2016年第4回定例会を終えて(談話)

2016年第4回定例会を終えて(談話)

 

2016年12月15日

都議会生活者ネットワーク

幹事長 西崎 光子

 

本日、第4回定例会が閉会しました。

豊洲問題をはじめ、オリンピック会場の見直し、慣習となっていた復活予算の廃止など、小池知事が次々と発した提案で、大きく揺れた定例会でした。

 

豊洲市場問題で、都議会生活者ネットワークは東京都中央卸売市場会計決算を不認定としました。敷地全体を盛り土にする大前提を地下空間に変更した意思決定過程が、公文書として作成・保存されていなかったことは極めて遺憾です。小池知事は、来年度早期に公文書管理に関して条例化を検討するとしていますが、条例制定にあたっては、意思決定過程の文書作成を義務づけること、廃棄の判断を所管課長でなく第三者の意見を聞いて知事が行うこと、公文書館を条例に位置づけ専門家が移管の判断をすることなど、「公文書」のライフサイクルを明確に定めていくことを求めました。

 

白山通りの無電柱化に伴う街路樹の伐採に関する陳情が、趣旨採択となりました。白山通りは、東京2020大会のマラソンコースになる予定であるため、無電柱化されますが、オリンピックは暑い夏に開催されるものであり、むしろ街路樹は必要です。この白山通りの銀杏並木は、地域住民に長い間愛されてきました。防災の観点から無電柱化は重要ですが、白山通りは将来拡幅される計画であり地下工事をやり直す必要が出てきます。街路樹を伐採してまで無電柱化を急がなければならない理由はありません。多くの住民の理解が得られない中、強引に事業を進めることには反対であり、きちんとした住民説明会の開催を求めました。

 

福島原発事故から5年、東京でも福島県から避難している子どもへのいじめが発覚しました。学校での適切な対応が求められています。

政府と福島県は、来年3月をめどに帰宅困難区域を除く全ての避難指示を解除し、賠償や住宅の無償提供を打ち切ろうとしています。今、自主避難者は、強引に選択を迫られ来年以降の生活について不安を募らせています。福島原発の電気の恩恵に浴していた東京だからこそ、誠意をもって避難者と話し合い、本人の意思を尊重し、希望者全員が引き続き長期にわたって居住できるよう都独自の支援策をつくることを要望しました。

 

小池知事は、障がい者差別解消にかかわる条例案を検討するとしています。「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」という障害者権利条約で尊重された当事者の長年の主張を具体的に実現する「合理的配慮」を提供することが求められています。東日本大震災でも、聴覚障がい者に情報が伝わらず大きな社会問題になりました。日常生活においても、先日、乗っていた電車が突然停止したとき、事故なのか信号によるものなのか、アナウンス放送がありましたが、聴覚障がい者にとっては、音声情報だけでは何が起きているのか状況を知ることができませんでした。現在、都営地下鉄では、駅改札口のモニター画面で緊急災害情報を放映できるように改修が行われていますが、電車内のモニターで乗客へのリアルタイムでの情報提供はできていない現状です。都営地下鉄での実施をはじめ、あらゆる公共交通において一刻も早く、文字による情報提供がなされるよう、都として事業者にシステムの整備を求めることを要望します。

 

議会改革については、これまで「議会のあり方検討会」で話し合うとされてきましたが、昨日の議会運営委員会理事会で公明党があり方検討会を抜けることを宣言し、事実上の機能不全状態になりました。一方、6会派共同提案の費用弁償を実費化する条例改正案については、昨年の第1回定例会以来、2年近くも議論されず放置された挙句、今回6会派が採決するよう求めたにもかかわらず、またもや継続審議となりました。いつまでも先送りすることは非常に遺憾であり、強く抗議するものです。

ほんとうに議会改革をめざすのであるなら、お互いに真摯に向き合い、議会としての一致点を探るべきです。

 

東京2020大会に関しては、競技会場の場所や費用ばかりが注目を浴びていますが、競技会場は造るコストより維持管理のほうが深刻です。長野冬季オリンピックの長野市は、当時造った競技会場の維持管理で、18年経った現在も財政負担が大変だと報じられています。東京もオリンピック開催のために造られた競技会場が、長期にわたって財政を圧迫することのないように、準備段階から会場や施設の維持管理、修繕のあり方についても議論していく必要があると考えます。

東京も、オリンピック・パラリンピック開催後に、人口減少に転じます。

「やさしさをレガシーに」

超高齢社会を見据えて、東京2020大会が、持続可能な社会の構築につながるよう、都議会生活者ネットワークは、今後も提案していきます。