2017年度予算特別委員会 討論
2017年3月28日
西崎 光子
都議会生活者ネットワークを代表して、予算特別委員会に付託された「東京都水道事業会計予算」に反対、その他の知事提案のすべての予算原案に賛成の立場から討論を行います。
小池知事が編成した初めての予算案は、先行き不透明な経済状況で企業収益の減少や長引くゼロ・マイナス金利の影響を受け、都税収入は6年ぶりに減少、5兆911億円を見込んでいます。必要な投資と無駄の排除によって、一般会計の予算規模を、0.8%減の6兆9540億円とし、メリハリを利かせた予算としています。
「東京大改革」を掲げる知事は、予算編成プロセスについても見直し、情報公開や予算編成過程の見える化を進めました。今回の予算案には、子どもへの教育予算の増額、女性の再就職や起業への支援など、生活者ネットワークがこれまで要望してきたものが盛り込まれました。
- はじめに豊洲市場移転問題について、ひと言申し述べます。
この間の百条委員会で明らかになったのは、石原元知事の「部下に一任」という発言に現れる「濱渦副知事への丸投げ」という「無責任」体制です。職員全体の士気の低下状態を生み、都政のゆがみをつくりだしました。石原知事がもたらした歴史的な都政の停滞への責任は、重大だと考えます。
そして、東京ガスとの不透明な「水面下」の交渉の結果、「護岸工事費の全額負担」やさらには、「瑕疵担保責任の放棄」という、東京ガスに対する法外な優遇策を取り、「豊洲への移転」を都が強引に進めたことです。土壌汚染対策をないがしろにし、食や環境の安全より、移転が優先であったという、当時の都の認識は本末転倒であり、環境汚染や「盛土」問題に現れるように、暗黙の「土壌汚染隠し」という、都政の闇を作り出したのではないでしょうか。
先日報告されたモニタリング再調査で、環境基準の100倍のベンゼンが検出されても、「地下水」と「地上」を分割して、「安全だ」とする専門家会議について、メンバーを変更するなど、リスクコミュニケーションのあり方を抜本的に検討すべきと考えます。また、これまで施設整備に多大な費用を投じてきましたが、さらに今後、維持管理費や修繕・改修費などがどれくらいかかるのかを試算すべきです。知事は、豊洲への移転だけでなく、コスト情報も含めた代替案を複数提示し、情報を都民に提供する必要があります。
- 子どもの貧困対策について
子どもの貧困について、都が昨年実施した調査によれば、「生活困難層」に該当する世帯は2割におよんでおり、単に経済的な困窮だけでなく、親子の社会的な孤立や健康面など生活全般にわたって問題が重層していることがわかりました。しかし、当該の困窮世帯に必要な行政情報が届いていません。このような状況のなか、子どもの食や学習環境の貧しさを補う取り組みとして「子ども食堂」が地域に根付いてきています。
「子どもの居場所創設事業」の中に「子ども食堂」への支援が盛り込まれていますが、区市町村が活用しやすいように、現場に即した支援となることを要望します。
- 医療的ケアが必要な子どもへの支援について
新年度予算には、医療的ケアが必要な子どもについて、保健・医療・福祉の連携強化や保育サービスへの支援などが盛り込まれています。学齢期になった医療的ケア児は、特別支援学校だけでなく、住んでいる区市町村立の小中学校にも通っています。地域の学校で受け入れる場合に都の支援はなく、実際の受け入れはハードルが高いのが現状です。今回、学童クラブへの補助も始まることから、地域の学校で受け入れが進むよう、都として自治体に支援することを要望します。
- 最後に、水道事業会計について申し上げます。
昨年、八ッ場ダムの基本計画が変更され、事業費が4600億円から5320億円に引き上げられました。当初は、2000年度に完成、事業費2110億円だったものが、計画変更で工期延長と事業費増額を繰り返しています。
そもそも、八ッ場ダムを建設する根拠は、水道水源が足りないというものです。しかし、水需要は20年以上減少しているのに、都はまだ水需要が増える予測を出し、実績とのかい離はどんどん開いています。昨年の渇水も、ダム運用の方法が問題だと指摘されているところであり、都民生活への影響はありませんでした。八ッ場ダムなど無駄な水源開発をすすめていく水道事業会計予算には反対です。
生活者ネットワークは、「人への投資」こそが重要と考えます。2020年大会の開催を機に、東京が子ども、高齢者、障がい者など、人にやさしい生活のまちへと変えていくことを求め、都議会生活者ネットワークの討論とします。