2013年都議会第1回定例会討論

2013年都議会第1回定例会討論

2013年3月28日

都議会生活者ネットワーク・みらい

西崎光子

 都議会生活ネットワーク・みらいを代表して、本議会に付託された知事提出の、第18号議案、第25号議案に反対、その他の知事提出のすべての議案に賛成の立場から、討論を行います。

 ●第18号議案「東京都中央卸売市場会計予算」について

 築地市場の移転先である豊洲新市場予定地では、大震災を経て、液状化や新たな汚染が見つかるなどで、追加の対策や費用が必要となり、新市場開設が先延ばしになりました。いまだ食の安全への信頼が得られているとは言えません。直下型地震への備えや汚染対策にどれだけ税金をつぎ込むことになるのか見えない中で、この予算に賛成することはできません。

 ●第25号議案「東京都水道事業会計予算」について

 3.11大震災と原発事故を経て、都民はエネルギーや水の大切さを改めて認識し、省エネ・節水に自然体で取り組み始めています。2012年の1日最大配水量は、前年よりさらに減って、実績と予測との乖離はさらに大きく広がりました。都は相変わらず八ッ場ダムの必要性を強調していますが、水需要のピークを想定する2020年の完成さえ難しくなっています。八ッ場ダム建設費分担金30億円を含む水道局予算に反対します。 

 ●第1号議案「平成25年度東京都一般会計予算」について

 猪瀬知事による初めての予算は、5年ぶりに増加に転じ、一般会計は前年に比べて1.9%増の6兆2,640億円となりました。都税収入は前年比3.9%増となっていますが、そのうちの約1/3を占める法人二税は景気変動の影響を受けやすく不安定であり、都債の発行や基金の活用などで常に適切な財政運営が求められています。

 今回、歳出の目的別内訳で「福祉と保健」が初めて1兆円を超え、構成比でも最大となりましたが、その中身は社会保障関係の法定負担金の伸びに負うところが大きく、今後の少子高齢社会の進行は、さらなる負担金の増加に直結するものです。実際にサービスを担う区市町村にとっても非常に大きな課題となってまいります。都としても、区市町村が主体的できめ細かな取り組みを実行できるよう支援すべきです。

 保育待機児問題が大きくクローズアップされる中、都は認証保育所・スマート保育と、独自の保育制度を創設していますが、若い世代が安心して働き続けるためには、認可保育所の増設と応能負担を基本とする保育料の負担軽減、さらに3歳以降の受け入れ体制の充実に向けて、都の支援策をぜひ打ち出していただきたいと思います。

 国の「住民生活に光をそそぐ交付金」は今年度で終わることになりましたが、これを使ったDV被害者支援事業は、被害者の自立支援につながってきました。本人に寄り添ったサポートや一定期間居住できるステップハウスを継続するためには、都独自の支援を行うことを要望します。

 ●第29号議案「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」

 自転車は、環境にやさしく身近な乗り物として気軽に利用されていますが、

 便利な反面、危険を伴うことを忘れがちです。今回条例が提案されたことで、改めて交通ルールを守り、他人にも自分にも安全な利用を進める意識啓発になることを期待します。それと同時に、自転車が安心して走れる走行空間の整備や駐輪場の設置などハード面の整備を後押しするものでなくてはなりません。関係各局や区市町村および事業者との連携を強化して、自転車や自転車利用者の安全確保と利便性向上に努めていくことを要望します。

 ●第45号議案「東京都防災会議条例の一部を改正する条例」について 

 生活者ネットワークは阪神淡路大震災以降、避難所運営などに女性の視点が必要なことを訴えてきました。東日本大震災を受けて、これまでハード系の専門家で構成されていた東京都防災会議に女性を入れることを明言したことはも、一歩前進です。女性や障がい者など災害弱者になりがちな当事者の意見をしっかりと聞き取り、計画に反映させるためには、立場の異なる複数の女性の委員が必要です。さらに東日本大震災で明らかになった子どもへの配慮と支援についても、早急に検討することを求めます。

 ●教育について

 いじめ・虐待・体罰など子どもが生きにくい社会状況が続く中、子ども自身が生きる力を身につけていくことが重要ですが、まずは学校教育がそれを支援するものでなくてはなりません。強権的な指導が目立った東京都教育委員会ですが、知事も交代した今、新たに二人の教育委員を迎えて、子どもに寄り添った教育が進むことを大いに期待します。

 また教育委員会における障がい者の雇用についても、法定雇用率の早期達成に向けて検討すると明言されましたが、今後の動向を注視してまいります。

 東日本大震災から2年が経ちましたが、先日福島第一原発で起きた原因不明の停電によって燃料プールへの給水が一時停止したことで、改めて原発事故の収束とは名ばかりの危険な状態にあることを認識させられました。にもかかわらず、経済再生のためには原子力エネルギーに頼らざるを得ないとばかりに、既存原発の再稼働を急ぐ動きがあることは驚くべきことです。これまでの生活スタイルや価値観の転換が迫られていることは、都民の多くが実感しています。

 さらに国立社会保障・人口問題研究所が昨日発表した将来人口推計では、大都市においても高齢者人口が急速に増加し、すべての都道府県で2020年以降人口が減少に転じると予測しています。大都市の人口減少・高齢化は、経済や社会保障全体に大きく影響するばかりでなく、水やエネルギー消費の予測も変わってきます。水やエネルギーを浪費するこれまでの20世紀型経済社会から脱却し、持続可能な社会を作り出していくための新たな都政運営こそ、今もっとも求められているものです。

  最後に、総務委員会に付託された常設型住民投票条例の陳情は、「慎重に検討すべき課題が多い」「時期尚早」として不採択となりましたが、昨日、小平市議会において、都内初の常民投票条例が可決されました。主権者である市民の意思を問うことは重要であり、都議会としてもしっかりと受け止め、議論をしていくべきであることを申し上げ、都議会生活者ネットワーク・みらいの討論を終わります。

以上