2010年第3回定例会東京都築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の継続調査に関する討論

2010年10月7日
星 裕子

都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の閉会中の継続調査に賛成の立場から討論致します。
築地市場の移転再整備という都政の重要課題において、昨年の第三回定例会において特別委員会が設置されました。七月に設置された小委員会では民主党が公募された多数の案から絞り込まれた案をたたき台としながら、議論をしてまいりました。短期間に集中的に議論を重ね、打ち合わせ会を含める実に21回の会議の開催になります。小委員会では都の豊洲案と同等のスペックで現地再整備の可能性について検討し、業界関係者15名の方を招いての参考人招致では、それぞれの方の切実な声を直接お聞きできたことは大変有意義でありました。この特別委員会小委員会では党派を超えて、現在地再整備の可能性というひとつのテーマで議論を煮詰めていくことになりました。結果的に意見は分かれましたが、地方分権で求められている議会調査機能の強化や情報公開など、議会の活性化に向けて、都議会が先陣をきったことにつながったと高く評価するものです。
私たち、生活者ネットワーク・みらいは抜本的な施設改善が必要な現在の築地市場に対し、現地での再整備の実現は不可能という判断の下、いったんは豊洲への移転に賛成しましたが、豊洲新市場予定地の深刻な土壌汚染が明らかになり、対策に向けてのとりくみを行っている途上にも次々に新たな問題が持ち上がり、すでに都民の信頼を回復できる限度を越えています。食の安心・安全に敏感な消費者の視点からは豊洲の地は論外であり、どんな困難も克服して、豊洲以外に市場整備をはかることを覚悟すべきと考えます。
生活者ネットワーク・みらいは全面晴海移転も視野に入れた新天地での検討を求めてきました。特別委員会・小委員会で提出され審議されてきた案はいずれも晴海をタネ地として有効に活用することにより、今まで不可能と言われてきた現在地再整備の可能性を示唆するものであり、評価しています。工期期間の長さが指摘されていますが、業界や晴海地区住民の合意形成にかかると言われている5年間やアスベスト除去工事の前倒しなどで短縮は可能であると考えます。盛土からも汚染が出た豊洲の土壌汚染対策に今後かかっていく期間と予算は明らかでないことや、業界に反対意見が根強くあることなどから考えれば、豊洲移転に係る不安要素は多く、現在地再整備との優劣では推し量れないと考えます。
9月26日に行われた15人の参考人の意見聴取では移転推進派・反対派の業界関係者の主張はまったくの平行線であり、築地関係者の間で市場整備の方向性についての一致がそもそもはかられていないことが、改めて明白となりました。都は豊洲新市場の具体性が何もない中で、豊洲か築地かという意向調査を98年に行いましたが、それからすでに10年以上もの時間が経過しており、豊洲への移転計画に基づく構想や基本計画策定からも同様の時間が経過しています。今後の移転、再整備において、欠くことのできない、業界の合意形成、協力を仰ぐ意味からも改めての意向、業界の実態調査が必要と考えます。
わが国を代表する生鮮食料品の流通拠点であることから、いかに食の安全性が確保されるのかについて、都民も大きな関心を寄せています。今後の経済状況や市場を取り巻く動向が目まぐるしく変化するなかで、将来の市場はどうあるべきかの議論は広範に行われるべきです。整備の方向性についても市場関係者や都民の意向を見定めることが重要であると考えます。そのためにも、築地市場の移転再整備に関する特別委員会の設置は必要と考え、特別委員会の継続に賛成することを申し上げて討論と致します。