2009年第3回定例会 一般質問

2009年9月15日
山内玲子

1.これからの道路づくりについて
これからの道路つくりにおける市民参加のあり方について伺います。

Q1)とかく賛否両論がある道路建設では、住民説明会は開かれても合意形成にまで至るのは難しいことが多いようです。しかし十分な市民参加でつくられた道路には市民の愛着もわくのではないでしょうか。たとえば、調布保谷線では、調布地区において市民参加で環境施設帯整備が行われ、すばらしい歩行者・自転車環境が整い、これから三鷹地区の整備に着手するとのことです。私も実際に歩いてみて、地域の方々と東京都とが、一緒にみちをつくり、守り、育てていくまちづくりの姿勢を感じました。住民参加で環境に配慮した道路整備の事例として、各地からの視察が相次いでいるとも聞いております。ここをモデルとした道づくりが広がっていくことを望みます。
そこで、東京都の道づくりの試みとして高く評価できる調布保谷線におけるこれまでの市民参加の取り組みと、今後の進め方について伺います。

A1(建設局長答弁)
調布保谷線は、多摩地域の交通の円滑化や地域の活性化のみならず、神奈川、埼玉両県と広域的な連携を強化する南北方向の骨格幹線道路である。延長14.2キロメートルのうち、7.2キロメートルで事業中である。沿道環境に配慮するため、四車線の車道の両側に10メートルの広幅員の環境施設帯を設け、幅員36メートルの道路整備を進めている。本年3月に交通開放した調布区間の環境施設帯については、都と地元市、市民から構成された協議会を設置し、沿道利用のための副道の有無、ゆとりある歩道や自転車走行空間、緑豊かな植樹帯の配置などを検討し、整備してきた。今後本格的な整備に着手する三鷹武蔵野区間においても、環境施設帯の形態について、住民との協議会を設置し、検討する予定である。
引き続き、財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、調布保谷線の早期完成をめざし、着実に整備を進めていく。

Q2)次に自転車利用の促進について伺います。ヨーロッパの諸都市では、自転車利用促進の仕組みが広がっています。こうした取り組みの結果、温室効果ガスの削減など、大きな成果を上げているとのことです。
環境省も温暖化対策として自転車利用に着目しており、札幌市と千代田区丸の内で、レンタサイクルの社会実験を始めるそうです。東京のまちなかでの自転車利用促進をさらに具体化していくことは、環境面からも効果のあることと考えますが、環境局の取り組みについて伺います。

A2(環境局長答弁)
地球温暖化対策を進めるためには、自動車に過度に依存しない交通行動への転換の推進が必要。
都は、環境に優しく、身近で便利な交通手段である自転車の利用を促進。自転車走行空間の整備、交通ルールの遵守等の取組とあわせ、地域特性に応じて、区市町村等とも連携しながら、先進的取組事例の周知や、都民への普及啓発等を展開。

Q3)これまで道路は自動車交通需要に対応することを重点として整備が進められてきました。その一方で、世界に類を見ないほど公共交通網が整備された東京では、車への依存を減らし、環境負荷を軽減させていくことが可能ではないかと考えます。また身近な生活道路では、人や自転車が安全に通行できる道づくりが必要です。
知事は、雑誌の対談で、東京の魅力を語り、「若い人の間でも車を持つことがステイタス・シンボルではなくなっている。自転車利用についてもかつて霞ヶ関周辺で車の代わりに自転車を使おうとした」と述べています。
時代を先取りし、先見的な取り組みを行った知事の感性に敬意を表した上で、改めて、環境の世紀における道路のあり方について知事の所見を伺います。

A3(知事答弁)
首都東京の骨格を形成する幹線道路の整備は、交通の流れを円滑化し、自動車から排出されるCO2の削減に大きく寄与するなど、低炭素型都市つくりの推進に、重要な役割を担っている。このため、一貫して三環状道路の必要性を訴え、国を動かし、その実現に取り組んで来た。
外環の都内区間が整備されると、CO2は年間約30万トン、浮遊粒子状物質(SPM)はペットボトル約20万本分が削減されるなど大きな効果がある。幹線道路の整備により、環境負荷の軽減はもとより、ゆとりある都市空間を創出し、街路樹などの豊かな緑や、快適な歩行者・自転車のための空間など、多様な機能を都市の中に発現させていく。
環境の世紀にあって、幹線道路のネットワークとあわせ、質の高い都市環境を形成を図り、世界の範となる環境先進都市「東京」の姿を国の内外に発信していく。

2.新型インフルエンザについて
新型インフルエンザについては、今後秋冬に向けて、季節性のインフルエンザを大きく上回る感染者が発生することが予想されます。感染拡大を防ぐ意味で、都民への感染予防の周知を行う必要があります。

Q4)すでに、学校における予防策については、新学期スタートに合わせ、児童生徒など関係者への予防策が進められていますが、高齢者や障がい者などの小規模事業所をふくむ福祉施設への対応も求められています。どのように感染予防の周知徹底を図るのかを伺います。また、在宅サービスを提供する事業所は小規模なところが多く、新型インフルエンザへの対応についても不安に感じているところが少なくありません。今後の対応を要望しておきます。

