平成21年度各会計決算特別委員会 意見開陳

2010年11月19日
山内玲子

 私は都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して、本委員会に付託された平成21年度の一般会計並びに特別会計決算について意見を申し上げます。
平成21年度の年次財務報告書によると、平成21年度は、前年度に比べ約1兆円の大幅減収となり、歳出の精査などを行うとともに、都債や基金の活用で、必要な事業が実行されました。経常収支比率は、昨年の84.1%から11.9ポイント上昇して96.0%となり、今後の財政運営への不安が広がっています。景気に左右されやすい法人税の割合が大きい都税収入は、23年度以降も好転が期待できないことは誰の目にも明らかであり、貴重な財源を、現在・未来に渡って活かしていく堅実な取り組みが求められます。

政権交代後の国政においては、事業仕分けに注目が集まりましたが、都においても、これまで行ってきた事務事業評価や行政評価を市民の目線で継続し、さらなる改善を重ねる必要があることは言うまでもありません。
都は長期的な視野に立って、限りある財源を多様な生き方を保障する福祉や環境、そして次世代への投資としての教育へ、優先的に振り向け、格差の拡大・定着化を是正していくべきであると考えます。

以下、各局について申し上げます。

総務局関係について
一、震災時の駅周辺や繁華街での滞留者対策を拡充すること。
一、都庁職員の育児短時間勤務制度の活用などを推進し、ワークライフバランスのとれた社会実現に貢献すること。
一、都庁内の障がい者雇用を知的障がい者・精神障がい者にも拡充すること。

財務局関係について
一、都の入札参加業者の格付けにあたっては、CO2削減努力や、障がい者雇用率、男女平等推進状況、そしてNPO支援などの社会性を考慮すること。
一、都有地はまちづくりの観点から、当該自治体が使いやすいよう対等な協議を行って有効活用すること。

主税局関係について
一、地方自主財源の拡充を国にもとめ、課税自主権の行使として環境税導入を検討すること。

生活文化局関係について
一、ワークライフバランスや女性のチャレンジ支援に積極的に取り組むこと。
一、高齢者や子どもの消費者被害を未然に防止するため、商品事故情報の提供や消費者相談をさらに拡充するとともに、多重債務などに対応するセーフティネット構築のため、区市町村との相互連携を進めること。
一、私学助成を充実し、私立学校の耐震化を促進すること。

都市整備局関係について
一、DV被害者、ひとり親家庭、外国人等社会的弱者が住居を借りる時の保証人制度を構築すること。
一、都営住宅の改修にあたっては、居住者や地域のニーズを収集して、デイサービスや保育などの施設を併設すること。
一、低額所得の高齢者の住まいの確保を促進すること。
一、雨水浸透ます設置補助事業を拡充すること。

環境局関係について
一、資源循環社会にむけてリデュース・リユースを促進すること。
一、地下水、湧水を保全し、総合的な水循環を回復するため、水循環の推進に関する条例制定を検討すること。
一、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大を図ること。
一、アスベストや水銀など有害化学物質の適正な処理・処分を徹底すること。

福祉保健局関係について
一、総合的な人権施策を積極的に推進し、「子どもの権利条例」を策定し、とりわけ子どもの権利保障の確立に向けた取り組みを進めること。
一、保育待機児、学童保育待機児への対策に全力を尽くすこと。
一、虐待の防止や虐待を受けた子ども達への支援のため、児童相談所の体制強化を図るとともに、専門的機能を拡充し、一時保護施設を拡充すること。
一、介護人材の確保と質の向上に努めること。
一、訪問診療や訪問看護など在宅医療サービスと生活支援サービスの充実をはかり、在宅ターミナルケアが可能になるよう支援すること。
一、小児医療・周産期医療・救急医療を充実するため、医師・看護師の確保・定着を図り、地域の医療機関とのネットワークを構築すること。
一、食品安全条例の理念に基づき、遺伝子組み換え食品及び有害化学物質、BSEなど新しい状況に対応したリスクの未然防止の観点から、関連施策を展開すること。

産業労働局関係について
一、障がい者の自立を進めるため、一般就労および定着に向けた実地訓練やジョブコーチなどの人的サポートを充実させること。
一、安全安心の農産物の生産拡大を進めるとともに、都民が農業体験する場を増やし、「農業・農地を活かしたまちづくり」を推進すること。

建設局関係について
一、市区町村と連携して、歩行者と自転車の安全な道路の整備をすすめ、ネットワーク化をはかること。
一、都市計画道路の整備にあたっては、東京圏の人口動向を踏まえた需要予測を立て、コストを公表し、つくらないことも含め関係住民と協議すること。
一、墓地については合葬式墓地を拡充するとともに、樹木葬など新たな埋葬方法を実施すること。

最後に、教育庁関係についてです。
一、子どもの権利を尊重した学校運営を行い、教育の分権をすすめること。
一、団塊世代の大量退職に伴い、教員の数と質の確保および定着に全力で取り組むこと。
一、特別支援教育においては、保護者や当事者の意見・要望に十分配慮するとともに、教員の特別支援教育への理解を深める研修の充実と人員増などの環境整備を行うこと。
一、中途退学や卒業しても就職できなかった子どもへのフォロー体制を整えること。

以上で生活者ネットワーク・みらいを代表しての意見開陳を終わります。