2009年9月25日
星 裕子
都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、本議会に提案された全ての知事提出議案に賛成の立場から討論を行います。
まず、第137号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例ですが、平成22年に開校する9校の中には、特別支援学校の南大沢学園と久我山青光学園が含まれています。特に久我山青光学園は、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画で視覚障がいと知的障がい部門を併置し、障がいの種類によらず、ひとりひとりのニーズに応じた教育を行うとしています。実際の教育現場ではそれぞれの障がいの特性が十分理解され、これまで以上に児童、生徒の安全な学校生活が保障されなければなりません。開校にあたり、保護者から教員や職員の配置、スクールバスの新設などについて要望が出されています。職員配置は現行の国基準にのっとったものであっても、併置校における実態、保護者、学校現場の声を斟酌し、体制を十分、整えてスタートしていただきたいと思い、ここに要望いたします。
また、一連の都立高校改革を推進した結果、全日制では30校程度が減り、定時制もほぼ半減という状況です。しかし都内の公立中学校の卒業生の数は計画時の予想通りには減らず、都立高校の門は狭くなってしまいました。高校に入りたくても入れない子どもを生み出すことのないよう、特に定時制や単位制高校、チャレンジスクールなど、これまでの都立高校改革を検証するとともに、公立と私立の共存を前提とした定数についても、検討が必要ではないかと思います。
生活者ネットワークは、先の都議選で高校の全入と無償化を訴えましたが、世代を超えて公教育の充実、特に子どもたちの境遇によらない学ぶ権利の保障を求める声が多かったのを実感しています。
先の衆議院選挙において、民主党が打ち出した高校教育無償化は子ども手当と共に、この国の次代の担い手をどう育んでいくか、国政の基本政策として多くの国民に期待されたと認識しています。こういった流れの中で東京都としても、ますます教育環境の充実にむけて思い切った施策を展開すべきであることを申し上げておきます。
一般質問でも取り上げた新型インフルエンザは、ますます感染が拡大する傾向にあり、高齢者・妊産婦・子ども・持病のある人など、リスクの高い人々に対して十分な注意を喚起する情報提供が求められています。高齢者の施設だけでなく、在宅介護を受けている方々や在宅サービスの事業者に対しても、適切な指導が行われることを再度求めておきます。
八ッ場ダムについては、2008年、第1回定例会での「八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見」で工期延長への同意に反対しました。そもそも、ダム計画が発表されて以来、半世紀も過ぎ、工期延長、事業費変更を重ね、いまだ本体工事着手に至っていません。この間、私たちは、過大な水需要予測に基づいたムダな公共事業であることをずっと指摘して来ました。このたび新政権はダム計画の中止を明言しましたが、地元の方々の戸惑いや怒りは当然であり、しっかり受け止めなければなりません。しかし、いったん始めた公共事業でも、見直しや中止の検証は必要です。知事は、「国の意志で中止になったら、都の負担金を返還請求する」としていますが、水需要予測の的確な判断もせず、国のいうがままに、ムダな公共事業に荷担して来た責任が大きいことをむしろ反省すべきです。国に翻弄され続けた地元の方々の生活再建に万全を期すよう政府に求め、長期にわたる公共事業のあり方について、都も検討すべき時代と考えます。
私の地元の昭島市には誇れるべき地下水水道があります。多摩地域には飲料されている豊富な地下水がありますが、これらを放棄せず、他県の水瓶に依存していくことより、多摩川の水質浄化向上策や地下水を正規の水道水源として、しっかり保全していくことをこれまで以上に強く要望したいと思います。
最後に議会運営について一言申し上げます。
18期の都議会のスタートとなる臨時会の開催について、各派代表者会は選挙結果を引きずったまま、水面下のやりとりに終始し、8月10日、知事が招集していた臨時議会は前代未聞の流会となってしまいました。7月の都議選で変革を求めた民意に対し、期待を裏切るものであり、都民が抱える多くの課題に一日も早く取り組んでいくために、各党が事態収拾に向けて、努力することを求めました。
多くの新人議員を迎えて改選後はじめての本議会は、新しい議会の方向性を示す重要な場として注目されます。機会の平等と多様性の尊重がより重視され、開かれた議会運営が求められる時代に、少数会派の発言の機会は尊重されなければならないと考えます。また、これまで多くの批判が寄せられてきた「都議会の海外調査」については、マスコミの候補者アンケートのなかでも見直すべきという回答が多かったにもかかわらず、「調査に支障のない範囲で、経費の節減につとめる」という項目が新たに加えられた程度の見直しでは、到底、都民を納得させることはできないと考えます。
都議会生活者ネットワーク・みらいは、都民に開かれた、わかりやすい、信頼される都議会の実現に向けて、議会としても最大限に努力すべきであり、引き続き、海外調査や議会の活性化にむけて「都議会のあり方検討委員会」のなかでの議論を求め、討論といたします。