2007年第4回定例会 討論

2007年12月19日
西崎光子

私は都議会生活者ネットワークを代表して、知事提出の全議案に賛成、議員提出議案第3号に反対、の立場から討論を行ないます。

まず、はじめに、政務調査費について、申し上げます。
都議会の政務調査費は全国で最高額の月額60万円です。領収書添付が義務付けられていないため、第2の報酬といわれる政務調査費の透明化は、かねてよりの課題でした。
生活者ネットワークは、議会として納税者である都民に対する説明責任を果たすべきであり、一貫して領収書添付の義務づけを主張してきました。しかしながら、この問題は全会派が合意して取り組まない限り、実現できません。
2005年の都議会議員選挙前に有権者を対象とした新聞社の調査では「領収書を添付すべき」が87.5%に、また、候補者アンケートでは、当選した都議の6割を占める75人が「領収書添付をすべき」と回答したにもかかわらず、その後の議会運営委員会では、公開に慎重な3会派と、自主公開した会派の間で、膠着状態が続いていました。
生活者ネットワークは、ようやくスタートする検討会設置を評価するとともに、政務調査費だけではない、海外視察のあり方等、時代の要請をうけた議会改革にも踏み込む議論をすべきだと考えます。

次に、低所得者生活安定化プログラム~緊急総合対策3ヵ年事業について、一言申し上げます。
低所得者に対するセーフティネットの機能の必要性を認識しての政策と考えますが、まだまだその場しのぎの感がぬぐえません。
このプランでは若者、母子家庭、中高年、住居不安定就労者などの項目をかかげ、安定した生活の確保に向けた就労支援が中心となっています。
しかし、貧困は様々な事件に象徴されるように深刻な段階にきています。所得の格差が教育の格差を生み出し、差別化が促進されている現実を直視しなければなりません。
この貧困を断ち切るためには貧困や家庭の不和が原因で子どもへの教育の差が生じないよう、最大限の努力が必要です。意欲を持つ子どもへの救済策のさらなる充実が求められます。
また、現在進行しているこの対策で共通でかつ重要な対策は住宅政策と考えます。
今回の低所得者対策では、住居を取得するための情報提供、立ち上がりの資金援助に留まり、長期的な住宅支援の施策はありません。低廉な家賃の住まいの保障は基本的人権の保障につながります。住まいの確保こそ暮らしを安定させる基本であると再度申し上げます。

最後に、法人事業税3,000億円の移譲合意について、一言申し上げます。
石原知事と福田首相のトップ会談で東京都の法人事業税約3,000億円を国に差し出すことを決めました。
国の法人事業税の再配分の動きに対して、石原知事をはじめとして4都府県の知事は、合同で反対の緊急アピールを行い、7日の記者会見でも「地方分権に逆行するものだ。筋が通らないことがまかり通るのか」と対決姿勢をあらわにしてきました。
しかし、石原知事は、その舌の根の乾かないうちに、オリンピック招致への協力などを見返りに、自治の本筋を放り出してしまいました。こうした原則なき対応が許されてはなりません。
確かに地方との格差は解消されなければならない課題ではありますが、地方税をスライドすることでの格差是正は、根本的な解決にならないことも、石原知事は十分ご存知のことです。
今、国においては、社会保険庁のずさんな年金管理や、防衛省の無駄遣いなどが次々に明らかになる一方で、薬害被害等については責任を放棄し、国民の怒りを買っています。財源確保のためには、国はまず公務員の削減や給与引き下げなど、自ら身を切る覚悟で歳出削減を行なうべきであり、その上で、税のあり方についても抜本的な改革案を示して、地方に税財源の大幅移譲をおこない、地方の努力と創意工夫を促すべきです。
生活者ネットワークは、国策の失政を放置したまま、それを糊塗することに、最大の自治体たる都が加担してはならないと考えます。
法人事業税3,000億円の移譲を決定したことは、自治の本筋を外れ、地方分権に逆行するものであり、1日も早い抜本的な税制改革を求めるよう要望します。
またこの減収により、都民生活への影響は最小限にしなくてはなりません。都は、1,200万人の都民と、300万人の通勤通学者などの昼間都民の、生活要求に応える施策展開が求められていることを充分に認識し、今、地球的課題である環境対策や多様な生き方を保障する福祉・就労のあり方、そして次世代への投資としての教育に予算を優先的に振り向けるべきです。貧困こそ政治的、社会的に解決されなくてはならないことであると申し上げ、生活者ネットワークの討論といたします。