都議会生活者ネットワーク
幹事長 大西由紀子
一般会計をはじめとする29件の2009年(平成21年)度予算案は、急激な景気の悪化で、税収回復の見通しが立たない中で、満遍なく財源を振り向けており、緊急の課題も多いことから賛成はしましたが、新銀行東京、築地市場の移転問題、オリンピック招致など、大きな課題を抱えながらの今後の都政運営は、予断を許しません。
温暖化対策、消費者行政の充実、未来ある子どもたちの教育など、都民の生活に根ざした、待ったなしの課題が山積しています。
なかでも今最も緊急な課題はセーフティネットの確立です。
緊急雇用対策、中小企業支援で、仕事の場を確保するとともに、保育や教育の基盤整備を行ない、医療や介護、住まいなど、安心して生活できるための環境整備に、これまで以上にしっかりと取り組むことを求めました。
開会中に発生した群馬県の高齢者施設の火災では、7人の都からの入居者が亡くなり、他県に頼る高齢者のセーフティネットの危うさが、特に浮き彫りとなりました。東京での高齢化は急速に進み、2025年までの20年間で、高齢者は100万人以上増え、中でも単身高齢者が急増するといわれています。本格的な高齢社会の到来に備え、高齢者が地域社会の中で活き活きと暮らすことができる環境の整備が、これまで以上に重要になってくると考えます。
反対した議案についての生活者ネットワークの見解を申し述べます。
特に、安心・安全を盾に規制強化につながるのではないかと都民の不安が広がっている「安全・安心まちづくり条例の改正」は、繁華街の定義や迷惑とされる行為があいまいであり、条例改正の必要性も認められないものです。
また、「東京都立病院条例の改正」については、小児医療の拠点として3病院を統合して小児総合医療センターを作ることに反対するものではありませんが、今回の改正が同時に3病院の廃止を伴っており、廃止後の地域課題に対する住民不安の解消に向けた取組はまだまだ不十分なことから、地域事情をわきまえない乱暴な条例提案には賛同できないと判断しました。
また、「都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例」も、新銀行東京の救済に新たな税金投入の道を開くのではないか、と危惧する都民が多いなか、「新銀行東京を除外しない」「中小零細企業支援の効果も確認できない」などと不充分な説明で、納得できません。
さらに「八王子市滝山町の土地の売払い」についても、通常の市民感覚では理解できないことが多々あり、今後の都有地の売却に大きな課題を残しました。
これらの条例はいずれも、提案理由や目的があいまい、緊急性が認められない、行政側の都合が優先されるなど、都民の存在を忘れた今の都政運営の姿勢が垣間見られ、石原都政の限界を感じざるを得ません。
生活者ネットは、一般質問や予算特別委員会を通じ、共生の社会を確立するための障がい者差別禁止条例の制定や、都政への都民参画のひとつとして都民意見を問うパブリックコメント制度の確立などを求めてきました。今後も、生活者の視点に立って都政改革・議会改革に取り組んでまいります。
みなさまからのご意見・ご提案をお待ちしております。
以上