A4(福祉保健局長)
都はこれまでも、直接あるいは区市町村を通じて、感染予防などに関する情報提供を行ってきた。
本格的流行期を前に、感染予防に加え、施設において発症者が出た場合の感染拡大防止策などを徹底するため、8月から、社会福祉施設等に対する説明会を16回実施し、約3500人の参加を得ている。
今後とも、「広報東京都」や「月刊福祉保健」などの広報誌や新たに作成するDVD等も活用しながらきめ細かな情報提供を行い、周知徹底に努めていく。

Q5)都民への情報提供という意味では、一般的な予防方法や医療機関の受診の仕方について周知が行われています。また最近は重症患者の発生やワクチンの国における対応など、刻々と情報が伝えられています。
こうした情報について、情報弱者と呼ばれる障がい者の人達に対しても、きめ細かく配慮した情報提供が必要だと考えます。
また、医療機関での対応がスムーズにできないために、不安を抱えている人たちもいます。特に、聴覚障がいのある方からは、医療機関での受診の際に、医師や看護師に症状を伝えられるか、医師の指示を理解できるのかといった心配の声が聞かれます。不安を払拭するような対応が必要と思いますが、合わせて都の所見を伺います。

A5(福祉保健局長答弁)
パンフレットに視覚障がい者用の音声コードをつけたものや、知的障がい者用にルビを振ったものを関係障がい者団体をはじめ、都立施設や区市町村に配布し周知。聴覚障がい者については、保健医療情報センター(いわゆる「ひまわり」)のFAX相談を関係障がい者団体に周知。聴覚障がい者が医療機関を受診する場合に、手話通訳や要約筆記者の派遣要請があったときは、円滑に利用できるよう区市町村や関係団体に働きかけていく。
今後も、区市町村等と連携し、引き続き、適切に対応していく。

3.消費者問題について
多くの食品を海外に依存している日本では、消費者は「いつ」、「どこで」、「誰が」、「何を」、「どう作ったか」を確かめてから食品を選びたいと考えています。ところが、現在の食品表示はそれに十分応える制度にはなっていません。消費者の知る権利、選択できる権利を保障するために食品表示は基本的な情報です。

Q6)国において、2006年に原産地表示を義務化する品目数が拡大しましたが、あらゆる加工食品にも原料原産地表示を義務づけてほしいという要望が多く寄せられています。歩みの遅い国に対して、東京都では、今年の6月より、調理冷凍食品の原料原産地表示が実施されています。調理済み、冷凍食品という限られた食品が対象ですが、最大の消費地である東京都が取り組む意味は大きく、評価するものです。
現在の調理冷凍食品の原料原産地表示の実施状況をお聞かせください。

A6(福祉保健局長答弁)
制度の円滑な導入に向け、説明会の開催やパンフレットの配布など周知。
本制度は6月から本格実施されたところであり、今月中に包装への表示や、事業者のホームページなどによる情報提供の実施状況について調査を行う予定である。
なお、6月時点の調査では、本格実施以前に製造された製品が数多く流通する時期であったが、適正に情報提供されているものが7割を超えており、都の制度は直実に普及しつつある。

Q7)東京都の消費生活センターに寄せられた相談のうち、「契約・解約」に関するものは全体の7割以上、私の地元の国分寺市の消費者相談でも570件中374件と群を抜いて多くなっています。2007年、国の認定を受けた適格消費者団体が個人に代わって訴訟ができる、消費者団体訴訟制度が創設されました。年々、悪質商法の手口が巧妙になり、被害の拡大防止と差止請求を行う適格消費者団体の役割は、益々重要になってきます。しかし、弁護士や司法書士、消費生活アドバイザーなど、高い専門知識と経験を必要とする活動でありながら、極めてボランタリーな活動に頼っているのが現状です。国では、ようやく消費者庁設置法案等の附帯決議において、適格消費者団体等に対する支援のあり方について検討を行うことが盛り込まれました。
都内二つの適格消費者団体に対して、都として、積極的な支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

A7(生活文化スポーツ局長答弁)
都は、消費者団体訴訟制度連絡会を設置し、適格消費者団体等と、都内の消費者被害等について定期的に意見交換。適格消費者団体と覚書を締結し、差止請求権の行使に必要となる都・区市町村の消費生活相談情報を提供。
国に対しても、適格消費者団体が活動しやすい環境整備に努めるよう、要望。
今後とも、適格消費者団体が期待される役割を十分果たすことができるよう、支援。

Q8)昨年、東京都消費生活基本計画を11年ぶりに改定し、庁内の関係各局からなる横断的な組織をつくり、幅広い施策に取り組んでいます。深刻な消費者問題に対応するためには、一人ひとりの都民が賢い消費者として力をつけていくことが、何よりも重要であると考えます。
消費者被害を未然に防止していくには、高齢者や若者など、悪質商法に狙われやすい消費者に対する的確な情報提供が重要と考えますが、所見を伺います。

A8(生活文化スポーツ局長答弁)
悪質商法の被害を防止するためには、効果的な取り締まりとともに、都民一人一人に悪質商法に関する情報を十分に提供していくことが重要である。
行政処分を行った場合には、悪質商法の手口や事業者名を公表。
都のホームページや「東京くらしねっと」などの広報媒体を活用して、都民に注意喚起。
特に被害に遭いやすい高齢者や若者向けには、通常の消費生活相談に加えて、被害防止キャンペーンや特別相談を実施。
今後とも、消費者被害の防止に向けて、効果的な情報発信に努める。