2021年度予算案発表にあたって(談話)
2021年1月29日
都議会生活者ネットワーク 山内れい子
本日、2021年度予算案が発表されました。
一般会計の予算規模は7兆4250億円、2020年度当初予算に比べて1.0%増としていますが、たび重なる補正予算の結果、最終補正は9兆1941億円、当初9000億円以上あった財政調整基金が一時は500憶円を割り込み、最終的には2298億円になる見込みです。
2021年度予算について知事は、税収が4000億円落ち込むことを背景に「厳しい財政環境の中にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」と位置づけ、成長し続ける都市の実現とコロナ対策、デジタル化、東京2020大会を基本として編成したとしています。編成方針で各局には10%マイナスシーリングを求めていましたが、コロナによる経済停滞が長引くなか、都債の発行を3倍近くの5876憶円と大きく膨らませて、予算規模の維持を図ったものです。しかし、都債の充当事業は限られており、都民の雇用や生活に寄与するのか、不要な公共事業を促すことにならないか危惧しています。
新型コロナウイルス感染症の猛威は未だとどまらず緊急事態宣言下にあり、収束のきざしすら見えない状況にあります。コロナ対策は2021年度も補正予算で対応するとのことですが、2020年度のコロナ対策補正予算はこれまでに14回に上り、実施した事業の総括もないまま、次々と場当たり的な措置が続きました。非常時に必要となる施策は重要ですが、事業がきちんと実施され、費用が効果的に使われているのか、チェックが必要です。オリンピック・パラリンピックの開催を前提とした当初予算になっていますが、とても開催できるような状況にはありません。
これまでのコロナ対策で、国と自治体との関係があらためて問われています。国会では現在コロナ対策のための特別措置法や感染症法の改正が議論されていますが、コロナの影響は、非正規労働者の失業やDVの増加、若者の自死など、社会的に弱い立場の人にしわ寄せが集まります。相談窓口の強化、住宅の確保、就労支援など、緊急に支援が必要です。医療や介護、教育などの従事者が実際に奮闘する現場は、自治体にあります。都は、広域自治体として医療崩壊の危機にある現場発の課題を受け止め、解決していかなければなりません。議会としても機動的な議論が求められており、通年議会が必要です。
東京都が気候危機行動宣言をし「ゼロエミッション東京戦略」を策定して1年。国もようやく2050年CO2ゼロや脱炭素に向けて舵を切り始めました。知事は27日、2030年までに温室効果ガス50%削減を表明しました。この目標は、生活者ネットワークがこれまで提案してきており、歓迎するものです。毎年のように甚大な被害をもたらしている豪雨や台風、猛暑、新たな感染症など、気候変動が原因とみられる現象を全世界でなんとしても食い止めなければなりません。都は、キャップ&トレードをはじめ先駆的な施策を実施していますが、エネルギーだけでなくプラスチック問題でも産業構造を転換するなど、取り組みをさらに加速し、実行していくことが求められています。
こうしたなかで、多くの市民が懸念していた外環道シールド工事による道路陥没事故や、羽田空港の増便とルート変更問題、東京オリンピック・パラリンピック開催やカジノ問題など市民が合意できない課題が多くあります。
確実に進む超高齢少子社会・人口減少社会に伴う諸問題にこそ取り組まなくてはなりません。家族だけで孤立せず、社会全体で支え、地域で安心して暮らせる持続可能な社会にしていく施策が重要です。
都議会生活者ネットワークは、困難な時代を切り開き、信頼を基盤に多様で寛容な社会をめざし、「いまこそ東京を生活のまちに!」するため、住まいと職、医療・介護・教育の充実を求め、生活者の視点でチェックしていきます。