2008年第2回定例会 討論

都議会生活者ネットワーク
西崎光子

 都議会・生活者ネットワークを代表して、今定例会に上程された知事提案の議案、及び、議員提出議案に賛成の立場から討論を行ないます。

環境確保条例の改正は、国に先駆けて、大規模事業者に、CO2の削減を義務付けたことが、大きな特徴です。対象の大規模事業者は、都内の事業所の排出するCO2の、約4割を占めており、この効果に期待するものです。また、中小企業も参加を可能にした排出量取引は、あくまでも削減努力を補完するものとして担保されるべきで、今後、削減義務率の設定や、排出量取引の具体化にあたって、事業者との十分な協議が必要です。
一方、自然エネルギーの推進には、経済的誘導こそ、喫緊の課題です。国はようやく、太陽光パネル設置への、補助事業の復活に動きだしましたが、本気で自然エネルギーを推進するのであれば、ドイツが成功したように、できた電力を買い取るしくみが必要です。
まずは、電力会社の買い取り枠を広げ、固定価格での買い取りを義務付けるなどの早急な取組を、国に求めることを要望します。

今定例会に、教育長の任期満了に伴う人事案が提案されました。あふれる情報の中で、突然起こる不可解な事件、大規模な災害、広がる貧困など、不安定な社会の中で、子どもは育っています。今、教育の持つ役割は、大変重要です。
今回発表された教育ビジョンにも、子ども自身の育つ力を引き出し、自己肯定感がもてるようにと、新たな観点が盛り込まれました。このような重要な課題に取り組むためにも、柔軟で、重層的な対応が求められますが、現在の都の教育行政は、職員会議のあり方まで指導していることに象徴されるように、管理の色あいが強く、硬直化していると思われます。教育の現場こそ様々な価値観が認められ、自由で闊達な意見交換ができる場であるべきです。子育て中の親や、女性など、世代のバランスの取れた構成で、さまざまな事態に対応できる教育委員会となるよう、強く要望します。

多種・多様な動植物が生息している高尾山に、圏央道のトンネル工事が、進行中ですが、御主殿の滝涸れ、オオタカの生息や景観への影響が懸念される中、今年3月にはトンネル工事現場が崩落しました。石原知事は20日の記者会見で「山損なわぬ配慮必要」とコメントしています。都は、環境保全のための可能な限りの対策を講じるべきであり、知事はまず、この現場に足を運び、現状を間近に見るべきだと考えます。都民の宝ものである高尾山の自然を守るために、早急に、最善の方策を考え行動することを要請します。

岩手・宮城内陸地震から今日で11日が経過し、行方不明の10人の方々は懸命の捜索にも関わらず、まだ見つかっていません。一刻も早く、家族の元に帰ることを願うものです。今回の内陸地震では、山間部の大規模な地すべりや、崩落の様子が、生々しく報道されました。
生活者ネットワークは、以前から、都内の地下壕48箇所の崩落対策や、斜面地マンションの危険性を、指摘してきました。都は19日、基礎調査を元に、大地震時に、盛り土造成地での地すべり崩落の可能性を明らかにする「宅地ハザードマップ」作成にむけて、市区町村との連絡調整会議を、設置しました。やっと地すべり対策が具体化したことを評価し、今後市区町村との連携で対策を進めることを求めます。

最後に、築地市場の豊洲新市場予定地への移転問題についてですが、生活者ネットワークは、市場での徹底的な衛生管理だけでなく、CO2削減対策や環境対策を求めるためにも、狭あいな築地での対策には、限界があることから、移転はやむなしという立場できましたが、移転先の新市場予定地の、予想以上に深刻な汚染状況が判明した今、再考せざるを得ません。
専門家会議では、費用のことを考えなければ、徹底的な安全対策は可能としていますが、費用対効果等から、改良工事の現実性について多くの疑問が残ります。今定例会では、すべて、7月の専門家会議での提案を待ってからという答弁でしたが、専門家会議での提案は、あくまでも都が委嘱した方々による科学的知見です。都民の納得を得るためには、専門家会議での情報を公開し、より幅の広い見解を持つ専門家を交えたシンポジウム等を、開催すべきです。
1999年、現在地での再整備を断念し、移転へ方向転換した時、豊洲新市場予定地の他、晴海地区、有明北、中央防波堤内側等が候補地となりました。豊洲に決定した理由のひとつに、40ヘクタールというまとまった敷地面積の広さがあげられています。敷地面積23ヘクタールの築地市場と比べれば、確かに魅力的な広さです。
しかし、市場の取扱量は、いまや約6割となり、さらにインターネットの普及で市場外流通が増えるなど、市場を取り巻く現状も急激に変化しています。今後、人口が減少していく時代に、40ヘクタールの広さが必要なのか、再検討すべきです。生活者ネットワークとしては、築地市場にも近く、最低でも27ヘクタールを確保できる晴海を移転先にしては、と考えます。
現段階で、築地での再整備、豊洲予定地への移転、晴海等の別の候補地、と3つの選択肢があるとしても、築地は、オリンピックのメディアセンター予定地であり、晴海は、これまた、メインスタジアムの予定地ということになります。豊洲の新市場予定地への移転を強行する場合でも、徹底的な土壌対策を行なうには時間がかかり、オリンピック招致計画に不安が出てきます。ここにも行き当たりばったりの都政の姿が垣間見えます。
生活者ネットワークは、食品を扱う市場の安定的、かつ安全な維持管理がもっとも優先されるべきだと考えます。まず、築地市場の将来を定め、その上でその他の問題を解決する立場に、都政が立つことを強く求め、生活者ネットワークの討論とします。

以上