2017年第1回定例会を終えて(談話)

2017年第1回定例会を終えて(談話)

2017年3月30日

都議会生活者ネットワーク

幹事長 西崎 光子

 

本日、第1回定例会が閉会しました。

豊洲問題によって、特別委員会や百条委員会での質疑や証人喚問、予算委員会など、委員会議論だけでなく、会議の運営を含めて連日夜中まで会派間調整が続き、大揺れの定例会となりました。

豊洲市場移転問題については、盛り土問題の発覚当初から、公文書の不存在などを問題視してきましたが、百条委員会によって、都の隠ぺい体質に加え無責任体質が明らかになりました。週2日しか登庁せず関心のないことは丸投げする石原元知事と水面下で強引な交渉を進めた濵渦元副知事の責任は重大だと考えます。

豊洲市場には、施設整備にすでに多大な費用を投じてきましたが、開場した場合ランニングコストはさらに高額になります。そもそも都議会に豊洲市場移転問題特別委員会、また百条委員会が全会一致で設置されたのは、この移転に問題があると議会が認めたからでした。しかし、地下水モニタリング調査の結果は土壌汚染が解消されていないことを証明し、百条委員会では都政の闇が明らかになっただけで、豊洲移転が抱える問題は何ら解決していません。未だ豊洲が「安全・安心」とする結論をもつことはできず、専門家会議のメンバーを変更するなど、リスクコミュニケーションのあり方を抜本的に検討するよう求めました。知事には、市場の今後について、豊洲移転だけでなく、築地再整備案も入れ、コスト情報も含めた代替案を複数提示し、情報を都民に提供することを要望しました。

 

知事は、公文書開示の手数料を減額し、第2回定例会に公文書管理条例を提案するとしています。政策意思の形成過程から文書の作成を義務づけ、資料文書も一体的に管理、保存期間は一番長いものに合わせて、説明責任を全うする必要があります。条例提案までに実施予定のパブリックコメントも踏まえて、廃棄のルールをさらに開かれたものにするなど、公文書が都民の財産であることを実際の管理でも具現化するよう求めました。

また公文書館についても、国分寺市への移設を機に、「公の施設」として条例に位置づけ、機能強化することを要望しました。

 

今定例会で、「特定異性接客営業等の規則に関する条例案」いわゆるJKビジネスに関する条例案が提出されました。少女たちを支援している団体によると、少女たちの現実は、貧困や虐待、いじめなどで家庭にも学校にもどこにも居場所がなく、お金がないために、まちにさまよう「難民」状態にあり、そこにJKビジネスが言葉巧みにつけこんでくるということです。事業者に対する規制強化だけでは、こうした少女たちを守る根本的な対策にはなりません。安心して相談できる窓口の充実、一時的なシェルターの提供など、福祉的な視点を持つ専門家や、支援団体等との連携で寄り添う支援が重要です。

 

温暖化対策は喫緊の課題であり、再生可能エネルギーの利用をもっと増やし、東京でもエネルギーの地産地消を推進する必要があります。行政や民間事業者、そして市民が再エネをつくり出し、省エネもあわせて原発にたよらないエネルギーシフトをめざすことが重要です。積極的な取り組みを求めました。

 

生活者ネットワークは、災害などの緊急時に情報弱者になりがちな外国人や障がい者、子どもなどが、すばやく情報を得られるよう「やさしい日本語」での発信を提案し、さっそく東京都のHPのforeign language外国語のサイトにやさしい日本語コーナーが加わりました。オリンピック・パラリンピックを控える東京は、緊急時に留まらず普段から、音声とともに、看板等の表示やSNSやデジタルサイネージなどの視覚においても、率先して、やさしい日本語による情報提供に取り組むことを求めました。

 

昨年末、子どもに安全な製品づくりをするための国際的な指針「ISO/IECガイド50」が、日本国内基準JISにも採用されました。この指針には、「子どもは小さな大人ではない」「子どもの傷害防止は社会全体が共有すべき責任である」と明記されています。都は、これまでも東京都商品等安全対策協議会で、使い捨てライター、抱っこひも、歯ブラシなどについて取り上げ、国や事業者に働きかけて、子どもに安全な製品づくりを実現してきました。

こうした子どもの事故防止に関する情報を取りまとめ、パンフレットだけでなく、ホームページやSNSでも発信するとのことですが、これが広く周知され、店頭販売だけでなく、ネット販売などで、商品を選ぶ際に活用されるよう情報発信の工夫を求めました。

 

暮らしの場での看取り支援の事業が、東京都でもようやく始まりました。最期のときまで自分らしく暮らし続けるには、在宅療養に関するしくみについて理解するとともに、日頃から人生の最期について考え、家族と話し合っておくことが必要です。

高齢になっても障がいがあっても地域でいきいきと暮らすためには、地域に多様な人が交流できるしかけも望まれます。特別養護老人ホームと保育園の併設が都内でも始まっており、多世代交流の拠点として地域に開かれた場づくりが進められています。ソーシャルミックスのまちづくりを導くこうした新しい取り組みを、都も支援するよう要望しました。

 

生活者ネットワークは、インクルーシブな社会の実現に向けて、障がい者をはじめ就労が困難な人たちを30%以上含む、社会的目的を持った非営利の企業「社会的事業所」の創設を、かねてから提案しています。都においても、今後このようなソーシャルファームが実現することを期待するものです。

厚生労働省と農林水産省の連携による「農福連携」で、農業分野の障がい者就労が実施されていますが、東京の市街化区域内農地は、制度上実施が困難と言われていました。「東京の将来に向けた農地活用事業」をきっかけに、障がい者が農作業に従事でき、さらには、仕事として農福連携事業が展開できることを期待しています。

 

都議会生活者ネットワークは、環境と福祉を優先した持続可能なまちづくりに向けて、生活者の声を都政に届けてまいります。みなさまからのご提案をお待ちしております。