2007年第2回定例会 討論

都議会生活者ネットワーク
大西由紀子

 私は都議会生活者ネットワークを代表して、本会議に付託された全議案に賛成の立場から討論を行います。

まず、はじめに、「住民基本台帳ネットワークの本人確認情報を利用する事務等を定める条例」の新設については、住民基本台帳ネットワークシステムが、住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために、いよいよ活用の時期に入ったものと受け止めます。しかし、「公」の利便性のために個人の情報が無制限に流されることのないよう、対象事務の拡大には慎重であるべきです。ことに警察や学校など個人情報が最も集中している公的機関での情報の流出が相次ぎ、個人情報保護への不安が高まっています。セキュリティ対策に万全を期し、職員全体への意識啓発や研修の徹底がなされることを強く望みます。

次に、地球の存亡をかけての温暖化対策が叫ばれ、バイオ燃料が注目されています。しかし、その原料は食料と競合するものであり、すでにとうもろこしやサトウキビなどの高騰を招いています。世界最大の消費都市である東京の持つ特性を最大限に生かしたバイオ燃料を目指すことで、廃棄物が一転してエネルギー源に変わります。
今回の一般質問で取り上げた自治体、市民団体やNPOが家庭の廃油をリサイクルしてバイオディーゼル燃料として使用している試みのひとつ、「菜の花プロジェクト」はまさに、まちづくりのロマンをかきたてるものです。温暖化対策は様々な市民活動との連携なしでは広がりません。今月、財務局が発表した、「今後の財産利活用の指針」には、緑の創出などの実現に向けて、都有財産の積極的な利活用を盛り込んでいます。貴重な緑地保全として活用すべき方向性をネットは大いに評価し、新たな公の仕事・温暖化対策として緑の確保、市民活動の支援などに、都有地が有効に活用されることを期待します。

次に、介護保険制度導入以来、最大の事業者の不正行為が発覚し、処分が発表されました。行政が責任を持って、利用者の保護とサービスの確保に当たるべきです。この問題を一企業の不正を正す「とかげの尻尾きり」に終わらせることなく、制度自体が法令順守の中で、事業として成り立つ制度なのかどうかを検証する契機とすべきです。報酬改定や制度改正の中で介護報酬カットが続き、事業者は運営の厳しさにあえいでいます。特に在宅介護を支えるホームヘルパーは、限られた時間制限の中で、個別性の著しい家事援助や介護をこなし、低賃金・不安定雇用が常態化し、離職者が絶えません。持続可能な社会保障制度として確立するには、事業者の安定的な運営と人材の確保が不可欠です。事業運営を継続しつつ、サービスの質を確保できる報酬水準とは、どのラインになるのか、根本的な議論を始めるよう、2009年度の改正に向けて、都として国へ提言することを求めます。

次に、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、専門家会議を広く公開し、今ある最善の方法で汚染処理を行うために、時間と費用を惜しむべきではありません。国も土壌汚染対策法の全面見直しに着手するため方向性を打ち出しましたが、これは、工場跡地などの汚染された土地がその処理費用が高くつくために放置され、有効利用されないことから、利用促進を図ることが狙いのようです。しかし、これまで同様に、企業の汚染は、企業の責任で処理すべきです。環境を守ることよりも経済が優先する構造を容認してはなりません。豊洲新市場の問題は食の安全の問題であると同時に、東京都の環境行政が問われているのです。環境対策をしっかり行う姿勢と土壌汚染の継続的な検証システムを示すことで都民の不安に応えることが必要です。

次に、全国的に「はしか」が流行するなか、都内では、大学・高校生などの成人患者が多いのが今年の特徴です。この世代は、小児に比べて行動範囲が広いことから、感染拡大を招いた可能性が指摘されています。都では、小児対策は、保健所や学校などと連携し、集団発生を防ぎ、一定の効果をあげていますが、成人患者についての対策が行われていません。人口密集地域である東京は、「はしか」のみならず、今後増大すると見られる様々な感染症に対する防止策が求められます。庁内各局のみならず、地域の大学や事業所との連携を含めた患者発生時の初動体制を強化する、都独自のガイドラインをつくることを求めます。

最後に副知事人事について一言申し上げます。
今回も、知事は全く反省のないまま、マスコミへの情報を先行させました。都民の信託を受けた議会側に対しては、特に、一人会派を含めた少数会派への十分な説明責任を果たしたとは言い難く、知事にはさらなる対話型都政への姿勢を求めます。また、猪瀬氏の副知事就任については、知事は「国とけんかができる交渉力」を求めていますが、生活者ネットワークは、今の都政に最も必要なのものとして、情報公開と分権、市民との協働を大切にする国際都市東京に相応しい対応を求め、生活者ネットワークの討論を終わります。