「第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議案」に対する討論

都議会生活者ネットワーク
原田恭子

 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議案に反対する立場から討論を行います。
昨年9月の本会議で「前回の東京オリンピックから40年余りが経過し、この成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会である」として突然、表明されました。オリンピック招致については、石原知事自身が再三語られているように、オリンピックの成功をもう一度という、極めて個人的な思い入れの強いものです。表明から7ヶ月余、まだ、計画の全貌、その事業費も明らかになっていません。議会としても、なぜ、今、東京に二度目のオリンピックを招致するのかという都民への説明もまだまだ不十分です。
その上、2013年には国体が多摩地域を中心に開かれる予定となっており、東京での開催に固執することは一極集中をさらに加速することにもなります。しかも、巨大イベントを短期間に相次いで開催することは、巨額の税金を投入することにつながり、やっと改善の兆しが見えた東京都の財政にまたもや危機を招きます。大きな財政負担が将来世代への負の遺産となることは避けなければなりません。知事のいう「低成長で質のいい」成熟社会をめざすならば、持続可能な発展こそ賢明な選択で、オリンピック開催にむけた市民不在の急テンポの開発は都市像そのものをゆがめてしまいます。大規模イベントで都市再生や求心力を高めようとする考え方はもはや時代遅れの発想といわざるを得ません。
また、招致決議文にある「世界の国々が競い合う、喜びと希望に満ちたスポーツの祭典であり、世界平和を希求する人類の祭典」という位置づけには同感するものですが、東京オリンピック開催準備基金1000億円を積み立て、招致を有利にすすめようとしていること自体が、内外に東京の持つ力を誇示する手法であり、海外の国々との共存を前提とした平和や人権をベースとした人類の祭典をつくろうとする趣旨と矛盾するものと写ってしまいます。
国内では福岡市が立候補の意思を示していますが、むしろ開催したことのない国や都市にこそチャンスを与えるべきと考えます。
都議会生活者ネットワークとしては、東京でオリンピックを開催する意義を見いだすことができず、東京オリンピックの招致決議には反対します。
今なすべきことは、日本ばかりでなく、世界最大の自治体として、その公共の視点に立ち、都議会としての見識を示すべきであることを強調し、生活者ネットワ-クの討論と致します。