2009年第3回定例会 特別委員会設置に関する討論

2009年9月25日
西崎光子

株式会社新銀行東京に関する特別委員会設置について

都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、本議案に賛成の立場から討論を行います。
新銀行東京は、2003年、当時深刻だった銀行の貸し渋り対策として、石原知事二期目の選挙公約に掲げ、都が1000億円を出資して、2005年開業したいわば官製銀行です。生活者ネットワークは、中小企業対策は、都の融資制度等で行うべきであり、すでに貸し渋りも峠を越えているところから、銀行設立に意義はないと指摘してきました。しかも、株式会社であることを理由に事業内容など詳細を明らかにすることなく、予算案の中に1000億円の出資を入れ込んで一括審議とするなど、当初から乱暴な提案で強引にスタートさせたものでした。もともと、民間銀行が貸さないような中小零細企業向けの無担保・無保証融資であることから、不良債権は大量に発生し、当初計画の開業3年で単年度黒字化どころか、2007年9月時点で936億円、2008年3月には、1016億円の累積損失となりました。これは、一日一億円が消えていった計算になります。
導入時にも、いろいろ具体的なことを聞くと、株式会社であるから応えられないということでスタートして、お任せください、大丈夫ですという答弁が続いた挙句に、誰がみても破綻した銀行の延命のために、3年後さらに400億円の追加出資を都議会に認めさせたのです。
新銀行導入時のスコアリングの問題も、マスタープランの問題もその当時の質問に対して一貫して「大丈夫、お任せ下さい」の一点張りだったこと、さらに、何のデータも示さないまま、信用してくれ、信用してくれで1000億円、400億円と、私たちの金銭感覚が麻痺するような単位で札束が積まれていく東京都のやり方は、煩雑な手続きと細かな審査を受けながら何百万という単位で補助事業などを手に入れる都民にとって、到底、納得できるものではありませんでした。
これまで、新銀行東京についての議論は、経済・港湾委員会や予算特別委員会などでされてきましたが、知事の出席や参考人招致などを求めても、実現しませんでした。経営陣の責任を問うても、銀行業というだけで、都の介入も、監視も事実上できず、議会として都民への説明責任を果たすことができませんでした。
今回の都議選においては、多くの都民が多額の税金がつぎ込まれているこの問題のゆくえに高い関心を示しました。第1四半期が黒字になったと報告されても、これまでの税金の使われ方には不透明な部分が多く、今後の見通しも直ちに信用できるではありません。
経済・港湾委員会での限られた時間での質疑では、これまで以上の解明ができるとは思えないところから、課題を新銀行だけに絞って、参考人招致などを積極的に行い、新銀行東京の経営を明らかにするとともに、多額の税金をつぎ込んだ東京都の責任についても時間をかけて議論するために、新たな特別委員会を設置することに賛成します。

「東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の設置」について

生活者ネットワーク・みらいを代表して、「東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の設置」に賛成の立場から討論します。
食の安全を常に訴えてきている私達にとって、築地の中央卸売市場の移転問題は、消費者にしては見逃せない課題です。
築地市場は、長い年月をかけて築地の魚河岸として都民に親しまれ、近年は訪日外国人の間でも評判になり、国際的観光スポットになっています。
豊洲地区の新市場予定地の総面積は40.7ヘクタール、戦後早い時期の港湾浚渫土による埋立地です。ここには、東京ガス豊洲工場があり、1956年から20年間、都市ガスの製造を行って来ました。当時の安全意識と法規制は緩く、操業に伴って、ベンゼンをはじめとする各種の有害化学物質が発生して周辺環境を汚染してきました。市場の移転予定地となったことで、高濃度汚染が明らかになったものです。
都は、専門家会議、技術会議の報告を得て、豊洲の安全性を主張していますが、安全性を疑問視する人々の声に耳を傾けず、公開討論会など様々な角度からの検証を避けてきました。
市場は、いったん豊洲に移転すれば、長期にわたるまちづくりの核となります。
新たな汚染や大地震での液状化等の被害など、あらゆる事態を想定して考えなければなりません。特に、食の安全では、未然防止が求められています。
技術会議の提言では、地震や台風などの自然災害も想定し、これらに対する備えも万全なものとなっており、後世にわたって、食の安全・安心は、十分に確保できるものと考えているとの報告が出されていますが、見解の異なる専門家を交えた公開討論の場を設定するなど、リスクコミュニケーションを図ることも必要です。
以上の観点から、都議会生活者ネットワーク・みらいは、食の安全、環境確保条例、まちづくりの視点など局を超えた広範な議論の必要性と都民や市場関係者と情報を共有し、共通の理解が図られるために特別委員会の設置が必要と考えます。
以上をもって、賛成討論といたします。。