2010年第3回定例会 討論

2010年10月7日
山内玲子

都議会生活者ネットワーク・みらいは、今議会に上程された全ての議案に賛成し、討論を行います。
まず、今議会中に行われた築地市場の移転に関する特別委員会及び小委員会は、休日返上で委員会を開催するなど、各会派委員や所管局、知事本局調査チーム、議会局など関係者のご努力に敬意を表するとともに、その審議の中から明らかになった課題解決に改めて取り組むことを求めるものです。
築地市場では、アスベストを再整備の課題の一つとして挙げていますが、公共施設であり、食品を扱う市場のアスベスト対策が、移転を見越して、足踏みしているとすればあってはならないことであり、すぐさま安全対策を講じながら除去するべきです。
分別し適正に処理されるべきアスベスト含有建材が、建設資材のリサイクル製品である再生砕石に混じって、あちこちに撒かれている実態が、新聞報道などで明らかになり、生活者ネットワーク・みらいは一般質問でも取り上げました。
アスベスト対策は、適切な解体仕様の遵守の監視とアスベスト含有廃棄物の分別と適正処理・処分の監視につきます。そのためには、解体時の届出が適切に行なわれることが重要であり、届出違反の撲滅のためには、届出が必要な建物をあらかじめ把握しておくことが必要です。都として、すでに調査している1000㎡以上の建物の吹き付けアスベストの補足率を高め、1000㎡以下の建物や非飛散性アスベストの使用実態についても調査し、アスベスト使用建物リストをつくり、市民に公開し、アスベスト飛散リスクの「見える化」を図るべきと考えます。砕かれて混じってしまってからでは手遅れなのです。アスベスト被害が顕在化するのには40年もかかるといわれています。子どもたちこそ守られなくてはなりません。アスベスト廃棄物の分別の徹底と適正処理・処分のために、環境首都東京を標榜する石原知事こそ先頭に立って対策を講じられることを要望します。
また期せずして、23区と多摩部で水銀を含んだ廃棄物処理の問題が発覚しました。水銀などを含む廃棄物は、一般廃棄物でも有害ごみとされているにも関わらず、適正な管理システムが整備されているとは言えません。一般廃棄物の処理は区市町村の責務とはいえ、拡大生産者責任で回収するシステムをつくるのは、広域自治体としての東京都の責任です。現在策定中である23年度からの東京都廃棄物処理計画に、まずは水銀を位置付け、有害廃棄物の回収システムを確立することを要望します。
今月、名古屋市において生物多様性条約締約国会議(COP10)が開催されます。またそれと同時に、遺伝子組み換えの動植物の移動で生態系が破壊されるのを防ぐため、ルールを定めたカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)も開催されます。私たちは遺伝子組み換えを推進することには問題ありと発言してきましたが、残念ながら輸入の遺伝子組み換え菜種などがこぼれて在来種との交雑があちこちで発見されています。生物多様性条約が守ろうとしているのは絶滅危惧種だけではありません。人為的な遺伝子組み換えが引き起こす将来にわたる危険性について認識し、今ある自然の保全に一層強く取り組むことを要望します。
次に雇用問題についてですが、厳しい経済状況の中、新卒でも就職できなかったり、運良く就職できても試用期間が終わると本採用されなかったり、若者の社会スタートは多難です。都立高校での就職指導と就労支援を充実することを求めましたが、何より就労後も親身になって相談に乗り、指導してくれる人材が学校内に配置される必要があることを申し述べておきます。           最後に文教委員会に報告された特別支援教育推進計画第三次実施計画案について申し上げます。計画案では、すべての学校で、すべての教員がかかわるという特別支援教育の理念を進めるべく、区市町村における教育体制の充実に向け、全、小・中学校への特別支援教室の設置があげられました。「子どもが動く」から「教員が動く」へ、というスローガンが掲げられていますが、どのように実現されていくのか、その道筋は見えてきません。特に、発達障がいの児童・生徒が大幅に増えていく中で、「個別指導等の実施」や「通級指導学級教員による巡回指導」など、新たな取り組みが提示されていますが、人員配置に係る具体案が出されていません。これまで行われた説明会でも、私たちに寄せられている声の中でも、現在の人員体制で対応できるのか?という不安の声が多く聞かれます。
特別支援教育におけるリーダーとして重要な役割を果たすコーディネーターは、教員が、学級担任や教務主任、養護教諭などの職務の兼任で行われていますが、校務分掌、役割分担がきちんとされているかの検証が、まだ行われていません。実態調査、意識調査を早急に行うべきと考えます。
また、高等学校における特別支援教育に対して、この三次計画での中身では、あまりにも乏しく、子どもたちが行きたい高校を選べる保障がありません。現在、チャレンジスクールや定時制高校には、特別な支援を必要とする子どもたちも通っていますが、以前から指摘しているように、適切なサポートがあれば十分、全日の高校で学べる生徒がいます。東京都はこれまで市区町村と連携して小学校、中学校に情緒障がいなどの通級制度をつくってきましたが、ここに通う子どもたちの卒業後の受け皿すら示せていないのが現状です。
こういったことから、第三次実施計画を策定する上に必要な検証はまだ不十分と言わざるをえません。是非、市区町村の実情や子どもたちのニーズ調査、学校現場の実態把握を行って計画に盛り込むことを強く要望し、討論とします。