2019年第1回定例会を終えて(談話)
2019年3月28日
都議会生活者ネットワーク 山内 れい子
本日第1回定例会が閉会しました。都議会生活者ネットワークは、第19号議案中央卸売市場会計予算と第26号議案水道事業会計予算に反対しました。
今議会では、築地市場跡地を市場から一般会計で買い取る有償所管換え5423億円が2018年度最終補正予算案として上程されたことに批判の声があがりました。豊洲市場への移転問題は、都政の大きな課題としてこれまで長年にわたって多くの時間を割いてきたものであり、それを年度末の補正予算という取り扱いにしたことは大きな問題です。ようやくこぎつけた開場から5カ月、豊洲市場では基準値超えの地下水汚染だけでなく通路の天井崩落や黒い粉塵が舞うなどの事態になっており、水産品取扱量の減少も続くなど、市場としての信頼を欠く事件が続いています。粉塵については、健康被害が危惧されることから、徹底した調査と対策を求めるものです。
いよいよ来年に迫ったオリンピック・パラリンピック関連の支出がピークを迎えます。現在、招致をめぐる贈賄疑惑が再燃しており、開催都市として施設整備や大会の暑さ対策、輸送対策など、まだまだ課題が山積しています。東京2020大会後に予測されている景気の悪化や国の税制見直しによる減収など将来への対策として、知事は、「稼ぐ力」を大きく打ち出していますが、築地市場跡地やベイエリアビジョンの議論の中でカジノ誘致も想定されていると聞くと、ギャンブル依存症の問題からも、子どもや若者にとって何のメリットもないカジノには断固反対です。
東京の人口は増加していますが、近い将来確実に訪れる人口減少を見すえて、差し迫った課題が山積しています。高齢者や障がい者が安心して暮らせる地域づくり、地球温暖化対策、プラスチックの発生抑制、無駄な道路計画を見直し緑や風の道に配慮した都市計画、新築ラッシュの隣で増え続ける空き家への対策など、優先的に取り組まなければなりません。
今議会で成立した虐待防止条例には、国に先駆け、保護者の体罰の禁止を盛り込んでいます。虐待事案への対応とともに予防への取り組みが必要であり、DVの対策強化や体罰によらない子育ての技術を普及していくこと、家族の孤立化を防ぐために家族を丸ごと支援することが重要です。また、対応する児童相談所の職員体制は、経験の浅い職員が増えているため、人材育成やスキルの継承など、職員の力量の向上が重要であり、現場を厚くするよう求めました。
また、子ども自身がSOSを発信し、子どもとともに解決していく機関が必要です。都の「権利擁護専門相談事業」を第三者機関と位置づけ、さらなる強化・充実を求めました。
虐待以外にも子どもをめぐる問題はさまざまあり、批准25年を迎える「子どもの権利条約」に立ち返り、子どもの最善の利益を最優先する「東京都子どもの権利条例(仮称)」を子ども参加でつくることをあらためて提案するものです。子どもは守られるだけの存在ではなく、子ども自身が権利の主体であり自己選択・自己決定し、この困難な時代を生き抜くことを支援する総合的な条例が今こそ必要です。子どもは社会の希望であり、未来につなぐ若者や子どもへの投資が重要です。
都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。