2007年第2回定例会 一般質問

都議会生活者ネットワーク
西崎 光子

(質問部分抜粋)
まちづくりにおいての市民主権の確立が私のテーマです。これからも、このテーマにこだわりながら、活動をすすめていきます。

新銀行東京の今後について
Q1. 知事は、「東京再起動」を掲げて3期目の当選を果たされたが、どのように再起動するのか、所信表明でも具体案を示されませんでした。
特に喫緊の重要課題である新銀行東京について、どのように再起動の舵取りをするかが問われています。知事は、2期目の公約として、トップダウンで新銀行設立をすすめ、赤字がふくらむと、「発案は私でその責任はあるが、金融の専門家ではない。経営者に責任がある」として、経営陣を刷新しました。新銀行の設立目標は、「無担保融資で中小企業を救う」ことにありましたが、当然リスクが伴うものです。事業内容の詳細を示さないまま、予算案に1000億円の出資を入れて一括審議するなどの乱暴な新銀行の提案に、生活者ネットワークは反対してきました。赤字膨張の原因が、審査能力不足や融資モデルそのものにあったのは明らかです。
知事自身も新銀行について、「進むも地獄、引くも地獄という惨憺たるありさま」と発言されており、都の大きな負の遺産である「臨海」についての知事の発言と重なります。これ以上の損失を招かないために、新銀行の幕引きをきっぱりと行うべきです。知事の見解を伺います。
A1.新銀行東京についてであるが、今決算においては、計画を上回る不良債権の発生などにより、経営が悪化したが、これまでに16,600件の融資・保証を実行しており、中小企業金融において、重要な役割を果たしていることに変わりはない。都は、出資者として、今後とも新銀行東京が、新経営陣の下で、収益面の改善を図りつつ、中小企業への金融支援を一層充実していくよう、働きかけを行っていく。

民生・児童委員制度の機能強化について
Q2.認知症高齢者の増加や孤独死、そして児童虐待の問題など少子高齢化に伴い地域の福祉課題は増加・複雑化しています。これらの問題解決のために様々な役割を求められている民生・児童委員の負担は重くなっています。こうした状況を踏まえ、東京都は今年度機能強化を図るための新たな事業として「(仮称)民生・児童委員サポーター制度」の創設を予定し、具体的な事業内容については今後検討すると聞いております。しかし、法的規定がなく位置づけが曖昧なサポーターへの協力には限界があるという意見もあります。今年は民生・児童委員の一斉改選の年で、区市町村は現在、その準備に追われています。新たに導入するサポーター制度が、民生・児童委員の機能強化と負担軽減につながるように、現場の意見を十分に踏まえた事業内容にすることが求められます。現在の検討状況について伺います。
A2.民生・児童委員サポーター制度 (仮称)の検討状況についてであるが、この制度は、児童虐待防止、子育て支援、高齢者の見守りなど、地域における課題が多様化していることから、民生・児童委員の活動の裾野を広げ、地域力の向上を図ることを目的として導入するものである。現在、区市町村や民生・児童委員の代表などからなる検討会を設置し、地域の実情に即した制度となるよう、サポーターの選出方法や活動内容等について検討している。
今後も、関係者の意見を聞きながら、円滑な事業開始に向けて準備を進めていく。

感染症対策、麻疹対策について
Q3.東京都健康安全研究センターのまとめによると、都内の学校等の施設における麻しん患者の発生は2017人であり、大学生、高校生の患者が800人と多いのが、今回の特徴です。この世代は麻しんの予防接種を受けていない人が比較的多く、予防接種を受けても、免疫が低下した者がいることが流行の背景です。また、高校生や大学生は、小児に比べて行動範囲が広く、感染が広がった可能性があり、公立・私立学校の区別なく幅広い予防策が求められます。
今回の集団感染防止においては、関係機関がどのように連携して取り組まれたか伺います。
A3.都では、昨年度から、都内全ての保健所が、集団感染の対策情報をリアルタイムで共有する、都独自のオンライン情報システムを運用している。保健所は、このシステムからの情報を活用しながら、学校、校医、医師会等と連携し、速やかな休校措置を指導して感染経路を遮断するなど、感染拡大防止に努めてきた。この度の流行では、都内の高校・大学で複数の患者が発生した集団感染した152校に対し、速やかな指導を実施した。

