2010年1月22日
幹事長 西崎光子
平成22年度予算原案が発表されました。21年度の実績から予期していたとはいうものの、都税収入は想定を超える大幅な減収となる中で編成された予算は、前年に比べて5.1%減の6兆2640億円で、昨年から引き続き、規模を減少することとなりました。中でも主たる財源である都税収入は単年度過去最大の下げ幅となった前年度をさらに12.7%も下回り、4兆1514億円に留まる見込みです。
これに対して、「今後も厳しい財政環境が想定されるが、都財政の健全性を堅持しつつ、東京の『現在』と『将来』に対して今、東京がなすべき役割を積極的に果たす予算」と位置づけて、雇用や生活への不安に対応する取組や、国をも先導する都独自の戦略的な取組、東京の将来を切り開く活力創造に向けた取組を積極的に進める予算を組んだとしています。また厳しい財政状況の中で一般歳出は、前年を2.9%も上回った局要求をいかに絞り込んでいくのか注目されましたが、1.9%増の4兆6289億円となりました。投資的経費は3.7%増の8055億円で6年連続の増加となりますが、これまで積み立ててきた基金を活用して施設の改修・改築や災害への備えなどを計画的に進めるとしています。
喫緊の課題である景気対策はもはや一時しのぎでは済まされません。第一次産業や社会的企業などを基調とする産業構造の大変革を前提に、働き続けることのできる技術を身につけるなど、人材として育成する施策を実施するとともに、ワーク・ライフ・バランス、ワークシェアなどの働き方を推進することが求められています。
「『10年後の東京』への実行プログラム2010」が示されましたが、オリンピック招致が失敗に終わった今、あらためて障がい者・若者の自立に資する施策や、医療の充実・食の安全・住まいの確保などでセーフティーネットを構築し、環境・福祉重視の生活都市づくりへ、しっかりと方向を示していくべきです。
国においても、次代を担う子どもたちへの施策を重視するため、子ども手当や高校無償化など、思い切った予算措置がとられるようになった今、東京都も真に子どもたちが豊かにいきいきと育つ教育や環境整備を進めることこそ求められています。
税収回復に期待が持てない中、新銀行東京、豊洲新市場の汚染問題など、都財政を圧迫する不安要素こそ、早急に解決しなくてはなりません。
生活者ネットワークは、以上の視点を踏まえ、平成22年度予算原案を精査し、復活要望や予算審議を通して見極め、市民の提案が生かされるよう、活動を展開していきます。