2018年第3回定例会を終えて(談話)

2018年第3回定例会を終えて(談話)

2018年10月5日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

 

 本日、第3回定例会が閉会しました。

 この夏は、これまでに経験したことのない豪雨や命に関わる猛暑、そして台風、地震と、全国各地で多くの災害が発生しました。災害への備えは非常に重要であり、常に防災対策を見直しながら、実効性のある施策を実施していかなければなりません。とりわけ土砂災害への対策として、都は土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定を前倒しで進めていますが、ハザードマップで住民に周知を徹底するとともに、危険な場所への住宅や公共施設の土地利用を見直すことが必要です。また、近年東京の水害は内水氾濫であり、あらためてダムによる治水対策は無駄であると考えます。地味ではありますが、台地での雨水浸透を促進するとともに、グリーンインフラの考え方による分散型の雨水貯留に着手することを提案します。

 今年の災害で大きく課題となったのが外国人旅行者への対応です。空港や街なかで情報がなく途方に暮れている旅行者の姿がニュースでも映し出されました。都議会生活者ネットワークは、これまでも多言語およびやさしい日本語による情報提供を提案してきましたが、今回あらためて、避難誘導や支援物資などの情報をどうしたら外国人旅行者にきちんと伝わるのかについて洗い出す必要があります。

 さらに、記録的な猛暑で多くの高齢者が犠牲になり、冷房使用が盛んに勧められました。学校の冷房についても注目されています。教室の空調設備設置は少しずつ進んでいますが、避難所としても使われる体育館には設置されていません。今定例会で知事から、来年の夏に向けて、補正予算で体育館も含めて空調設備の整備を進めるという発言がありました。地球規模の気候変動に伴って、今年のような命に関わる猛暑が頻発すると言われており、子どもたちの教育環境および防災施設として整備が急がれます。

◎東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例について

 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現をめざす条例の第二章「多様な性の理解の推進」について、生活者ネットワークは、性的指向や性自認(SOGI)に関する差別や偏見の現状、改善方法、救済を明らかにするために、これまでも条例の策定プロセスにおいて、当事者が広く議論に参画することを求めてきました。条例案の審査を付託された総務委員会では、参考人招致の提案がありましたが、タイトな日程のなか実現に至らなかったことは残念です。一方、当事者や当事者団体、支援者団体からは、差別禁止に向け、一日も早い条例制定が望まれており、今議会で成立したことで、その第一歩を踏み出すものと期待しています。今後は、実効性のあるものとするため、基本計画策定にあたって、必ず当事者等が参画する議論の場を設けることを強く要望します。

 また、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」については、人権保障、尊重における差別解消であり、表現の自由、集会の自由を脅かすものであってはならず、注視していかなくてはなりません。

 この条例制定を契機に、多様な人々の人権が保障される都市東京の実現を、ここに決意するものです。

◎建築安全条例の一部を改正する条例について

 今回の建築安全条例改正で、いわゆる旗竿敷地の重層長屋において、避難経路を確保する観点から通路の幅を広げる規定が設けられました。特に住宅密集地に建てられる重層長屋について、高さや敷地境界から建物までが狭いことによる圧迫感、日影などの問題で、近隣住民との間でトラブルが多く発生しています。この改正によって通路が広がり、少しは改善が期待されますが、50㎝幅の通路だけで解決できるとはとうてい思えません。建築安全条例だけでなく、壁面後退など他の手法を使って解決策のルール化が必要です。

◎豊洲新市場のひび割れについて

 開場を目前に、豊洲新市場でのひび割れやマンホールから地下水があふれ出るなどの問題が明るみに出ました。都は、ひび割れは地盤沈下によるもので昨年秋には把握していたが、想定内だったので公表しなかったとのことですが、こうした情報は、すぐに公表しないと「隠している」と思われ、不信感が増します。埋立地の地盤沈下は今後も進むと予測されており、発見したときは速やかに公表し、徹底した情報公開を求めます。

◎主要農作物種子法の廃止に関する請願について

 これまで都道府県が責任を持って安定して安価な稲、麦、大豆の種子を供給してきた種子法が廃止されました。種子供給のグローバル企業への依存により、食料の安全保障も脅かされるのではないかと懸念されています。種子の安定供給を図るため条例を制定している県もありますが、国においても種子保全に関する積極的な施策を実施すべきと考え、この請願に賛成しました。

◎横田基地に配備されたオスプレイについて

 10月1日、横田基地にオスプレイが正式に配備されました。2024年頃までに計10機態勢に増強されるということです。今回の配備にあたって、都と基地周辺自治体は、日本政府および在日米軍に対し、迅速・正確な情報提供と安全対策の徹底などを要請しました。しかしながら、自治体等の度重なる要請にもかかわらず、事前の情報提供などはいっさい行われていません。都議会生活者ネットワークはかねてからオスプレイ配備に反対してきました。日本政府および米国政府は、住民の安全を確保するために、周辺自治体からの意見をきちんと聞くべきです。

 

 都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。