2020年第4回定例会を終えて(談話)

2020年第4回定例会を終えて(談話)

2020年12月16日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

 

 本日第4回定例会が閉会しました。

  • コロナによる差別をゆるすな

 コロナ関連の差別が止まりません。日本看護管理学会は、偏見の目で見ることをやめるよう求める声明を公表しました。特に、コロナ感染患者の治療にあたっている医療関係者は、仕事で緊張を強いられ身も心も疲弊しているにもかかわらず、学校や職場で心無い言葉を投げかけられるなど、本人はもちろん家族が差別を受けています。感染拡大防止のためPCR検査の拡大が求められますが、陽性になったら仕事に行けなくなる、差別されるということから、検査を望まない人が多いことも事実です。病気による差別を許すことはできません。

  • 地域防災計画風水害編について

東京都地域防災計画風水害編の修正案については、従来の床に雑魚寝の避難所から、感染症対策も兼ね、少しでも快適な避難となるよう求めてきました。今回、ようやく段ボールベッドや間仕切りの備蓄・調達先の確保が盛り込まれました。災害トイレについては、民間事業者との連携で浄化処理技術や蓄電システムを備えたトイレトレーラーの開発など、都が率先して進めるよう要望しました。

昨年の台風19号では、調布市や世田谷区など多摩川沿いで浸水被害が発生しました。施設管理者は国、都、区市など多岐にわたるため、樋門の開閉操作等に関する情報の迅速で確実な伝達と共有を求めました。

  • 水素エネルギーはグリーン水素を

 都はこれまでも水素エネルギーを進めてきましたが、ゼロエミッション東京戦略で普及拡大の目標値を示しました。現在、日本企業はオーストラリアの化石燃料からつくった水素を輸入していますが、CO2対策として水素を普及させるなら、再生可能エネルギーを使った「グリーン水素」を供給することが重要です。都は「再エネ由来CO2フリー水素を脱炭素社会実現の柱に」としており、再エネの使い道の選択肢になります。まずは再エネ量を増やすことが重要です。

  • 外環道は即刻中止

 調布市で10月に道路陥没事故が発生しました。大深度地下をシールドマシンが掘り進む外環道工事の沿線住民からは不安と怒りの声が届いています。多くの市民団体の反対を押し切り、強引に始めた工事ですが、これまでも野川の気泡発生や振動、壁の亀裂などの被害が起こっていました。都議会生活者ネットワークは、NEXCO東日本と国土交通省に情報公開と原因究明までの工事中止、早急に補償するよう要請することを都に申し入れました。その後も、地下空洞の発覚や地面のひび割れなど多くの被害の訴えがあり、住民も動き出しています。NEXCO東日本が設けた有識者委員会が近く調査報告書を公表するとのことですが、住民が納得できるものにならなければ、住民の財産や生命を脅かす外環道は即刻中止すべきです。

  • 水道水源井戸の有機フッ素化合物汚染対策を

有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が高濃度で検出された水道水源井戸の給水地域の住民の血液を調べたところ、PFOSが全国平均の1.5~2倍の濃度だったことが10月に報道されました。この報道を受け、給水地域にあたる国分寺市と府中市を中心に多摩地域では不安が広がっています。

水道局は昨年6月から濃度の高い国分寺市と府中市の水源井戸からの取水を止めています。汚染除去方法の確立や汚染拡大防止のためにも揚水の継続が重要です。また、多摩地域には水道水源以外にも飲用井戸が多くあるため、水質検査と汚染井戸の飲用中止を周知する必要があります。さらに、PFOS、PFOAの規制に伴い、代替の有機フッ素化合物が使われており、PFHxSなどについても検査すべきです。住民の健康調査、汚染源の究明とともに、地下水を飲み続けられるよう対策を求めるものです。

  • 通年議会で都議会改革を

今年はコロナ対策で補正予算や条例の専決処分が何度も行われました。刻々と状況が変わるなかで、行政の対応はスピードが求められていますが、議会としての対応も問われています。会期を区切るのでなく通年議会とし、機動的に議論できるようにする必要性が増しています。議会改革検討委員会で検討される議会基本条例に通年議会を導入するよう提案します。

 

新型コロナウイルス感染症の終息にはほど遠く、感染予防とともに生命と生活を守るため、セーフティネットの構築が不可欠です。

都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会に向けて、生活者の視点で提案していきます。みなさまからのご意見をお待ちしております。