2018年第1回定例会を終えて(談話)

2018年第1回定例会を終えて(談話)

 

2018年3月29日

都議会生活者ネットワーク  山内 れい子

 

本日、2018年度予算を審議した第1回定例会が閉会しました。

オリンピック・パラリンピックの大会経費は、当初の想定より大きく膨れ上がり、高すぎるとの批判を受けて、1兆3500億円としています。そのうち、都の負担額は6000億円、大会関連事業費を合わせると、負担額は1兆4100億円にも上ります。将来を見すえて、大会施設は徹底した省エネ化を進め、東京を省エネ都市に転換し、また、高齢社会に向けて街のバリアフリー化の整備を求めました。

今回の予算には、世代や障がいの有無にかかわらず交流できる居場所づくりの事業が盛り込まれました。今回予算化された居場所事業は、児童福祉、高齢者福祉、生活福祉それぞれの事業であるものの、さまざまな人が混じって集うという新しいコンセプトであり、生活者ネットワークがインクルーシブなまちづくりに向けて長年要望してきたもので、期待しています。実際に、都内各地で多くの市民団体、NPOが居場所事業を営んでおり、地域によって形態も運営方法も違うため、市民の側から発信し支援事業を使い勝手のいいものにしていくよう求めました。

 

今議会に上程された迷惑防止条例改正案では、改正ストーカー規制法に合わせて、「つきまとい行為等」に「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」などの行為を追加しています。ストーカー規制法は恋愛感情が出発点にあるのに対して、迷惑防止条例は、元から「悪意の感情」を目的としており、社会的な抗議行動についても「うろつく」行為や監視行為として規制対象となるのではないかと市民の不安が広がりました。警視庁は、「濫用防止規定があり、政治や組合活動、報道などは対象にならない」と答弁しましたが、条例の運用者の裁量によって拡大解釈されるおそれはぬぐえません。現在ある規定で、つきまといや乱暴な言動などの行為は規制できるにもかかわらず、なぜ今規制行為を追加する必要があるのか疑問であり、市民の活動を制限しかねない改正案に反対しました。

 また、築地市場の豊洲移転準備を進めていますが、地下水管理システムをフル回転しても井戸の水位は目標まで下がっておらず、汚染対策も進まないことから中央卸売市場会計予算に反対、八ッ場ダムをはじめ相変わらず過大な水需要予測に基づく事業が展開されているため、水道事業会計予算に反対しました。

 

一般質問では、高校生の妊娠について、学校と育児の両立や生活費などの問題に直面し、自主退学せざるを得ない事例を取り上げました。高校中退すると、仕事に就くことは難しく生活が困難になるケースが多いのが現状です。妊娠した生徒や保護者の負担を軽減し、生まれてくる子どもの命と生徒の自立のために、地域で支援するチームの一員として、学校はしっかり地域と連携し、生徒の自立を応援するよう求めました。

一方、チャイルドライン等子どもの電話相談には、予期せぬ妊娠や性感染症に関する相談も寄せられていると聞きます。子どもたちの思いがけない妊娠を防ぐためにも、性教育は不可欠です。3月16日の文教委員会質疑において、足立区立中学校で行われた性を題材とした学習が「行き過ぎ」という指摘を受け、都が足立区教育委員会に問い合わせたことが明らかになりました。国際的には発達段階に即して中学生までに性交や避妊について教えることが標準になっています。子どもの実態に向き合っている現場の努力に応えて、都教育委員会はむしろそのニーズを把握して、現場の取り組みを応援する対応が求められます。生活者ネットワークは、性教育の充実を進めるよう、今後も求めていきます。

 

防災対策として、これまで生活者ネットワークは、熊本地震の経験に学び、男女平等参画の視点で避難所を運営するための取り組みを求めてきましたが、昨日公表された「避難所管理運営の指針」には、外国人向けの「やさしい日本語」の表記、女性や乳幼児、妊産婦、LGBTなど多様な人への配慮などが盛り込まれました。また、福祉避難所に専門スタッフを派遣する広域的なしくみもでき、少しずつ前進しています。

 

 都議会生活者ネットワークは、生活者の視点で、環境・福祉優先の持続可能なまちづくりをすすめていきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。