2014年第2回都議会定例会一般質問

2014年第2回都議会定例会一般質問

2014618

小松 久子

1、子ども政策について

 近年、「いじめ」「虐待」「犯罪被害」など、子どもを取り巻く痛ましい事件があとを断ちません。1989年の国連総会で採択された「子どもの権利条約」は、世界中の子どもの人権が尊重され、子どもが主体的にいきいきと暮らせるよう、子どもの権利を保障する国際規約です。日本では、その5年後に批准されました。今年は、批准20周年にあたりますが、子どもを取り巻く環境は、厳しい状況であり、条約の理念は生かされていません。子どもの権利条約の趣旨や理念を踏まえ、子ども一人ひとりが大切にされる社会の実現にむけて取り組みを進めていくことが必要だと考えますが、知事の所見を伺います。・・Q1

A1:(知事)すべての子どもは、日本の未来であり、「宝」である。そのすこやかな育ちを支えることは、行政はもとより社会全体の責任である。子どもは、生まれ育つ環境を自ら選択することはできない。だからこそ、与えられた環境によって、将来が決定されることなく、すべての子どもが望む進路を主体的に選択できる環境を整えていくことが必要である。

都は、こうした考えに立って次世代育成支援東京都行動計画を定め、これまで、様々な施策を展開してきた。今後とも、東京の将来を担う子供たちが個性や創造力を伸ばし、次代の後継者として健やかに成長する要、行政、地域、民間の力を合わせ、社会全体で子育てを支援する取り組みを進めていく。

 

 子どもの権利を擁護するための第3者機関として、20044月から実施された子どもの権利擁護事業は、子どもからの電話相談とメッセージダイヤル、専門員による事例の調査・調整活動という3つの活動を行ってきました。学校の先生や親にも相談できないことを子ども自らSOSを発信できるしくみとして、高く評価するものです。そこで、今後この事業を強化するとともに、教育庁との連携が必要と考えますが、都の見解を伺います。・・・・・・・・・Q2                               

A2:(福祉保健局長)都は、平成16年度からこの事業を開始し、子どもや親からの悩みや訴えを、相談員がフリーダイヤルで直接受けるとともに、深刻な相談には、弁護士などの専門員が学校や関係機関を訪問して調査を行うなど、教育部門とも連携しながら、迅速かつ適切な支援を行っている。また、教育委員会や学校等の協力を得て、都内の商学粘性・中学1年生・高校1年制の全員を対象に、電話相談PR用カードを毎年配布している。今後とも、教育部門などの関係機関と連携しながら、子どもの権利擁護専門相談事業を実施していく。

 

 この度「いじめ総合対策」や「いじめ防止推進条例」が示されました。しかし、いじめは見えにくく、学校での発見はなかなかむずかしい状況です。道徳教育や生活指導などでの対応では、いじめの問題を解決することは困難であり、子ども自身の自己救済力を育成することが大切です。そのためには、子どもを必ず受け止め、救済するセーフティネットのしくみが担保されていなければなりません。子どもがアクセスしやすく、子どもの視点に立ち、相談・調査・調停の機能と権限を持った公的な機関が必要です。

学校外で、児童、生徒がいじめについて第3者的機関などに相談できるようにすべきと考えますが、教育長の見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・Q3

A3:(教育長)いじめの背景や原因は、複雑・多様化していることから、学校だけでなく、専門家等の外部人材の協力を得て解決を図ることが重要。都教育委員会では、24時間対応のいじめ相談ホットラインを開設するとともに、子ども家庭総合相談センターにおける教育相談センターで、電話相談や来所相談。東京都児童相談センターや警視庁少年相談室など、さまざまな関係機関においてもいじめ問題の相談窓口を設置。これら相談機関の連絡会を開催するとともに、相談窓口の電話番号を記載した紹介カードを配布、子どもの声を受け止め、いじめの早期発見・早期対応ができる体制を充実。

 

 2、再生可能エネルギー創出について

 舛添知事が、所信表明で「再生可能エネルギーの利用割合20%」を実現していくことを改めて述べたことに、大いに期待しています。再生可能エネルギーをつくり出す取り組みについては、都内でも、多摩地域などにおいて、市民が行政と連携して取り組むコミュニティ電力が注目されており、地域に根差した新たな産業とも呼べる、市民発のソーシャルビジネスが活発に動き出しています。「エネルギーの地産地消」が「新たな多摩のビジョン」にも示され、再生可能エネルギーは、太陽光だけでなく、森林を生かしたバイオマスや河川・用水路を生かした小水力発電も、エネルギーを作り出す大きな可能性があると考えます。

このため、区市町村がNPOなど市民団体と取り組む再生可能エネルギーの普及拡大に向けた事業を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。・・・・Q4

A4:(環境局長)再生可能エネルギーのさらなる普及拡大には、区市町村や市民団体などが地域の特性に応じて取り組む事業も重要である。都は、現在、区市町村が市民団体等と取り組む太陽エネルギーや木質バイオマスなど再生可能エネルギーの利用拡大に対して財政面などで支援を行っている。

今月3日には、再生可能エネルギーの利用割合20%を目指し「東京都再生可能エネルギー拡大検討会」を立ち上げ、都内外での導入拡大に向け、官民が連携して取組を進めていく。

 3、券売機の障がい者用割引ボタンについて

 今年、日本は障がい者権利条約を批准し、障がい者の社会参加がますます促進することが期待されています。

 ところが、先日、夫が突然車いす生活になった女性から、外出で電車利用のとき、子ども用ボタンで切符を買うことに驚いたという話を聞きました。障がい者が介護者同伴で公共交通を利用する場合に、運賃が半額になる制度は、窓口で障がい者手帳を提示して切符を購入することになっています。その後、自動券売機で購入した子ども用切符でも代用できるようになりましたが、大人の障がい者が子どものボタンしか選択できないことは問題です。

