2015年第1回定例会を終えて(談話)

2015年第1回定例会を終えて(談話)

2015年3月27日

都議会生活者ネットワーク

幹事長 西崎 光子

 

本日、第1回定例会が終わりました。都議会生活者ネットワークは、2015年度の「水道事業会計予算」と議員報酬を値上げする条例改正に反対し、議員報酬等の条例については、他会派とともに5会派で、「費用弁償」見直しの条例改正案を議員提案しました。

都議会議員には議員報酬のほかに、本会議や委員会に出席するたびに、別途「費用弁償」が支払われています。23区と島しょ選出の都議会議員に一律一日10000円、多摩選出の都議会議員には12000円が支払われており、2013年度の費用弁償総額は5200万円です。この「費用弁償」は、実際にかかる交通費よりも高額であり、税金の二重取りとも批判されてきました。2001年の「議会のあり方検討委員会」の報告書には、「今後『費用弁償のあり方』について再検討することを提案することで、全委員の意見が一致した」と書かれており、すでに問題意識が共有されています。その上、都民からも費用弁償の廃止などを求める陳情が再三出されたにもかかわらず、是正されないまま今日に至っています。

生活者ネットワークは、これまで、議会のあり方検討会や議会運営委員会の中で、会議出席に伴う「費用弁償」は廃止すべきと主張してきましたが、今回、議会改革にはより多くの会派の合意が重要であり、交通費を実費支給する条例改正案を共同提案したものです。

全国の自治体議会では、廃止や実費支給に変えているところが増えています。都議会としてこの問題を放置したままでは、有権者の理解は得られません。今こそ、この問題に取り組み、議会改革をすすめることを求めました。

 

水道事業会計予算については、今年度策定した「東京水道施設整備マスタープラン」においても過大な水需要予測に基づいて施設整備をすすめる計画です。ダウンサイジングを踏まえた施設の再構築が必要であり、八ッ場ダムをはじめとする無駄な水源開発や過剰な施設整備をすすめることになっており、反対しました。

一般会計予算は、オリンピック・パラリンピック開催を念頭においた投資的経費に傾斜した予算となっていますが、都市インフラについては、将来にわたる持続可能性という観点から、メンテナンスや延命化を優先させる必要があります。さらに、超高齢社会の波が押し寄せている都において、これから20年、30年を展望した時、「福祉先進都市」が実現できるのかどうかは最大の課題であると考えます。認知症の人が住み慣れた地域で安心して生活できる体制づくり、人生の終末期を在宅で穏やかに迎えるために在宅療養など、取り組みをすすめていくよう求めました。

また、雇用対策は、若者の非正規雇用の問題が顕著であり、今年度予算の目玉になっている「正規雇用化」施策が、若者の自立に着実につながるように、一人ひとりに継続的に支援するパーソナルサポートのしくみをつくることを求めました。

都の環境政策としては、脱原発と地球温暖化対策をすすめることが重要です。そのために、都としては省エネ技術開発の推進や自治体の再生可能エネルギー導入等の支援を拡大していくべきです。温暖化対策は待ったなしであり、長期的な高い目標を掲げエネルギーのグリーン化をすすめるとともに、2020年開催のオリンピック・パラリンピックは、CO2ゼロのカーボンニュートラル大会とするよう要望しました。

 

女性の活躍推進が言われていますが、ストーカーやDVなど性犯罪が増加し、多くの女性が被害者となっています。都は、2015年度から性犯罪被害者の安全確保のため、ホテルなどの宿泊費用の一部補助と7月には24時間対応可能なワンストップ支援体制を構築します。性犯罪は、被害者の心身に大きなダメージを与えるため、医療的支援や精神的なケアの重要性は極めて高く、性犯罪被害者が立ち直り自立できるまで、継続的に被害者に寄り添った支援を求めました。

 

人権施策推進指針がようやく見直されます。その中でも、性的指向をふくむLGBT(性的マイノリティー)の問題は、早急に取り組むべき重要な課題と考えます。自分の性への違和感に悩み苦しむLGBTの当事者は、相対的に自己肯定感が低く、自殺の比率が一般の6倍にものぼる深刻な状況であり、当事者や保護者からは、義務教育の場において、気づきや理解を深める取り組みを求められています。都教育委員会は、市民活動団体と連携し、この問題を教育課題として取り組むよう要望しました。

 

環境確保条例を改正し、子どもの声を「数値規制から、受忍限度で判断する規制」にすることで、受忍限度というあいまいな基準で判断をすることになるため、直接の窓口である区市町村が対応にさらに苦慮するのではないかと懸念しています。子どもの最善の利益の実現のために、大人たちが合意形成をできるよう、保育所を設置する事業者に対して、都として、近隣住民への説明を義務付けるなどの工夫を求めました。

 

大津市でおきた中学生のいじめ自殺問題をきっかけに、教育行政のあり方が見直されました。今回の法改正により、国は、教育委員会における責任の所在が明確化され臨機応変の対応が可能になり、いじめ問題が解決すると期待しているようですが、一方で教育現場への首長の権限が強化されることを危惧する声も聞かれます。今後、総合教育会議が設置されることになるため、徹底した情報公開を求めました。

生活者ネットワークは、かねてより教育の分権こそ必要だと考えてきましたが、学習指導要領や、教科書の検定や採択など、文科省が画一的に進めることで、学校の自主性がますます損なわれています。

学校は本来、そこで学び育つ子どもが主役となるべきです。文科省が教育委員会を通じて指導や助言という方法で学校現場への管理を強化するようなあり方ではなく、子どもと地域が学校の運営に関われるようなしくみをつくることこそ、いまの学校をめぐるさまざまな問題の解決にもっとも必要であると考えます。

 

都議会生活者ネットワークは、環境と福祉を優先した持続可能なまちづくりに向けて、生活者の声を都政に届けてまいります。皆様からのご提案をお待ちしております。