2015年第4回定例会 討論
2015年12月16日
山内 玲子
都議会生活者ネットワークを代表して、第197号から199号議案に反対、その他の知事提出のすべての議案に賛成の立場から討論を行います。
- マイナンバーについて
議案第197号から第199号までの3議案は、いわゆるマイナンバー制度にかかわる規定整備ですが、マイナンバー制度そのものが、国民一人ひとりを国が一生涯にわたって識別し追跡することを可能にするしくみであり、国にとっては課税や徴税に好都合ですが、個人情報の流出やプライバシーの侵害への不安は拭えません。たとえ都が条例によって歯止めをかけたとしても、ネットワークシステムによる特定個人情報の提供や任意代理人への自己情報の開示など、運用する中で問題が起こる懸念もあります。よって、この3議案には反対です。
- 新国立競技場の建設費負担について
今年5月、新国立競技場整備にかかわる財源負担を、東京都に求めた国の理不尽なやり方に、知事が「都民の納得できる理由を示せ」と反論したのは当然です。しかし、知事は、今定例会の所信表明で、突如として、財源案に合意したと述べました。都の負担は、整備費の4分の1にあたる395億円と、周辺整備費を合わせると448億円に上ります。巨費を引き受ける理由として都があげた「都民への便益」には説得力がなく、説明責任を果たしたとは言えません。4分の1には根拠がないばかりか、旧国立競技場の解体費用まで含めて、都が負担することに都民は到底納得できません。
- 18歳選挙権について
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、来年の参院選では有権者が大量に誕生します。若者たちに政治参加を促すようなタウンミーティングや語る会など若者と知事が直接対話するような取り組みを要望します。
- 障害者差別解消法施行に向けて
来年4月に障害者差別解消法が施行されます。都は対応要領を作成するということですが、全庁の取り組みを統括し推進する部署が必要です。そして、今後取り組み状況を検証し見直しながら、真にインクルーシブな東京にしていくよう求めます。
- 在宅支援
東京でも、間もなく人口減少が始まり、世界に類のない超高齢社会への対応が喫緊の課題となっています。国では、看取りも含めて在宅介護に舵を切っていますが、家族介護を前提としているため、サービスの質も量も足りず、老老介護に加え、育児と介護の同時進行、ヤングケアラーの問題など、家族が憔悴し破たんする事態も起こっています。認知症になっても家族がいてもいなくても、安心して住み慣れた地域で生活できるように、医療・介護・生活支援や住宅の確保など地域包括ケアシステムの構築にむけた取り組みを進めていく必要があります。
- 地球温暖化対策について
COP21で「パリ協定」が採択されました。アメリカ、中国や途上国を含むすべての国で、2020年以降の温室効果ガス削減の取り組みが義務付けられたことは画期的です。今世紀後半には実質的にゼロにするよう削減することも盛り込まれました。電力の大消費地である東京が、CO2削減、再生可能エネルギー拡大を率先して進めていく必要があります。現在検討中の環境基本計画で2030年までの数値目標が示されています。都は、これまでバックキャスティングの考え方で、国に先駆けて意欲的な目標と施策を展開してきました。知事にはぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
2016年4月から始まる電力の小売自由化は、エネルギーシフトのチャンスです。消費者が、原発に依存せず、環境に配慮した電源を選択できるよう、電源構成や環境負荷の表示を国に求めるとともに、都は積極的に選択意欲を喚起する普及啓発、情報発信をするよう求めます。
- 日の丸・君が代裁判の上告について
先の12月10日、いわゆる「10.23通達」違反を理由とした再雇用拒否をめぐる裁判において、東京高裁が都に下した判決は控訴棄却であり、きわめて妥当なものと考えます。最初の提訴から6年も経過し、この間、1度ならず2度も「裁量権の逸脱・濫用」であると司法の指摘を受け敗訴したことを、都は謙虚に受け止めるべきです。この上、なおも上告を繰り返すことは、時間と税金の無駄遣いというしかありません。
今回の上告受理の申立てには反対であることを申し上げ、都議会生活者ネットワークの討論とします。