2010年第4回定例会を終えて(談話)

2010年12月15日
都議会生活者ネットワーク・みらい
幹事長 西崎光子

本日平成22年都議会第4回定例会が終了しました。
今議会の焦点は、第1回定例会で継続、第2回定例会では否決となった「青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」が修正のうえ、再提案されたことに対する審議につきます。出版業界との協議も不十分なまま、青少年の意見を聞くこともせず、新たな条例案を開会のわずか8日前の11月22日に公表するという姿勢は、非常に問題があると言わざるを得ません。
漫画を愛好する多くの青少年をはじめ、表現規制を危惧する人々などが、全国からあらゆる情報媒体を使って反対の声をあげ、最終本会議では、初めて都議会を訪れた若者などで一般傍聴席があふれましたが、このことは、決して忘れてはいけないことだと思います。
生活者ネットワーク・みらいは、子どもをめぐる性の暴力、児童ポルノに見られる性の商品化など子どもへの人権侵害は絶対に許されるものではないと考えます。また、過激な漫画を子どもたちの目に触れさせたくないという保護者の思いにも全く共感するものです。しかしそのためのルール作りと運用を行政の手にゆだねることには問題があると考えています。様々なツールを駆使する情報社会において、いかがわしいもの、悪しきものから完全に子どもを遠ざけることは不可能であり、今、子どもたちに真に必要なことは、悪質で俗悪な映像や出版物などを目にしても、きちんと批判できるように、保護者、地域、学校が力を合わせ、性教育などに取り組み、子どもの成長の後押しをすることです。
子どもの権利条約第12条では意見表明権を保障し、第13条では表現の自由が明記されていますが、都の対応は条例の対象である青少年の存在を大切にしたものとはいえません。さらにいえば、女性を蔑視する発言を繰り返したり、セクシャルマイノリティを否定するような態度をとる政治家や社会的地位のある男性、それを大目に見ている大人達が作り上げている社会の在り方そのものが問題なのだと考えます。この条例を改正することが、青少年の最善の利益を保障することになるとはとても考えられず、反対の立場を明らかにしました。
生活者ネットワーク・みらいは、1964年に制定されて以来すでに46年を経過し、つぎはぎだらけで時代の要請に応えなくなった青少年健全育成条例は撤廃し、子どもの命と健康、尊厳を守る視点を大切にした「東京都子どもの権利条例」の制定実現に向けて頑張ってまいります。
皆さまからのご意見を、ぜひ都議会生活者ネットワーク・みらいにお寄せください。