2019年第2回定例会を終えて(談話)

2019年第2回定例会を終えて(談話)

2019年6月19日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

 

 本日第2回定例会が閉会しました。

  • 予測不能な東京2020年大会経費について

 有明アリーナはスポーツだけでなくイベント会場として使用することができて、採算性が見込まれることから、コンセッション方式が採用されました。では、他の施設はどうなのか、これまで開催されたオリンピックでは、大会後維持管理に多額の費用がかかり負の遺産となった施設が数多くあるため、2020大会後の維持管理が危惧されます。大会開催まで約1年、オリンピックマネーの不透明性が増しており、大会経費がどこまで膨らむのか予測不能な事態です。将来世代につけを残さないためにきちんと検証できるように、大会の総体的な費用をはじめ維持管理費などすべてを明らかにし、組織委員会も含めて徹底した情報公開が必要です。

  • 「選択的夫婦別姓の法制化を求める請願」賛成多数で可決!

今議会では、「選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書の提出に関する請願」が賛成多数で採択されました。

2018年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別姓を導入する法改正に賛成・容認と答えた国民は66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになっています。夫婦同姓を義務づけている国は、日本だけです。結婚によって改姓するのはほとんどが女性で、婚姻と改姓にまつわるしわ寄せが女性にのしかかります。近年は一人っ子同士のカップルや子連れ結婚、高齢になってからの結婚や再婚も増加するなど、婚姻をめぐる状況も変化しています。世論の強い要望があり、また、国連女性差別撤廃委員会からの再三にわたる改善勧告や、最高裁で法制化を促す判決文が出ているにもかかわらず、国会の動きが鈍い現状があります。生活者ネットワークは、かねてから選択的夫婦別姓を導入すべきと主張しており、この請願に賛成しました。男女平等の理念に基づく意見書が都議会から出せるよう、働きかけていきます。

  • 福島原発事故避難者支援について

福島原発による都内避難者に優先的に「東京2020大会公式チケットの無償配布を求めること関する陳情」は賛成多数で採択されましたが、「原発事故による避難者の住まいの確保に関する陳情」が否決されたことは残念です。

福島原発事故から8年になりましたが、福島県から都内に避難している人は、3,803人(2019年1月11日時点。福島県公表)と聞いています。

多くの避難指示区域以外の避難者は都内で避難生活を続けたいと希望していますが、2年間のセーフティネット契約が今年の3月末で終了となり、今後の住まいの確保など生活の不安を訴えて、都営住宅の入居条件の緩和等の措置を求める陳情が出されました。

事故を起こした福島原発は汚染水の問題も解決しておらず、いまだに、廃炉のめどさえ全く立っていません。生活者ネットワークは、福島原発の電気の恩恵に浴していた東京だからこそ、避難者に寄り添い、本人の意思を尊重し、希望者全員が引き続き長期にわたって居住できるよう都独自の支援策をつくるべきと考え、この陳情に賛成しました。

  • 長期計画について

今定例会で各会派から長期計画についてさまざまな角度から多くの指摘や提案がなされました。知事は、今年末に策定予定であった長期計画を、2020年大会後に延長、計画に向けては、8月を目途に大会後に東京が直面する課題を整理し、今年末に「戦略ビジョン」を示すと答弁しました。知事就任後、2016年に「2020年に向けた実行プラン」を策定し、その後1年ごとにプランの強化を図ってきましたが、生活者ネットワークは、計画行政を進めるために長期計画の重要性を指摘してきました。人口構成の変動はもとより、大会後の財政状況等を見据えた長期的な財政収支の推計を明らかにしなくてはなりません。知事は、都議会からの意見も受け、東京の英知を結集して策定すると答弁しましたが、将来に向けた都政の基本となる長期計画こそ都議会の議決事件とし、議会としても積極的な議論をしていくべきと考えます。

  • ひきこもり支援について

 これまで都のひきこもり支援事業は対象が34歳までで、高齢化・長期化により「8050問題」と言われる年齢層には対応できませんでした。都は、4月からの組織改編に合わせて、ひきこもり支援事業を青少年・治安対策本部から福祉保健局へ所管替えをし、それに伴って年齢制限をなくしたことは大きな一歩です。世代を問わず、その人に合わせた支援の充実を今後とも求めていきます。

  • ゼロエミッション東京戦略について

「都庁舎版RE100」と称する取り組みにより、8月から第1本庁舎で使う電気を100%再生可能エネルギーにし、都庁舎全体で約8割が再エネになります。「RE100」は、事業者が再エネ100%を宣言するもので、生活者ネットワークは昨年都の「RE100」への加盟を提案しました。また、年内に「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、2050年CO2実質ゼロに向けて目標と道筋を示すとしています。今年5月には、世界の主要都市で構成する「U20メイヤーズ・サミット」が東京で開催、2050年までの再生可能エネルギー100%が共同声明に明記されました。CO2実質ゼロと再エネ100%では、微妙に意味が違っており、せっかく共同声明に明記された再エネ100%を東京戦略にも目標として盛り込むべきです。その実現のために、環境基本計画を見直し、具体的な道筋を示すことを求めるものです。

 プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となり、G20でも議題になっています。都はレジ袋ゼロやマイボトルキャンペーンなどを進めていますが、身の回りにあふれるプラスチックは、なんと言っても容器包装の「その他プラスチック」です。廃棄量が多いだけでなく、ペットのような均一素材とは違って材質がさまざまでリサイクルしにくく、自治体では、分別収集しても結局は多くが焼却処分されています。年内に策定されるゼロエミッション東京戦略にはプラスチックごみ対策も盛り込まれるとのことですが、消費者への協力を求めるだけでなく、事業者や生産者に対するEPR(拡大生産者責任)をあらためて制度に埋め込むよう国への働きかけを求めます。

都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。