2016年第1回定例会を終えて(談話)
2016年3月25日
都議会生活者ネットワーク
幹事長 西崎 光子
本日、第1回定例会が終わりました。都議会生活者ネットワークは、2016年度の「水道事業会計予算」と議員報酬を値上げする条例改正に反対しました。
水道事業会計については、「東京水道経営プラン2016」が出され、「東京水道施設整備マスタープラン」に基づいて、これから老朽化した浄水場の更新工事が始まりますが、施設整備の計画は過大な水需要予測に基づくものです。ダウンサイジングを考えるべきであり、八ッ場ダムをはじめとする無駄な水源開発や過剰な施設整備をすすめていく水道事業会計予算に反対しました。
潤沢な都税収入を受け、オリンピック・パラリンピック開催のためのハード整備を中心とした巨額投資がいよいよ本格化しますが、その負担がどこまで膨らむのか予測ができません。関連施設建設のための予算が各局の事業費の中に入り始めており、大会後に検証できるよう、ほかの事業費に潜り込ませるのではなく、大会関連施設のための費用として計上すべきと指摘しました。
大規模地震への備えとして、道路整備に多くの予算が計上されました。都市計画道路の計画は、今後の人口減少を見すえたものでなければなりません。特に、今回優先整備路線に選定された小金井3・4・1号線と3・4・11号線は、貴重な湧水や緑のベルト地帯である国分寺崖線を横切り、武蔵野公園を分断します。都市計画決定から半世紀以上も経過し、社会状況も街の姿も大きく変わっており、都は、新たに不要な大きい道路を造るのではなく、市民に必要な道路整備を支援すべきです。また、計画検討路線となった外環の2は、本線が地下化されたことで必要性がなくなったものであり、見直し候補路線とすべきです。
大災害に備えるなら、大型道路を無理やり造るよりも、市民が自分の命を守るためにすぐにでも取り組める身近な防災や、コミュニティによる対策を優先すべきであると指摘しました。
首都直下地震に対する備えとして、防災ブック「東京防災」が各家庭に配られ、防災への関心が高まるとともに、自助・共助の考え方も広がりました。大切なのは、とにかく生き残ることです。震災の際にも何とか生き延びるために、都としても、安価で簡易な住宅の耐震改修をする「ほどほど耐震」を促す啓発活動を求めました。
日本周産期・新生児医学会/日本小児科学会等が要望書を出し、「災害時には先進国でもミルクが無い・作れない状態が容易に発生するため、欧米では普及している調乳不要の液体ミルクを有事には迅速に輸入し被災地に届けることができる体制と法規の整備を急がれたい」と訴えています。国内で液体ミルクは製造されておらず、個人輸入という方法でしか手に入れることはできません。液体ミルクを供給できるよう、都としても国に要望することを求めました。
帰宅困難者の受入一時滞在施設は目標の4割にとどまっており、その理由に備蓄品の保管場所がないことが挙げられています。都有地や都有施設を備蓄倉庫として提供するなどして、避難拠点になる民間施設の整備が一刻も早く進むよう要望しました。
終末期を地域で暮らし続けたいという希望に対応できるよう、地域に根ざし、地域に開かれた多様な看取りの場として「ホームホスピス」のような小規模な施設整備は、今後、必要となってくると考えます。地域の病院やかかりつけ医との連携も進め、緩和ケアのあり方についても検討し、「人生の最期をどのように迎えたいのか」本人や家族が、在宅か施設かというだけではなく、医療や介護についても選択できる環境の整備に取り組んでいくことを求めました。
組み体操などの安全対策について、都教育委員会は「体育的活動における安全対策検討委員会」を設置し、対応方針が出されました。検討委員会では組み体操だけでなく、他のさまざまな体育的活動にも危険が伴うことが指摘されました。子どもの事故は体育だけではありません。柔道の授業や部活動、通学路での交通事故など学校の管理の下で行われる活動に関して、子どもの命を守る一歩として、包括的な安全のためのしくみを構築するよう求めました。
夜間定時制高校の廃止について、多くの市民やノーベル賞受賞者の大村智氏をはじめとする学者・文化人が反対の声を上げ、都議会にも存続を求める請願・陳情が相次いで提出されたのは、夜間中学出身者や多国籍の生徒が学べる場としての、最後のセーフティーネットとなっています。これらの学校は、各地域に応じた取り組みによって、これまで地域の中でかけがえのない存在として教育にあたってきた歴史があります。日本語の能力が十分でない、あるいは他の学校では受け入れられなかった、多様な人たちに学びを保障する、貴重な取り組みはぜひとも存続させていくよう、教育委員会の再考を強く求めました。
LGBT当事者や支援者たちが年1回、集まって盛大に繰りひろげられる祭典「レインボーパレード」に東京都の後援と知事のメッセージを強く希望しています。4月末から5月にかけて催されるこの祭典は、オリンピック開催年である今年、国際都市・東京が、多様性を認める人権都市であることをアピールできる絶好の機会と考え、応援するよう要望しました。
都議会生活者ネットワークは、環境と福祉を優先した持続可能なまちづくりに向けて、生活者の声を都政に届けてまいります。皆様からのご提案をお待ちしております。