2021年第3回定例会を終えて(談話)

2021年第3回定例会を終えて(談話)

2021年10月13日

  都議会生活者ネットワーク  岩永 やす代

 本日第3回定例会が閉会しました。

 10月7日夜に発生した地震は、都内でも震度5強を観測し、けが人が出たほか、舎人ライナーの脱輪事故や水道管の漏水、停電などの被害がありました。舎人ライナー以外の被害については迅速に復旧しましたが、電車の運行が止まったため帰宅困難者が発生し、いくつかの区で一時滞在施設が設置されました。しかし、施設設置の数や時間、周知・誘導に対しての課題が指摘されています。大規模な首都直下地震が予測されるなか、今回の地震は、計画と実際の行動について点検できる機会になります。夜間に起こった地震であり、帰宅困難者対策をはじめ都職員や民間事業者の対応がどうだったのか点検し、備えるよう求めます。

 東京都ではようやく緊急事態宣言が終了しましたが、現在も新型コロナウイルス感染症の再拡大を防止するために都独自の施策である「リバウンド防止措置」期間中です。新規感染者が減少している現在、第6波にむけた備えを優先的に全力で取り組むべきです。なかでも感染した人が入院治療を受けられるような医療体制を構築すること、保健所の機能強化とともに自治体との連携が必要です。特に多摩地域の都立保健所からの情報提供・協力関係について自治体からの求めに応えるよう要望します。

 東京オリンピック・パラリンピックが終了しました。コロナ感染が拡大するなか、多くの都民が中止を求めたにもかかわらず無観客で強行し、ちょうどその間感染が爆発的に拡大しました。IOCや日本政府の思惑、JOCや組織委員会のガバナンス欠如など、今回オリンピックにまつわる多くの問題点が明るみに出ました。莫大な税金を投入して開催された大会の後始末が待っています。組織委員会が保有するものも含めて文書を保存・公開するとともに、きちんと総括・検証すべきです。

 知事は、今議会の所信表明で、同性パートナーシップ制度の検討を表明しました。性自認および性的指向に関する施策については、人権条例制定の際もその後の基本計画策定時にも、都議会生活者ネットワークは当事者が議論に参加するよう求めてきました。LGBTQの人たちが長年抱えている困難を解決できるような制度づくりが求められるためです。しかし、これまでアンケートやヒアリングなど意見を聞くにとどまっています。同性パートナーシップ制度においては、制度設計の議論の真ん中に当事者が参加できるよう求めます。

 生活者ネットワークは、障がいの有無にかかわらず、同じ教室でともに学べるインクルーシブ教育を長年求めてきました。知事も所信表明でインクルーシブ教育を展開すると述べています。本来は通常学級での学習環境を整えることこそが重要であり、スキルのある教員の加配や個別支援などが求められます。

 都は、発達障がいのある子どもが在籍校で支援を受ける体制づくりとして特別支援教室を設置しています。ところが、来年度から教員配置基準が減るため、支援が後退します。指導の質の確保・向上のためには教員の増加が必要です。作業療法士の導入を提案し、教員の研修などを要望しました。インクルーシブ教育に向けて、まずは、特別支援教室を充実することで在籍する通常学級の困難を解消すべきです。

 都立・公社病院の地方独立行政法人化に向けた定款が出されました。

 都立病院や公社病院は、今回の新型コロナウイルス対策として感染した患者の受入れ対応でも重要な役割を果たしており、その他の行政的医療や地域医療における役割も重要です。都立・公社病院の独立行政法人化の計画策定時には新型コロナウイルス感染症は想定されていませんでした。こうした新たなパンデミックにおける医療現場の実態や役割をしっかりと検証した上で検討すべきであり、定款に反対しました。

 都議会生活者ネットワークは、安心して地域で暮らせる持続可能な街、環境・福祉優先の東京をつくるため取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。