2010年第1回定例会 討論

2010年3月30日
星裕子

 都議会生活者ネットワーク・みらいは、第20号議案「中央卸売市場会計予算」・第91号議案「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」に反対し、その他の知事提出の議案に賛成の立場から討論を行います。
築地市場移転問題については、私たちは少子高齢化・市場外流通・魚ばなれが進む中で、狭隘化・老朽化した築地市場の今後については、都民の消費動向や流通形態の変化をしっかりと捉えて、これからの市場の規模や業務内容を構築する必要があると考えてまいりました。
予算特別委員会の最大の争点となりましたが、現在地再整備について、新たに検討することなどを盛り込んだ付帯決議をつけて、ようやく可決されました。しかし、生活者ネットワーク・みらいは、少なくとも汚染対策が万全でないままで、豊洲新市場予定地の用地取得を含んでいる市場の予算案を、このまま認めることはできないと考え、反対します。
次ぎにインターネット端末利用営業の規制に関する条例についてですが、この条例はインターネットカフェの営業者に対し、利用者の本人確認を行うことや利用記録の三年間保存などを義務付けるものです。インターネットカフェを悪用した犯罪を防止することが目的とはいえ、個人情報の管理・保管義務を事業者に義務付け、警察の管理下に置くことについては多くの不安の声が寄せられています。利用者のプライバシーの侵害や個人情報の流失の恐れは消えません。大手ネットカフェチェーンではとっくに「本人確認に基づく会員登録」を実施しており、「努力義務」とされる防犯カメラやセキュリティソフトもすでに導入されています。会員登録の制度がないネットカフェは、身分証明書を持てない「ネットカフェ難民」が利用しており、社会的に弱い立場に置かれている人たちを排除する恐れのある条例改正であり、反対せざるを得ません。
次に青少年の健全育成に関する条例の一部改正については、総務委員会では継続審議とすることが決まりましたが、改めて一言申し上げておきます。
今回の条例改正については、内容があいまいでわかりにくい部分が多く、それが拡大解釈されて文化や表現の自由を損なうのではないかと、様々な憶測が飛び交うことになり、都民や業界の人たちから、多くの懸念や不安が寄せられました。
条例は成立すれば独り歩きするもので、石原知事という強力な個性を持つ都行政の裁量の恣意的問題も懸念されたと考えます。しかもあろうことか、知事は記者会見で、この条例の中身を充分に理解していなかったという発言をされました。条例提案者として責任を持った提案を望むものです。
目を覆いたくなるような性関連情報が巷にあふれ、子どもの目にも容易に触れられる状況は決して好ましいものではなく、特に幼い子どもを被写体としたいわゆる児童ポルノは、子どもの将来に大きな傷を残すことになりかねません。都議会生活者ネットワーク・みらいは、子どもを性犯罪から守り、児童ポルノなどの規制を行っていくことは、必要なことだと考えております。
改めて、子どもたちが幸福を実感できる社会をめざすために、子どもの権利条例の制定こそが急がれるものであると申し上げます。
さて、都政の重要課題は数多くありますが、中でも景気対策はもはや一時しのぎでは済まされず、産業構造の大変革を前提に、人材育成施策を進めることが重要です。
しかし、経済的な事情で進学を断念せざるを得ない高校生が増加し、東京都の高等学校卒業予定者の就職内定状況に関する文部科学省調査では、就職内定率は71.0%となっており、一昨年同時期の77.6%に比べて、6.6ポイントも減っており、大きな社会問題となっています。
都教育委員会は、都立高校に対して、ハローワークを活用した就職指導や、東京しごとセンターの新卒緊急応援窓口を積極的に活用することなどを周知したということですが、あまりに急激な経済変化に、高校生のみならず、教員、保護者なども対応しきれていないのが現状です。就職先自体が少ない地方では、すでに、学校側が直接企業に出向き、一人でも多くの生徒の就職につなげる努力が行なわれています。都としても、新卒時の雇用を確保するとともに、卒業後も切れ目なく相談できるような学校の相談・支援の強化を行うべきと考えます。
最後に、副知事人事については、昨日の議会運営委員会直前になって突然提案され、短い時間の中で判断を迫られたことは誠に遺憾です。しかし、築地市場の移転問題や新銀行東京・オリンピック招致活動の総括など、都財政を圧迫する多くの課題に対しては、早期解決をめざし、全力で取り組むことを求め、生活者ネットワーク・みらいの討論とします。