Q4.茨城県の竜ケ崎保健所では、過去の教訓を生かし「保育所・幼稚園・学校等における麻しん患者発生時の対応マニュアル」を作成し、感染者を最小限に抑えています。これを参考にしている自治体も多いと聞いており、都も、学校等での患者発生時の初動体制強化に、こうした取り組みを行うべきだと考えますが、見解を伺います。
A4.学校等での初動体制についてであるが、麻しんは感染力が強いことから、免疫の弱い集団では、感染が広がりやすく、患者発生時の初動が重要。このため、都は、オンライン情報システムを活用して患者発生情報等を迅速に伝達し、機動的な初期体制を確保。
今般の流行に際しても、対策担当者の緊急連絡会の開催や、お話しの対応マニュアル、これは国立感染症センターの監修したものであるが、その一部を取り入れて、都が独自に作成した対策指針を活用するなど、地域における初動体制の強化を着実に強化。今後、各保健所が実施した集団感染防止対策の事例について検討・分析するなど、対策の一層の強化に取り組んでいく。

Q5.先進国では、麻しんは根絶に近い状態で、日本は麻しんの輸出国と非難されており、麻しん患者の発生をゼロに近づける努力が求められています。厚労省は専門家による検討会を開催し、国レベルでの予防強化に乗り出すようです。東京は若者が集散する人口密集地域であり、麻しんの根絶を目指し、率先して抗体を持たない人への注意喚起と予防接種の奨励に努めるべきです。今後の都の対策を伺います。
A5.今般の流行に際しても、都は、情報システムによる地域情報の把握や指定医療機関での定点調査等から麻しんの流行を察知し、都民に対して、速やかに注意喚起を行った。麻しんの予防は、予防接種法に基づく定期の予防接種を確実に受けてもらうことが基本であるが、接種期間が限られているため、法定の接種を受けられない子どもが一定数いる。都は、こうした子どもへの接種を促進し、ワクチン接種率の更なる向上を図るため、今年度より、包括補助制度を通じた区市町村支援を開始。今後も、区市町村と連携し、適切な情報提供と予防接種の勧奨に努めていく。

暖化対策について
Q6.主要国首脳会議G8サミットは6月7日、温室効果ガス排出量を「2050年までに少なくとも半減させることを真剣に検討する」という合意を発表しました。
東京都は既に、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針である「東京都気候変動対策方針」の中で、東京が日本の気候変動対策をリードするとし、明確な政策提案により世論を喚起し実現をめざすと明言し、環境自動車燃料導入プロジェクトが大きく動こうとしています。都は今年度から第一世代、第二世代のバイオディーゼル燃料の率先導入プロジェクトを開始しており、その進捗状況と今後の展開について伺います。
A6.バイオディーゼル燃料は、植物を原料に含むため、品質劣化による車体等への影響を防ぐ観点から、利用に当たって適切な管理が必要。都は、この秋より、都営バスを使ったモデル事業で燃料の管理方法などのノウハウを明らかにしていく。また並行して、科学的処理により製造する品質劣化のおそれがない第二次世代バイオディーゼル燃料についても、実用化に向けた共同プロジェクトを進めていく。

Q7.バイオディーゼル燃料は植物を原料とし、温室効果ガスを増加させず、地球環境にやさしい燃料といわれています。しかし、原料の多くが菜種油やパーム油のように食料品として利用されてきたもので、アメリカでのバイオエタノール生産の急増を受け、マヨネーズなどの食品が値上がりしています。都はバイオディーゼル燃料の率先導入を進めるにあたり、食糧品需要への影響に配慮し、廃食用油など食用に適さない油脂を原料として活用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
A7.バイオディーゼル燃料の利用拡大が、食料品需給の逼迫や熱帯雨林の伐採を促すことのないよう、都は、2月に開始した率先導入プロジェクトにおいて、原料調達などにも配慮している。その一環として、廃食用油など食用に適さない油脂の活用も、既に検討を開始している。

Q8.自治体、市民団体、NPOなどが家庭の廃油をリサイクルし、バイオディーゼル燃料として使用しています。小さな試みですが、持続可能な循環型エネルギーとして可能性が広がっています。東京都内で廃棄される食用油は大量と推測され、廃食用油の回収ルートと処理施設を設定すれば、大きなエネルギー源の確保と同時に、ごみ減量も図れると考えます。見解を伺います。
A8.約6割を占める業務用途からの廃食用油は、食品リサイクルの一環として、既に動物用飼料等へのリサイクルルートが確立している。一方、一般家庭からの廃食用油は、一部の地域で回収されているものの、多くは固形化したのち可燃ごみとして出されている実態がある。これらの実態を踏まえ、第二世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた取り組みにおいては、原料供給体制についても検討している。

