このままでは運営協議会の空白地域を作りかねません。都は17年度末までに福祉有償運送を実施しているNPO団体等が、法による許可をえられるよう、運営協議会の設置について、どのような支援を行うのか、伺います。
A4.(福祉保健局長答弁)
・ 福祉有償運送事業は、国の方針により、自治体が設置する運営協議会の協議を経て、道路運送法に基づく許可を得なければならないこととされている。
・ 都は、区市町村に対し、こうした方針等の説明や、事業の実態把握等に努めるとともに、運営協議会の早期設置に向けた働きかけをこれまで行ってきた。
・ 現在、区市町村の意向を踏まえ、既に単独で設置している区市町村等を除き、区部、市町村部毎の運営協議会の共同設置に向けて、調整を行っている段階。
・ 今後は、運営協議会マニュアルを作成するなど、事業の円滑な推進に向け、一層きめ細かな支援をしていく。
意見
福祉有償運送に関しては、利用者の安全確保のため、運行管理者研修、運転者研修が重要です。人材育成および育成者支援こそ、広域的な東京都の役割です。今後の課題として是非検討されることを望みます。