2008年第3回定例会 一般質問

2008年9月26日
原田恭子

(質問部分抜粋)
新銀行東京について
Q1.年度途中のこの時期に、一般会計935億円の補正予算案を出したのは、実に10年ぶりで、このうち540億円が新銀行東京の減資対応です。補正予算のうち中小企業向け支援・雇用対策、新型インフルエンザや震災対策等は、緊急を要するものと納得できますが、540億円については、減債基金の義務的積み立ての前倒し実施との説明だけです。
新銀行東京の経営実態など、新銀行東京に関する都民への説明責任について、知事の見解を伺います。
A1.(知事)
新銀行東京の役割や現状については、これまでも議会審議や様々な広報媒体を通じ、都民の皆様にご理解いただけるよう説明に務めてきた。
今後とも最大限、説明責任を果たしながら、再建に向けて取り組んでいく。

Q2.サブプライムローンに端を発したアメリカの金融危機による景気後退が懸念されます。新銀東京への影響をどのように分析しているのか伺います。
A2.(産業労働局長答弁)
米国証券会社の破綻に伴う、新銀行東京の直接的な損失はないと聞いている。
一般に、景気後退局面における金融機関への影響については、資金需要の減少、不良債権の増加などが生じる。
世界的な景気後退が懸念されており、都も経済金融環境の変化を充分に注視していく必要。

市場移転問題について
Q3.7月26日に、専門家会議は、豊洲新市場予定地の土壌汚染問題の最終提言をまとめました。9回にわたる専門家会議では、抽選にはずれた傍聴希望者も音声傍聴ができるように配慮し、傍聴者の質問や意見に、専門家が丁寧に答弁するなど、その姿勢は評価するものです。しかし、多くの疑問は払拭されることはありませんでした。専門家会議として必要な対策を都に示し、コストについて、都に試算資料を要求すべきでした。
技術・工法を民間から公募し、学識者による評価・検証を行い11月に土壌汚染対策計画をつくるとのことですが、この技術会議は傍聴できません。リスクコミュニケーションの視点からも公開すべきです。見解を伺います。
A3.(中央市場長答弁)
豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、都民や市場関係者の理解と協力を得るためには、情報を公開し、共有することが重要である。
そのため、専門家会議については、公開で行なうとともに、会議録などをすべて公表してきた。
技術会議については、各委員が外部からの干渉を受けず、公正、中立の立場で、評価、検証を行なう必要があるため、会議及び資料は非公開としているが、各回の会議終了後に、支障のない範囲で、会議の概要を公表している。
なお、技術会議としての審議が終了した段階では、委員名、会議録等についてすべて公表する。

Q4.技術会議からの提言を受け、最終的には、どのような基準で判断するのか、また庁内でどのように検討していくのか伺います。
A4.(中央市場長答弁)
技術会議では、実効性や経済性等を評価の基準として、最適な技術、工法の選定を行なうこととしている。
都は、技術会議の検討結果がまとまった後、その内容を最大限尊重し、工事の施行計画や経費、工期を算定した上で、土壌汚染対策計画を策定する。
策定に当たっては、副知事を座長に関係各局で構成する「豊洲新市場整備事業の推進に関する調整会議」で検討していく。

食の安全について
Q5.表示の偽装、売れ残りの再利用など、不正が相次ぎ、事業者のモラルが問われていますが、今回の事故米の不正流通は、事業者に加え、農水省の責任が重大です。ミニマム・アクセスにより、加工用に大量に輸入したものの、カビの発生や農薬が検出された米を、返品も廃棄もせず、食用米の販売会社に売り、保育園や病院などにまで流れたことを見過ごしたことはまさに国の犯罪です。
都では、国に先駆け、8月末から調理冷凍食品の原料・原産地表示が始まりました。安全な食品を食べることは消費者の権利です。未然防止の考えを取り入れた食品安全条例を持つ都は、関係するすべての所管が連携して、改めて食の安全確保に取り組むべきです。見解を伺います。
A5.(福祉保健局長答弁)
都は、これまでも、流通の各段階で、抜き打ちで事業所に立ち入り、食品の取り扱い等について監視指導を実施するとともに、食品に含まれる残留農薬や食品添加物などの検査を実施し、健康被害の未然防止に努めてきた。
輸入食品の安全確保は、国における水際での検疫が基本であることから、毎年度、国に対して、検疫の強化など輸入品の監視体制の充実を、提案要求している。
今後とも、国の責任を果たすよう求めていくとともに、監視指導や検査の体制を強化し、関係機関と連携しながら、食の安全確保に努めていく。