Q9.6月に山形県で第7回全国菜の花プロジェクト大会が開催されました。「一面に広がる菜の花は人々の心を癒し、食卓を彩り、菜種油は調理用に、搾りかすは肥料に、調理後の廃油は石けんやディーゼル燃料に」と資源循環型のまちづくりに取り組んでいる人たちの大会です。菜の花プロジェクトは地域の廃油を回収し、バイオディーゼル燃料を使う運動をしています。このような草の根の運動が地球を守ることに繋がっています。「10年後の東京」で都民や環境団体が一体となって推進する温暖化対策を掲げている東京都は、こうした都民の自発的な取り組みと連携を深めていくべきだと考えますがいかがでしょうか。
A9.世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市を実現するためには、都民、民間企業、NGOと行政が一体となり、カーボンマイナス東京10年プロジェクトを東京全体で展開していく必要がある。そうした観点に立ち、都民などの省エネ意識をより高めるとともに、それぞれの役割と責任に応じた主体的な省エネ行動が、積極的に推進されるよう努めていく。

食の安全について
Q10.東京都が、BSE対策で国産牛の全頭調査を行ってきたことは、日本市場の全頭調査への流れをつくり、国民の食の安全を守ることに繋がってきたと評価しています。しかし、国はBSEについて生後20ヶ月以下の国産牛の検査費用補助を08年7月で打ち切るとしています。また、6月に国はアメリカの日本向け食肉処理施設に関する点検・調査は終了したと発表し、アメリカ牛肉の全面解禁に向けて動きだしています。しかし、国民の不安はまだぬぐえていません。不安を払拭するために、「中央卸売市場を通った牛肉は安全」という芝浦ブランドをもたせる意味でも全頭調査は重要です。来年度以降、引き続きBSEの全頭調査を行うのか、都のお考えを伺います。
A10.国は、生後20ヶ月以下の牛の検査費用補助を、来年7月末をもって終了することとしているが、その時点までは、これまでと同様に、すべての牛のBSE検査を実施していくことに変わりはない。来年8月以降の検査に関しては、今後の状況を踏まえ適切に対応。

Q11.2005年の日本の食糧自給率は、熱量換算で40%にまで落ちています。主な食糧輸入国はアメリカ、中国で、特に輸入野菜の中国産の割合は63%にのぼりますが監視体制は十分でない状況のようです。増え続ける輸入食品の国内での監視体制が問われています。東京都の輸入食品対策として、監視体制、国との連携、都民への周知について伺います。
A11.都は、輸入食品対策を、東京都食品安全推進計画の重要事項として位置づけている。輸入業者等に対しては、健康安全研究センター輸入食品監視班や市場衛生検査所が、また、小売段階では、都内の保健所が、国の検疫所からの最新の違反情報なども踏まえ、それぞれの段階で効果的な監視指導を実施。また事業者の自主管理の推進を図るため、衛生講習会を開催し、輸入食品に関する最新情報を提供。さらに都民に対しては、違反事例などをホームページで公表し、迅速な情報提供を行っている。今後とも、関係機関と連携し、こうした取り組みを着実に行い、都民の食の安全確保に努める。

Q12.食の安全につねに大きな関心を持ち続けている私たちにとって、築地の中央卸売市場の移転問題は見逃せない課題です。豊洲の新市場予定地の土壌汚染については、知事も再調査の必要性も含め専門家に意見を聞き、必要があれば実施すると都民に約束しました。今月末には第2回目の「専門家会議」が予定されていますが、事業者がつくったデータや処理方法、過去の評価をなぞるだけでは見直しの意味をなしません。土壌汚染に関しては、法律改正後の新たな基準で検証を進めてこそ客観性が担保できます。また、「専門家会議」の議論を多くの人と共有し、情報公開をすすめることが信頼関係をつくる第一歩です。傍聴枠を広げ、傍聴できなかった人への配慮を丁寧にすべきと考えますが、見解を伺います。
A12.専門家会議の議論を都民と共有することについてであるが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、広く都民と情報を共有し、土壌汚染に対する不安を解消していくことが必要であると認識している。このため、専門家会議についても、会議を公開で行うとともに、会議終了後、速やかに、会議の資料及び、議事録等をホームページで公開するなど、透明性のある会議運営と都民との情報共有に努めている。会議の傍聴者数については、専門家に密度の濃い実質的な討議をしていただくため、議論に集中できる静謐な環境が保てるよう、一定の枠を設けた。しかしながら、できる限り多くの方々に会議の内容を理解していただけるように、傍聴の希望に添えなかった方々への資料配布などを検討していく。