2014年第3回定例会討論
2014年10月3日
西崎 光子
都議会生活者ネットワークを代表して、知事提出のすべての議案に賛成の立場から討論を行います。
待機児童対策
はじめに、第151号議案「平成26年度東京都一般会計補正予算(第2号)」と第160号議案「東京都幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営の基準に関する条例」について申し上げます。
今回の補正予算は、待機児童対策を主な内容として32億円編成したものです。これまでも定員拡大を進めてきましたが、今年4月の待機児童数は8672人となっており、補正予算によるインフラ整備で3000人分の保育サービスの拡充を図るだけでは十分とは言えません。待機児童対策は喫緊の課題であり、来年度予算の編成に向けて、しっかり取り組むよう要望します。
子ども・子育て支援新制度が来年4月にスタートします。新制度施行後は、区市町村の役割がこれまで以上に大きくなりますが、財源不足が指摘されている中での見切り発車したため、現場では混乱が生じています。新制度の目的は、本来子どもの育ちと子育ての支援を最優先に考えるべきものです。都は、この混乱を招いている国に対し、きちんと責任を果たすよう求めるとともに、区市町村への財政的・人的支援を惜しむべきではありません。
都議会生活者ネットワークは、これまでも子どもが心身ともに健康に育つために、外でのびのび遊べる広々とした空間の確保を求めてきました。しかし園庭については、代替地や屋上園庭も認めざるを得ない現状の中、都有地や都立高校の校庭などの活用も含めた支援を要望します。
第165号議案「大気汚染に係る健康被害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例」
この条例改正は、200億円の財源を使い切り、国と業界が手を引くことから出されたものです。都の拠出は続けるため、患者負担は6000円を上限とし、それを超える分については都が負担することになりました。限られた財源の中で、当事者と対話しながら進めていくことが重要です。
もとより、大気汚染の責任は事業者とそれを規制する国にあります。東京の大気汚染は改善されたとはいえ、自動車の排気ガスによる汚染も依然として解決されておらず、国と業界に対して、今後も拠出を強く求めるよう要望します。
第168号議案「東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例」
今回の改正は、危険ドラッグの販売に対する監視強化を図るものです。最近、薬物使用者が増加・拡大し、危険ドラッグは手を出しやすい状況にあることから、若い人に急速に広がっています。若者や子どもに薬物の危険性を教える予防教育とともに、「わかっていてもやめられない」という薬物依存症の治療・再乱用防止プログラムが重要です。当事者および家族の相談機能も含めて、今後教育や医療・保健の取り組みを拡大するよう要望します。
精神障がい者の地域移行
国では、長期入院精神障害者の地域移行に向けて、精神病院の病棟の一部を居住施設に活用するという議論がされています。しかし、精神障がい当事者からは、病院と同じ建物内や敷地内にある限り、精神障がい者の自由意思は担保されず、入院中と何ら変わらず地域生活とは言えない生活を強要される懸念があると反対する声があがっています。
今年日本が批准した障がい者の権利条約は、地域で生活する権利を明確にしています。都は国に先駆けて精神障がい者の地域移行を進めており、障がい当事者に寄り添い、地域の中で安心した生活を送れるよう、さらなる支援を求めます。
男女平等
今国会では、企業に女性管理職登用の計画づくりを義務付ける女性活躍推進法案など3案が審議される見込みになっています。しかし、この動きに対し、経済政策としての女性活躍が先行し、社会政策の視点に欠けるという批判の声も出ています。現実には、子育てや介護に追われ、仕事の両立が困難な状況を抱えている人達や非正規雇用のため、経済的自立が困難なシングルーマザーの人達などの問題は解決されていません。
東京という地域社会が希薄な場において、孤立し助けを求められない妊娠・出産・子育てをする女性についての施策の充実、さらに、男性の長時間労働など働き方の見直しを進めていくことが必要です。
6月議会では、女性都議会議員に対するセクハラやじ問題の波紋が広がりました。しかし、問題の解決には至っていません。
東京が今後も活力ある都市として発展していくためには、あらゆる場面で、男女を問わず、ひとりひとりに、その個性と能力を十分に発揮できる機会が確保されていることが重要であり、東京の未来を語る都議会こそ、東京都男女平等参画条例を遵守し、女性も男性もお互いの人権を尊重できる社会の形成に向けて、牽引していく役割が求められます。
長期ビジョン
舛添知事は、初めての長期ビジョン策定に着手し、このたび中間報告を公表しました。都議会生活者ネットワークは、これからの東京には、自然や環境への配慮と、人口減少や超高齢社会への対応が重要であると考えます。将来への希望を軸に、生活し続けられるような東京の姿を展望し、環境と福祉を優先した持続可能なまちづくりを求め、討論といたします。
以上