消費者行政の強化について
Q6.食品不安に加え、悪徳商法や多重債務など、消費者を取り巻く状況は非常に厳しくなっており、消費者行政の強化が求められています。
都は、最近も、圧力式炊飯器や掃除機などの商品テストの結果を公表するなど、消費者の視点に立った取り組みを進めています。
複雑・多様化する消費者被害に対し、非常勤の消費生活相談員が、区の相談員よりも安い報酬で、悪質事業者を相手に、詳細な法律知識や商品に関する精通した情報を駆使しながら、被害者救済のために日々奮闘していると聞いています。消費者問題の入り口として、東京都消費生活総合センターへ寄せられる期待はたいへん大きくなっています。経験豊富な相談員が継続できるよう、消費生活総合センターの相談体制を、審議会の提言にもあるように、「思い切って強化」するよう強く要望します。
同時に、都民が直面する多様な消費者問題に、行政の力だけで解決にあたるのは充分ではなく、消費者問題に積極的な団体や都民とともに、消費者の考え方や感性を大事にしながら解決していくことも、有意義なことと考えます。消費者や団体との協働について都の見解を伺います。
A6.(生活文化スポーツ局長答弁)
消費者問題の解決のためには、意欲ある消費者団体と行政が手を携え、主体性を活かしながら取り組むことが大切である。
今回の基本計画においても、「消費者との協働の推進」を掲げている。
例えば、消費者問題に関する知識を持つ都民が、「東京都消費者啓発員」として社会福祉施設などで、消費者問題に関する講義を行なうほか、毎年「くらしフェスタ東京」を開催するなど、消費者・事業者・行政が協働する取り組みを進めていく。

土砂災害について
Q7.8月29日未明に起きた八王子の川町の土砂災害は、建物崩壊1棟で、死傷者はなかったものの、裏山の土砂流出の恐れがあり、9世帯24人は避難したままで、15日に行政代執行による応急工事が行われました。
災害現場に行ってみると、被害にあった住宅の裏山はなだらかで土砂崩れが起こるような形状ではありませんが、住宅の裏側の木々は根こそぎ伐採されてそこに行き場のない水が流れ、土砂が流出したと容易に想像できます。都は1年前、斜面に亀裂が見つかった時、裏山の所有者に対して雨水対策を求め、ブルーシートの処置で1年間しのいできましたが、地域の人は大変危機感をもって市や都に訴えていました。早期の対応が必要だったのではと悔やまれます。開発許可の審査は申請地域のみで、周囲の状況は審査の対象ではありませんが、今回の災害があった地区は、「宅地造成工事規制区域」であり、丁寧な指導が必要と考えます。今後宅地造成工事規制区域内の開発許可においては周囲の状況を把握し、的確な指導をしていくことも必要ではないかと考えます。見解を伺います。
A7.(都市整備局長答弁)
宅地造成工事規制区域内においては、起伏が多い丘陵地を開発許可することになるので、より慎重な審査を行なうことが重要である。
審査の際には、開発区域内だけではなく、周辺を含めた安全確認のため、現地調査などにより、状況の把握に努めている。
今後とも、地元紙との連絡を密にし、適切な開発許可の運用を図っていく。

Q8.土砂災害防止法により、都は「土砂災害警戒区域」を指定し、避難体制の整備を促すとして、2003年(平成15年)度から基礎調査を始め、現在青梅市、あきる野市、奥多摩町など683箇所の警戒区域を指定して公開しています。都内には約8,000箇所の危険箇所があり、その7割が多摩に集中しているということです。多摩の豊かな自然を守りながら、民間の活力をどう導いていくか、気候変動による予想もしない暴風雨などの災害から市民を守る東京都の役割は大きいものがあります。早期に避難体制を整備するために、市区町村と連携し、警戒区域の指定などソフト対策を推進すべきだと考えます。都として、どのように取り組んでいるのか伺います。
A8.(建設局長答弁)
土砂災害殻都民の命を守るためには、避難体制の基礎となる警戒区域の指定と土砂災害警戒情報の提供が重要である。
このため、警戒区域の指定を順次進めており、地元の理解と協力を得ながら、平成26年度までに都内全域での指定を目指していく。
また、本年2月から、区市町村による住民への避難勧告や住民の自主避難の目安となる土砂災害警戒情報を、気象庁と共同で発表している。
今後とも、地元自治体と連携し、土砂災害対策を推進し、都民の安全確保に努めていく。

障がい者の地域生活支援について
Q9.障害者自立支援法施行以後、障がい者の地域での居場所が極めて少ないという声が多く寄せられています。
例えば、障がい者が地域で暮らすためのグループホームは、都の目標は達成する見通しですが、都内全体ではまだ不足しており、今後もグループホームの増設が必要と考えます。また、精神障がい者のグループホームは主に通過型とされており、数を確保するとともに、一人ひとりに応じたきめ細かな対応が求められますが、自立までの課題は大きいものがあります。あらためて通過型の理由と、その支援体制、運用について伺います。
A9.(福祉保健局長答弁)
障がい者グループホーム・ケアホームは、2011年(平成23年)度末までに、5,514人のサービス見込み量の達成を目標としており、現在、都は独自の特別助成を実施し、整備を促進している。
精神障がい者のグループホームについては、症状の回復等の状況に合わせて、単身生活等の地域での自立した生活への移行を支援していくために、通過型を設けている。
このグループホームでは、精神保健福祉士等の資格のある世話人を配置し、各利用者の状況に応じたきめ細かな支援を行なっている。

