2014年第4回定例会 討論

2014年第4回定例会 討論

2014年12月25日

小松 久子

 

都議会生活者ネットワークを代表して、知事提出のすべての議案に賛成の立場から討論を行います。

  • まず、第184号議案「平成26年度一般会計補正予算(第4号)」関連について申し述べます。

女性や若者の創業支援や人材育成事業が今回の補正予算に盛り込まれました。働く意欲のある人が、その力を十分に発揮できるよう支援することは重要です。しかし、現実には正規雇用は進まず、女性の半数以上がパート・アルバイトなど非正規雇用のため、経済的自立が困難な人たちなどの問題は、一向に解決されていません。

今後は、女性も男性も、子育て・介護などを安心してともに担える社会をつくるために、ワークライフバランスの推進や男性の働き方の見直し、短時間労働の推進など、雇用、福祉、社会保障を含めた政策を進めていくことを求めます。

 

  • 次に、第233号議案「東京都地域医療介護総合確保基金条例」で基金の創設と、補正予算に基金への積み立ておよび今年度の事業化が盛り込まれました。この基金は、精神障がい者の地域移行にも使われます。

国では、長期入院精神障がい者の地域移行に向けて、精神病院の病棟の一部を居住施設に活用するという議論がされています。しかし、精神障がい当事者は、病院と同じ建物内や敷地内にある限り地域生活とは言えない、と反対しています。

今年日本が批准した障がい者の権利条約は、地域で生活する権利を明確にしています。都は国に先駆けて精神障がい者の地域移行を進めているところですが、地域で暮らすためには周辺住民の理解が欠かせません。社会復帰促進や地域生活実現のために、障がい当事者に寄り添い、地域の中で理解と協力を得て安心した生活を送れるよう、さらなる支援を求めます。

 

  • エネルギー対策について

今回知事が示した、省エネ30%再エネ20%を着実に進めていくためには、都の積極的な取り組みが必要です。例えば、これまでも都議会生活者ネットワークは、さまざまな都有施設に太陽光発電設備の設置を求めてきましたが、局ごとの予算の枠内で設置するため、小規模のものが多く、優先順位が低い状況でした。再エネ導入に特化した基金を設けるなど、さらなる取り組みを求めます。

異常気象が頻発し地球温暖化対策は緊迫度を増しており、温暖化対策にも資するエネルギー対策は待ったなしです。省エネ・再エネは、新技術の開発も含めて新たな産業による地域の雇用や経済効果も期待されます。都の率先した取り組みを要望します。

 

  • 認知症対策について

認知症は、誰にでも起こり得る身近な病気であり、軽度の人を含めると65歳以上の4人に一人とも言われていますが、認知症の人が行方不明になっている現状がことし報道され、大きな反響がありました。一昨年の高齢認知症の行方不明者は全国で1万人にものぼることがわかっています。しかし、認知症になっても、地域でサポートがあれば在宅生活は十分可能です。高齢者が日常的に利用する機会が多いコンビニなどの事業者に見守りに協力してもらうために、認知症サポーター養成講座の受講を促進するよう、業界への働きかけを要望します。さらに、認知症の人が地域で安心して生活できるよう、医療と介護の連携や地域全体で見守りのネットワークをつくるよう求めるものです。

 

  • 子どもの安全について

子どもの死亡原因で上位を占める「不慮の事故」は、年齢によってその種類は異なりますが、交通事故をはじめ、家庭内での溺死や転倒、転落、また薬品の誤飲や家庭器具の使用に伴うやけどなど、暮らしに身近なところに常に存在しています。死に至らないまでも重症を負うケースも数多く、子どもが巻き込まれる事故は日常茶飯事です。

しかし、保育所や幼稚園、学校などでおきた重大事故の情報が消費者行政の所管に共有されず、再発防止に生かされていない現状が先ごろ新聞でも報道されました。

東京都においても、福祉保健や生活文化、警察、消防などの各部局が取り組んでいますが、縦割りの弊害を取り除いて、子どもの命を最優先させるために、情報を一本化できる新たな専門部署を要望します。

 

最後に、6月議会でのセクハラやじ問題について。このたび請願・陳情が出されました。今回の請願や陳情は、これまでの動きでは、都議会として再発防止への努力や道筋が見えないことから出されたものです。都議会生活者ネットワークは、議会のあり方検討委員会を設置し、議会改革とあわせて問題を解決していくことを再三にわたって求めてきましたが、いまだに実現していません。さらに、この問題を解決する場として5年ぶりにようやく再開された「男女共同参画推進議員連盟」は、就任した会長の発言が物議をかもし、その後議員連盟も止まったままです。改めて、都議会自らが改善の行動を起こすことを提案し、討論といたします。