2012年都議会第一回定例会を終えて(談話)

2012年都議会第一回定例会を終えて(談話)

2012年3月29日

都議会生活者ネットワーク・みらい

幹事長 西崎光子

 本日2012年都議会第1回定例会が終了しました。

 都議会生活者ネットワーク・みらいは、2つの予算案と1つの条例改正に反対しました。

 「東京都中央卸売市場会計予算」については、大震災による液状化など新たな問題が浮上しており、市場関係者の合意が進んだとしても、消費者にとっては、「食の安全」が保障されない限り、賛成するわけにはいきません。「東京都水道事業会計予算」も過大な水需要予測を前提とした八ッ場ダム事業の推進がある以上、反対せざるを得ません。

 また「都立看護専門学校条例の一部改正」については、看護師の不足が日常的に起きている中で、公立としては他県に比べても高額な授業料を、さらに一挙に5万円も値上げすることは、看護を志す若い人材の門戸を狭めることにもなりかねないと考えます。

 「一般会計予算」については、8年連続増額となった投資的経費は、オリンピック関連事業、八ッ場ダム、外環などの無駄な公共事業を促進するという意味で問題です。「福祉と保健」分野の予算が増額されても、最近の高齢者世帯や母子家庭における孤立死、子どもの虐待の増加などを考えると、まだまだ施策の行き届かない分野があると言わざるを得ません。予算の高だけでなく、制度のはざまに陥っている人がいないか、制度の運用にも自治体と連携して十分な目を注ぐことを要望しました。

 また特養や保育所の面積基準の緩和については、あくまで現在の待機者対策として認めるものであり、基準の緩和によって、利用者へのサービスが低下することがないよう、都の指導強化を求めました。誰もが人としての尊厳が保てるためには、個室が大前提であり、最終的には施設に頼るのではなく、住み慣れた家で最後まで生活できるよう、24時間365日切れ目のない在宅サービスの充実こそが重要です。

 今回、がん対策推進条例を議員提案として共同提出しましたが、全会派の賛同が得られなかったことは残念です。がんは都民の主要死因の第1位であり、働き盛りの30代・40代での発症は、仕事の継続や家庭生活への影響など、新たな課題を提示しています。都においても一日も早い条例制定が求められます。議会としても、議員の権能強化のため、今後も大いに勉強して真に都民のためになる条例づくりを促進してまいります。

 原発事故から1年が経過しても「収束」とは程遠く、放射能問題は都民にとっても、のどに刺さった小骨のように気がかりな問題です。都は4月からの新基準施行を機に、検査体制の一層の充実と的確な情報提供を行うととともに、市民が取り組む放射能測定への支援や、適正な検査を行える人材の育成・研修なども重要です。今後長期にわたって追跡調査を行い、科学的根拠に基づいた丁寧な情報公開を行うために、横断的な専門部局を設けることを提案しました。

 東日本大震災と原発事故によって、これまでの生活スタイルや価値観の転換が迫られていることを都民の多くが実感しています。これまでの20世紀型経済社会から脱却し、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会に向けて、皆様からのご提案をお待ちしております。

                                     以上