Q10.緊急時に利用できるショートステイは、環境が変わることへの不安が親にも当事者にもあることから、いつも通っている作業所やデイサービスなど、日頃から接しているスタッフが身近に見えるところへの設置が有効と考えますが、都の対応について伺います。
A10.(福祉保健局長答弁)
2004年(平成16年)3月末の国通知により、作業所等の通所施設やグループホームに併設して、短期入所事業が実施できるよう規制緩和された。
これにより、地域に密着した通所施設等の事業者による運営が可能となっており、こうした取り扱いを事業者に周知するとともに、その整備に努めているところである。

Q11.障がい者の就労、特に精神障がい者の受け皿は喫緊の課題です。企業は精神障がいを持った従業員の対応で済ますという傾向で、新たな精神障がい者の雇用拡大につながりません。加えて精神障がい者への対応ノウハウが企業にあまり伝わっておらず、支援が必要です。多摩市の桜ヶ丘の病院では、精神障がい者の就労は「回復のプロセス」という考えで、障がい者の思いに寄り添いながら、就職先を一緒に探す活動に時間をかけています。そのノウハウは大変参考になるもので、精神障がい者の就労に関して、医療機関と連携して、就労相談員の研修などに生かすべきだと考えます。見解を伺います。
A11.(福祉保健局長)
精神障がい者は通常、定期的に通院しており、就労を支援する事業者には、精神疾患に関する基本的医療知識や障がい特性に応じた支援技術が必要である。
また企業にとっても、医療機関の支援や協力が得られると、安心して精神障がい者を雇用することができる。
こうしたことから企業への就労を支援する事業者等を対象とした研修においては、医療機関から講師派遣を受け、医療知識屋支援技術等の普及を図るなど、医療機関と連携した精神障がい者の就労支援に努めている。

地域医療について
Q12.私の地元の稲城市立病院には、産科の入院施設があり、多摩地域や川崎市などからの利用者も多く、日野市立病院の産科閉鎖後は、さらに増加しています。また、町田市民病院は、周産期医療センターの開設に向けて準備を進めていますが、どの病院も医師や看護師の確保が課題となっています。
民間では果たしえない不採算部門も、公立病院は地域の医療として重要であり、病院全体で経営を工夫すると同時に、東京都の支援が必要です。
兵庫県丹波市にある「県立柏原(かいばら)病院」では、多忙を極める小児科の状況を見て、地域のお母さん達が、「小児科を守る会」をつくり、地域の小児医療としての役割を果たせるよう、親自身が子どもの症状を見て判断できる小児救急の冊子を作成し、啓発活動を行っています。
医療従事者と住民によるネットワーク作りの取り組みは、大切な地域医療の要である公立病院を守る上でも、大きな力になっていくと考えます。都は、これについてどう認識し、支援していくのか、所見を伺います。
A12.(福祉保健局長答弁)
公立病院も含め、重要な社会資源である医療を守るためには、医療従事者が患者の立場を尊重し、住民が正しく医療を知って、相互理解を深めることが必要である。
このため都は、医療情報を分かりやすく提供する「暮らしの中の医療情報ナビ」や、「子ども医療ガイド」を作成し、都民の適切な受療行動を促している。
また、都内の住民サークルが医師を交えて、医療に関する勉強会を開き、「医療情報ナビ」をテキストとして活用している例もある。
このような取り組みにより、引き続き、医療従事者と住民との相互理解の支援に努めていく。

周産期医療について
Q13.2009年(平成21年)度末、府中に開設される「小児総合医療センター」は総合周産期母子医療センターとして運営される予定です。ハイリスク出産は増える傾向にあり、新生児の1%は積極的な心肺蘇生が必要で、初期治療にあたる地域の医療機関のレベルアップが求められています。
この夏、東京・生活者ネットワークが視察した長野県立こども病院では、こども病院の医師が月1回は地域に出向き、新生児蘇生法などの講習を行なう「信州モデル」を実施しています。この事により、地域医療従事者との連携も深まり、いずれ子ども達が地域にもどった時に不可欠な地域医療機関の受入れも容易になります。都においても新たに開設される「小児総合医療センター」において、地域の医療機関等との連携を積極的に行い、多摩地域における周産期医療の充実を図って行くべきだと考えます。見解を伺います。
A13.(病院経営本部長答弁)
多摩メディカルキャンパス内に整備する「総合周産期母子医療センター」は、「多摩総合医療センター(仮称)」の参加部門と、「小児総合医療センター(仮称)」の新政治部門を一体的に運営することで、多摩における周産期医療の拠点としての役割を担っていくものである。
この「総合周産期母子医療センター」は、ハイリスク分娩など高度な周産期医療を提供することはもとより、地域連携を確保するための会議の開催や、地域の実情や課題に即した研修を実施することにより、多摩地域における周産期医療の充実を図っていく。