2011年都議会第4回定例会 討論

2011年12月15日

都議会生活者ネットワーク・みらい

西崎光子

 私は、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表し、第181号議案に反対、その他の知事提出の議案に賛成の立場から討論します。

 まずはじめに、第181号議案 環状2号線隅田川橋りょう鋼けた制作・仮設工事の請負契約について意見を述べます。

 この工事は、勝どき5丁目地内から築地5丁目地区にかかる橋梁工事であり、まさに、2号線の道路整備により築地市場の敷地を分断するものです。

 築地市場の移転問題においては、豊洲の土壌汚染問題も解決しておらず、震災による液状化対策も必要となっています。市場関係者との合意も十分に得られていない状況であり、都議会生活者ネットワーク・みらいは、豊洲への移転に反対してきました。

 また、環状2号線に関連して、着工予定の架設道路の整備によって、市場業者の営業に支障がでることがわかっていながら解決策が図られていない現状の中で、工事を進めることは問題です。よって、本案件に反対します。

  次に、第162号議案「東京都児童会館条例を廃止する条例」に関連して意見を申し上げます。

 東京都児童会館は、都内最大の児童館として、1964年開設以来、多くの子どもや子育て中の家族に親しまれてきましたが、47年を経過し老朽化が進んだことと合わせ、身近な地域に600館を超える児童館が整備されたことから、一定の役割を果たしたものと理解します。

  今後は都として、遊びに関する情報や人材育成などによって、区市町村の地域児童館を支援する役割を果たしていくことが求められます。

 一方、新しくできる「子ども家庭総合センター」には、現在の福祉保健局の児童相談センター、教育庁の教育相談センター、警視庁の新宿少年センター、それぞれが持つ相談機能が集約されます。様々な機関が専門性を活かしながら連携・協力することは重要なことですが、複雑な問題を抱えて悩んでいる子どもやその家族にとっては、当事者に寄り添う視点が大切であり、特に子どもの権利擁護の視点を持って相談に当たっていただきたいと思います。

  児童相談所の中に置かれた子どもの権利擁護専門相談事業は、子ども自身からの相談件数も多く、困難な事例には弁護士が調整に当たるなどで成果を上げており、さらなる事業の拡充を要望します。

  東日本大震災から9か月が経ちました。東京都は「東日本大震災における東京都の対応と教訓」をまとめ、「東京都防災対応指針」を発表しました。生活者ネットワーク・みらいはこれまで防災対策に女性の視点が必要なことを繰り返し提案してきました。

  一方、今回の震災では、多くの子どもが親を失い、家を失い、避難生活を続け、大きなストレスを抱えています。こうした子どもたちの現状をしっかりと受け止め、防災対策の見直しに子どもの視点を盛り込むことを新たに提案しました。今回の指針を見ても、残念ながら子どもの視点はありません。

  東日本大震災での子どもの被災状況については、文部科学省は学校での死亡数を発表、また、厚生労働省が保護者の死亡によってわかった孤児や遺児の数を発表しましたが、保育所や家庭で暮らしていた子どもたちの死亡数は公表されていません。

  子どもの被害という観点で考えると、死亡数だけの問題ではありません。本人の心身の健康に加えて、住宅の倒壊、保護者や家族のけがや病気、失業、離散など暮らしの変化の情報も必要になります。こうした基礎資料がないことから、子どもが置かれた状況にふさわしい支援や取り組みが充分になされているとは言い難い状況です。

  子どもには、学校や家庭だけでなく、遊び場や安心できる居場所の確保、相談したり話したりできる友人やおとなの存在など、子どもの生活全体が必要です。子どもへの支援は、生活全般への目配りが欠かせません。

 また、おとなの生活の復旧・復興が優先され、それが実現できれば子どもたちの暮らしが元通りになると思われており、そこでは、子どもはもっぱら救済・保護の対象となっています。

  福島県相馬市では、「ふるさと相馬子ども復興会議」が設立され、子どもたちの復興への意見を出す取り組みが展開されています。多くの子どもたちが、自分たちも地域の一員として、復興に関与したいと考えており、こうした子どもたちの力を引き出すしくみが必要なのです。

 地域防災計画の見直しにあたっては、子ども自身の意見や子どもにかかわる活動をしている人たちの意見をぜひ取り入れていただきたいと強く要望します。

  次に、放射能の問題についてひとこと申し上げます。

  子どもへの放射能の影響を心配する保護者の切実な声に対して、都は測定場所や測定器具を増やし、市販の食品の抜き取り検査を行うなど、対応に追われていますが、公が提供する給食の安全にはさらなる配慮が求められます。中でも給食用牛乳については、メーカーが行う放射能測定の結果の公表を都から求めていますが、その実現に向けて努力していただくことを要望します。

  最後に、がれきの受け入れについて述べます。

  震災がれきの受け入れについては、市民の間からさまざまな不安の声が上がっています。放射能汚染の心配については、受け入れの事前事後に入念な計測を行っていますが、アスベストなどの有害物質の混入も心配されているところです。不安を払しょくするためには、徹底した情報公開が必要です。被災地では手選別でアスベスト含有のおそれのあるスレートやコンクリートを取り除いているという報告ですが、都内で処理する際には、従事者や近隣への安全対策を講じるよう要望します。

  また、地域住民に対する説明会も一度だけの開催でなく、充分理解が得られるように、丁寧な説明を行っていく必要があります。特にスーパーエコタウンは環境負荷が集中するため配慮が必要であり、科学的実証データを開示し、市民の不安に応えるよう求め、都議会生活者ネットワーク・みらいの討論といたします。

以上