関西では私鉄各社で券売機に障がい者割引ボタンを設置しており、東京でもりんかい線に設置されています。福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルの2000年版には、誘導基準に「券売機に障害者割引ボタンを設置する」とありました。都は、2020年オリンピック・パラリンピック開催都市として、ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりを充実させていく必要があります。

障がい者割引ボタンについては、国のバリアフリー法ガイドラインにも書かれており、現在見直しがされている福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに入れるべきと考えますが、見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q5

A5:(福祉保健局長)券売機で購入できる割引乗車券は、相互乗り入れをしている複数の路線を利用する場合は、乗り換えの都度、購入が必要。相互乗り入れをしている複数の路線利用を含めて一度の手続きで済むICカードによる利用や、手帳確認時に改札窓口で割引乗車券を購入するなどの方法。駅券売機への障がい者割引ボタンの設置を、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで位置づけることは考えていない。

 

4、観光振興について

 昨年、日本を訪れた外国人旅行者は、1000万人を初めて突破し、言葉や文化の違いを踏まえた受け入れ環境の整備が必要ではないかと思います。

 例えばトイレの使い方ですが、東京は、公衆トイレや、店舗で気軽に貸してくれるトイレが街中に点在し、しかも清潔で安全な都市として、外国人旅行者に大人気だといわれていますが、トイレの使い勝手がわからずに困った顔で出てくる外国人旅行者に出くわすこともあります。オリンピック・パラリンピックを契機として、だれもが気持ちよく使えるトイレについて、一定の条件の下、「おもてなしトイレ」として認定することで、東京の魅力にさらに磨きをかけることができると考えます。

 また、多くの外国人旅行者が日本に来て困ることは、外国語の案内表示の不足や内容の不統一により、目的地までのルートがわかりづらいことだと聞いています。

今後、観光都市東京をさらに魅力あるものにするためには、こうした旅行者が戸惑うことなくまち歩きができるよう、外国語の案内表示の充実や統一を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q6

A6:(産業労働局長答弁)東京を訪れる外国人旅行者が、迷うことなく安心してまち歩きができるよう、表示・標識等の多言語対応を進めることは重要。このため都は、「案内サイン標準化指針」を策定し、区市町村や鉄道事業者に対して普及啓発を実施。

今年度は、表示・標識等の統一性や視認性の向上を図るため、指針の改定を実施。今後とも、国や民間団体などとも連携し、表示・標識等などの多言語表記の充実とわかりやすさの向上を図る。

 

5、大規模盛土造成地マップについて

 多摩地域では、グラウンド整備などのために谷を埋め立てる計画が出ており、盛土の安全性に対する市民からの相談が寄せられています。近年増えているゲリラ豪雨や地震によって、自宅が災害に遭うのではないかと心配する市民は多く、自分が住んでいる土地の履歴を知ることは重要です。都は、大規模盛土造成地マップを公表しましたが、土砂災害警戒区域の指定や液状化予測図と重ねて総合的な防災地図となることを期待しています。

 災害防止に関するさまざまな情報が出ていますが、今回大規模盛土造成地マップを公表した目的について伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q7

A7:(都技監) 国は、総合的な防災対策の一環として、3000㎡以上の広さの盛土による造成地について、地図の作成を地方自治体に呼びかけ。都では、これを受け、都内を対象とした地図を作成し、本年3月末に公表。このマップにより、宅地所有者等に身近な大規模盛土造成地の存在を知らせ、地域の防災意識を高めてもらうことを目的にしている。

 

 知事の認可・許可を受けた大規模盛土造成地は、造成工事の際に「所定の安全性」が確保されているとのことです。この「所定の安全性の確保」とはどういうことか、伺います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Q8

A8:(都技監) 知事等の認可や許可を受けている大規模盛土造成地では、都市計画法や宅地造成等規制法などに定められた技術的基準に基づいて、審査や検査を行っている。こうしたことから、「所定の安全性が確保されている」としている。

 

また、マップの公表後の都民の反応について伺います。・・・・・・・・ Q9 

A9:(都技監) 公表したところ、多くの方から問い合わせをいただいている。具体的には、マップの見方や内容に関するお尋ねのほか、擁壁の変形やひび割れに関する相談もあった。問合せに対し、都はパンフレットを活用する等きめ細やかな対応をしてきている。引き続き、防災に対する意識啓発に努めていく。

 

6、都市計画の提案制度について

 外環道は20123月、地下化で工事が始まりましたが、地上部には「外環の2」が都市計画決定されたまま残り、地域を分断する道路整備が進むことに異議を唱える都民がいることを忘れるわけにはいきません。

 都市計画の変更については、市民側から提案できる制度が都市計画法にあり、都はその手続きを定め、広く広報しています。この制度を使って、杉並区内の地権者の8割近くにおよぶ116人の賛同署名をもって、外環地上部街路「外環の2」の一部分の廃止を求める都市計画提案書を提出しました。201112月から、提案書に関する担当課からの指摘に対しては、再三にわたり折衝し、求められた書類を整えて提出しましたが、いまだに正式な受理がされていません。この間に「外環の2」建設事業はすでに一部着工し、廃止を求める市民の提案は放置状態となっています。

都は、このような都民の提案に対して、どのような対応をとってきたのか、伺います。Q10                         

A10(都技監) 都市計画の提案については、都市計画の内容、理由書、区域を明らかにする図面、都市の環境や機能が確保できることを示す資料等の提出を求めている。平成238月に相談があり、その後打ち合わせを重ねてきた。本年4月、提案者より補足説明資料が提出された。現在、この提案が要件を満たしているか確認している。

以上