2015年第3回定例会 討論

2015年第3回定例会 討論

 

2015年10月8日

都議会生活者ネットワーク

小松 久子

 

都議会生活者ネットワークを代表して、第154号議案「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例」および第156号、157号の3議案に反対、その他の知事提出のすべての議案に賛成の立場から討論を行います。

 

  • マイナンバーについて

まず、第154号議案について意見を述べます。

この条例は、社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度の導入に伴い、個人番号の利用および特定個人情報の利用や提供に関して、その範囲を都の事業に合わせて拡大するために新設提案されたものです。マイナンバー制度は、乳幼児もふくめた国民すべてに一生涯変えることのできない12桁の個人番号を振り当て、行政手続きのさまざまな場面で活用しようとするシステムですが、国民の多くは、個人情報が流出しプライバシーが侵害されるのでは、という危惧を抱いています。実際、共通番号制度の導入先進国であるアメリカでは、なりすまし詐欺に悪用される事件が多発しており、韓国では昨年、共通番号や個人情報が大量流出し社会を揺るがしました。日本でも年金情報が流出する事態が起きています。

そのようにリスクの多い制度でありながら、国民の間でひろく議論されることもなく、この10月5日に施行されたことは大きな問題です。しかも、マイナンバー制度を施行する前の9月3日に改正法が成立し、預金口座に結び付けられるようになりました。各自治体では実際に事務作業を担うためこの制度の運用準備に右往左往しており、国からの補助金では経費がまかないきれないという声も出ています。個人情報の管理体制の未熟なわが国において、このような制度を導入することには賛成できません。

よって、この第154号議案とあわせて、関連する第156号、第157号議案についても反対とします。

 

  • 子どもの貧困対策について

貧困や虐待などで社会的養護を必要とする子どもたちにとって最も望ましいのは、家庭的な環境で育つことであり、かねて指摘されているように里親委託を増やす取り組みが必要です。そのための支援策の一つとして、育児休業を里親にも認めることが求められています。国に対して働きかけるとともに、まずは、東京都の職員が里親になることができるよう、都は率先して労働環境の整備に取り組むことを要望します。

生活者ネットワークは、児童養護施設を退所した子どもへのアフターケアを進めるよう、これまでも求めてきましたが、例えば都が空き家を借り上げ、NPOなどに運営を委託して安価な住居として提供するなど、若者の自立のために必要な支援策のさらなる強化を求めます。

日本の子どもの貧困状況はきわめて厳しく、特にひとり親世帯の子どもの貧困率はOECD加盟国中最下位という状況です。都は、子どもの貧困の撲滅を重要な政策の一つとして位置づけるべきです。そして対策のためにはまず実態を捉えることが不可欠であり、ぜひとも実態調査をしていただくことを要望します。

 

  • ごみ減量について

都は現在、廃棄物処理計画改定の検討を始めています。東京全体でごみ量は減っており、今後は人口減少も相まって、計画の目標値は、減少が前提になるものと思われます。ごみ行政は基礎自治体の仕事ですが、都としては埋立地の管理・運営だけでなく、ごみ処理に伴う大気や水などの環境汚染を監視する役割もあります。

いま、PCBなどの有害物質を引き寄せるマイクロプラスチックによる海洋汚染や、それを鳥や魚が食べることによる生態系への影響が深刻な問題になっています。さらに、化粧品や歯磨き粉などに含まれる非常に微細なマイクロビーズは、下水道でも処理できないことから、アメリカでは規制が始まっていますが、日本ではまだ何の対策もとられていません。今年6月のG7サミットでも「海ごみ問題」の対策が盛り込まれ、あらためてプラスチックごみの削減が求められています。多摩地域では各自治体の努力によって削減が進んでおり、23区でもプラスチックの発生抑制やさらなる分別・リサイクルが必要です。都から自治体への積極的な働きかけを要望します。

 

  • 議会改革について

最後に、議会改革について申し上げます。

昨年、都議会本会議でのセクハラ発言が社会的に大問題となり、自治体議会における性差別の実態を洗い出して議会のあり方を見直そうという全国規模の動きに発展しました。全国フェミニスト議員連盟は昨年アンケート調査を実施し、先日その結果がまとめられましたが、回答のあった全国143人の自治体議員のうち半数以上は性差別があったと報告されています。この報告書では女性議員が当たり前に働ける議会を増やすための活動を展開していくことが表明されていますが、この都議会でも、男女がともに互いの人権を尊重し活動できるよう検討していく必要があります。

そのようななか、都議会生活者ネットワークが再三提案してきた議会のあり方検討会がようやく設置されましたが、全会派がメンバーとならなかったことは残念です。都議会の議会改革は、全国から注目されています。定数の是正だけではなく、費用弁償の見直しなど、少数会派の意見も反映していくことや、都民に出来る限り情報公開していくなど、民意を反映し開かれた議会へと改革することを求めて、都議会生活者ネットワークの討論といたします。

以上