都議会生活者ネットワークは、2008年9月の定例都議会で経済港湾委員会に「食料自給力向上に関する意見書」(以下に掲載)を提案しました。民主、共産は賛成しましたが、自民、公明が、既に国がその方向で動いていると不採択を主張した結果、不採択となりました。
食品の安全性、食料の確保など、「食」を取り巻く状況は不安と危機にさらされています。
安全な食品を食することは消費者の権利です。
生活者ネットは、未然防止の原則に立ち、所管や法律の壁をこえて取り組むことを求めましたが、党利・党略に基づく議決判断で採択されなかったことは、きわめて残念です。
都民・消費者の立場に立つ議会であることを強く求めます。
食料自給力向上に関する意見書(案)
世界的な金融の構造的危機を反映して、投機資金は穀物市場に流人し、国際的な食料価格を押し上げている。バイオエタノールの生産量の拡大や開発途上国の需要増大が拍車をかけ、その水準は史上最高にまで高騰している。食料価格の世界的高騰は、食料自給率の低い日本や、とりわけ「南」の国々の人々の暮らしを直撃している。
さらに、追い討ちをかけるように、中国製のギョウザやミルクヘの毒物混入、輸入汚染米の不正転売等の事件が相次ぎ、食料を輸入に依存する日本の食の安全・安心が大きく揺らぎ続けている。食料をめぐる織境は、この1年で劇的に変化している。ウルグアイ・ラウンド合意以降、国際的に食料の需要増及び価格高騰の問題は構造化しており、穀物を資源外交の武器にしようとしている動きすらある。日本の食料における安全保障の確立が、緊急かつ最重要課題となったことは自明である。
国においては、平成17年3月に「食料・農業・農村基本計画」を策定し、食料自給率の目標設定とその向上に取り組むことなどを位置付けた。しかるに、我が国の食料自給率は40%までに低下し、第一次産業は危機的な状態にある。国においては、「食料安全保障」というトータルで長期的な観点に基づき、地域と農林漁業の再生をつなぐ担い手が、将来への希望が持てるような社会的条件を整えるべきである。抜本的な食料自給力向上のため、国と地方自治体が一体となって、総合的な政策を策定し推進することが喫緊の課題である。
よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1 食料増産と食料自給率向上に向けた、総合的な政策を策定すること。
2 新規需要米など、米の消費増大を推進すること。
3 飼料原料、油糧原料や穀物などの自給率向上のための戦略作物を指定すること。
4 食料自給率向上のための食品表示を推進すること。
5 地方自治体の一次産業の振興計画策定を支援するとともに、こうした振興部門における地方分権を推進すること。
以上、地方自治法第99粂の規定により意見書を提出する。
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、経済財政政策担当大臣宛