2022年第4回定例会を終えて(談話)

2022年第4回定例会を終えて(談話)

2022年12月15日

  都議会生活者ネットワーク  岩永 やす代

 本日第4回定例会が閉会しました。

  • 個人情報の保護に関する法律施行条例について

 政府は、自治体に対して個人情報保護法を施行するための条例を制定するよう求めました。2021年制定した個人情報保護法は、デジタル関連一括法の一部であり、全国一律ルールの下でデジタル化を進め、個人情報を官民で利活用しようとしています。デジタル技術を使うことで利便性が増すと喧伝していますが、個人監視や民間利用による漏洩などの懸念も指摘されています。

 これまで、個人情報保護のしくみは、情報公開とともに、法整備を進めようとしなかった国に頼らず、自治体が住民の利益を最優先にしてつくり上げてきたものです。これに対して、こと細かに規定を決め条例による独自部分を排する国政府のやり方に、全国の自治体が反発やいらだち、困惑を示しています。

 この間の審議会などの議論を見ると、今回の条例は、都としての反発をあきらめたように、国の言うがままに定めたものであり、懸念の払しょくには遠く、反対しました。

  • さらなる生活困窮者対策を

 今回出された12月補正予算では、ロシア・ウクライナ情勢や円安による都民生活への影響をやわらげるため、低所得世帯への食料品支援などが盛り込まれましたが、コロナ感染拡大の第8波が懸念される中で、生活困窮者へのさらなる支援が必要です。

 12月2日に都内で生活困窮者の支援を行う14団体が年末年始などにおける困窮者対策の要望を出しました。年末年始に住居を喪失した人へのビジネスホテルの確保、各市区で生活保護申請や相談を受けられる窓口開設など、寒さが厳しくなる時期に物価高騰も重なって命にかかわる深刻な問題であり、早急な対応を求めました。

 さらには年末年始だけでなくNPOなどと連携し、都営住宅の利用も含めて困窮者の住居を確保し生活を支援すべきです。

  • 環境確保条例の改正について

 地球規模で喫緊の課題である気候危機対策として、東京都は今年度爆発的な勢いで予算を重点化し、HTTを進めています。近年多発する大型台風や洪水の被害は著しく、温暖化対策の必要性は言うまでもありません。

 11月に開催されたCOP27では、被害が顕著な途上国を支援する基金設立は合意しましたが、1.5℃目標に向けた排出削減の強化には至りませんでした。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を理由にして、あろうことか、日本政府は原発の再稼働ばかりか運転期間延長や新設もすると大きく方向を変えています。国民議論を置き去りにして福島原発事故を忘れたかのような方針転換は、許されるものではありません。ウクライナでは攻撃対象となり、安全保障の面からはむしろ危険です。国内で調達できる再生可能エネルギーは、円安にも国際情勢にも強く、再エネへのエネルギーシフトこそが未来への正しい選択と確信しています。

 住宅への太陽光発電義務化を中心とする今回の条例改正は、全国から注目されています。都が先鞭をつけることで、その影響は各地へ、そしてなかなか腰を上げない国へも届くものと考えます。パネル生産で懸念される中国の人権問題についてはきちんとした対処を求めます。

  • 2020東京大会の徹底検証を

 東京オリンピック・パラリンピックが終わって1年、不祥事が噴出しています。組織委員会をめぐる受託収賄容疑が何件も発覚したのに続き、談合事件が明るみに出て捜査が始まっています。都は調査チームを立ち上げましたが、調査対象は談合だけであり、副知事をトップとする内部チームではどこまで解明できるのか疑問です。オリンピック招致に関わる贈賄疑惑も解明されたとは言えず、組織委員会が解散した今も問題はそのままです。外部による第三者委員会をつくり、談合問題に限らず徹底した解明をすべきです。

 そして、この大会を検証するためには文書の保存が欠かせません。都議会では今大会に関する文書を保管・承継するための条例を制定しました。最近重要裁判の書類廃棄が問題になりましたが、政策企画局にある清算法人が保有する文書を廃棄させてはなりません。

 生活者ネットワークは、商業主義で金まみれのオリンピックの開催に反対してきました。現在開催中のサッカーワールドカップさえ汚職事件が問題になっています。巨額のマネーが動くスポーツイベントを開催するのであれば、情報公開を進め透明性を確保するルールの確立が必要です。

  • 人権プラザの企画展における映像作品上映中止について

 人権プラザで開催した企画展で、関東大震災での朝鮮人虐殺に触れた映像について、人権部が上映を認めない決定をしました。人権部が人権プラザを運営する人権啓発センターに宛ててメールを送信、都知事が朝鮮人追悼式典に追悼文を出していないことに端を発して、虐殺を否定するようなコメントを載せたことが大きな問題です。

 人権部は、東京都の人権施策を担当する要であり、あらゆる差別を根絶するために何よりも人権を優先すべきです。そのような部署であるにもかかわらず人権意識が足りないと言わざるを得ないことは、非常に残念です。今や人権問題は世界共通の課題です。オリンピックやサッカーワールドカップ関連でも大きく取り上げられ、各国の対応が問われています。肝に銘じていただきたいと思います。

 都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて、多様な人が暮らす東京を生活のまちにするため取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。