都議会生活者ネットワーク・みらいは2011年度の東京都予算編成に向け、2010年11月29日、提案書を提出しました。
今年の夏は「30年に一度の異常気象」といわれる猛暑に見舞われ、8月の1か月間に、熱中症で救急搬送された人は全国で2万8269人と、昨年同月(6495人)の4倍超に上り、死者数も64人と、昨年同月(8人)の8倍でした。搬送者・死者ともに、体力が弱く、持病を持つ65歳以上の独り暮らしの高齢者が65~70%を占めています。
さらに、衝撃的な事実として次々判明したのは、いわゆる行方不明高齢者問題でした。法務省の調査では、現住所が確認できない100歳以上の高齢者は、全国で23万4000人に上り、地域のなかの「孤立化」という新たな社会リスクを回避する取り組みの強化が求められます。
都内においても高齢単身・夫婦のみの世帯は年々増加し、家族や地域とのつながりが急速に薄れ、孤立し、日常生活や医療・介護に不安を抱く高齢者は増加する一方です。
国における持続可能な社会保障制度の再構築を強く求めるとともに、東京都には医療・福祉・介護・住宅施策等の基本政策を地域の視点で見直し、さらなる拡充と地域福祉の担い手である市区町村がその役割を十分発揮できるよう、自治体やNPO、市民活動への支援強化を求めます。
現政権は公立高校の無償化、子ども手当など次世代への投資として教育や子育てへの予算強化を打ち出しました。しかし、OECD加盟国の中で、GDPに占める子育て・教育費はいまだ最低の割合です。生活者ネットワーク・みらいが今春のロンドン・オランダでの視察研修で学んだことは、すべての子ども・若者が選び、やり直せる学びや訓練の保障があってこその自治やシチズンシップ教育であるということでした。
平成23年度予算編成にあたっては深刻な経済不況下における雇用・中小零細企業支援など都民生活の安定に向けた事業のさらなる強化を求めると共に、子ども・若者、高齢者、障害者が安心して暮らせる生活都市東京の実現に向けた提案を要望しました。